どこから来たのと尋ね合い すぐに馬鹿馬鹿しくなる
ここに来るまでの経緯なんて 教えてどうする
行きたい場所は全部廻った 泣きそうな雲の下
なんにも無くしてないのに 空っぽの気がした それでも
大丈夫だって 言ってあげなくちゃ
大丈夫じゃない自分も 動けないしな あぁ もう
出典: arrows/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
出会った迷子二人は意気投合します。
どんなに絶望した状況でも、同じ気持ちを分かち合う仲間がいると救われるものです。
主人公は相手に今までの人生を聞いて、意味がないことに気づきます。
だって彼らの荷物には「嫌な思い出しかない」のですから。
嫌な思い出を振り返るのはつらいことです。
そんなことを聞くのも、聞かれるのも意味がないのです。
今までの人生がつらいことだったとしても、迷子同士が出合ったことには意味があるのです。
自分に対して「大丈夫」と言ってくれる相手がいることは、どれだけ救いになるでしょうか。
見つけたものは本物だよ 出会った事は本当だよ
捨てるくらいなら持つからさ 貸してよ
なるほど これだけあれば 当分お腹減らないな
一緒に ここから 離れよう
出典: arrows/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
そう、迷子の二人が出合ったことは事実なのです。
それはウソではない、かけがえのないことなのです。
お互いの荷物を確認し、彼らは旅を始めます。
「ここ」というのは彼らが出会った不燃物置き場でしょうか。
死んでもいいと思っていた彼らは、同じような仲間と出会うことで生きる道を選んだのです。
一人で孤独だった彼らの人生に、同じ道を歩む仲間ができたということでしょう。
旅は続く
人生という旅の終わりは?
友達増えた探検ごっこ 降りだした雨の下
迷子は迷子と出会って リュックサックのとりかえっこ
行きたい場所は全部廻って いい加減に飽きたら
あんなに近い ずっと遠い あの雲にのぼろう
出典: arrows/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
迷子の二人は共に人生(=探検ごっこ)を歩むことにしました。
自分にとって嫌な思い出しかない荷物を交換し、旅を続けます。
自分の荷物なら捨ててしまってもいいと思うかもしれません。
でも、相手の荷物となればぞんざいに扱うわけにはいかないでしょう。
旅の終わりは決めていません。
人生という旅が終わるということは、それは死を意味します。
「あの雲にのぼろう」というのは、天国に行くことを想像させると思います。
相手の荷物の価値
ひとつだけ 誤魔化したままだ お互い気付いてる
何を背負っても 自分のものじゃないなら
どれだけ大事にしても偽物だよ でも大事な事は本当だよ
預けたものなら要らないさ 迷子のままでも
君さえいれば きっと僕でいられるさ
一緒に ここから 離れよう
出典: arrows/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
彼らは荷物をとりかえっこしました。
自分の荷物には嫌な思い出しかないのです。
捨ててしまいたいと思っています。
でも、相手の荷物であればそれは愛おしい、大事なものになります。
しかし、どれだけ大事なものでもそれは自分のものではありません。
この部分の歌詞は、読んでいて切なくなってきます。
本当は、自分の荷物を自分で大事に思えるのが一番いいのに、できないのです。
相手は自分の荷物を大事にしてくれています。
なのに、自分自身はその荷物を必要ないと思っているのです。
今までの嫌な思い出しかない荷物など必要ない、君さえいてくれれば…。
そこにしかすがることができない人生というのは危ういと思います。
そんなやりきれない悲しさ、切なさが感じられる歌詞です。
旅の終わり
自分の人生を肯定する
大長編の探検ごっこ 泣きやんだ雲の下
離れたのに振り返ると 不燃物置き場の前
もう一度やって驚いた リュックサックのとりかえっこ
素敵な思い出ばっかり詰めた 荷物になってた
出典: arrows/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
彼らの旅に終わりの時が来ます。
旅の果てに、再び彼らは不燃物置き場に帰ってきました。
改めてお互いの荷物を交換すると、なんということでしょう。
嫌な思い出しかなかった自分の荷物は、素敵な思い出ばかりになっていたのです。
迷子同士が出合って共に歩んだ旅は、それだけ素晴らしいものだったのです。
今こそちゃんと 言ってあげなくちゃ
さよなら言えない自分に 言わなくちゃ
大丈夫 見つけたものは本物だよ 出会った事は本当だよ
捨てられないから持ってくよ 迷子だった時も
出会った人は生き物だよ 生きてた君は笑ってたよ
迷ってた僕と歩いたよ 偽物じゃない荷物だよ
これだけあれば きっと僕でいられるさ
一緒に ここから 離れよう
出典: arrows/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
どうやら「君」の人生が終わってしまったようです。
不燃物置き場に帰ってきたのも、そういうことなのかもしれません。
あまりの悲しみに主人公はさよならも言えないのです。
でも、彼らが出会ったことは事実です。本当なのです。
迷子だった自分と出会い、自分の荷物を持ち、歩いてくれたのです。
その思い出は素敵なものばかりでした。
捨ててしまっていいと思っていた自分の人生は、「君」のおかげで意味のあるものになったのです。
演奏と歌のテンションはこの最後のサビの部分でどんどん上がっていきます。
それと共に感動が押し寄せてきます。