切ない程に君を想って
この腕が この胸が
大地を越えて心を越えて
大切な人のために…?
出典: fate/作詞:hyde 作曲:ken
故郷で別れてきた愛する人。
その人の存在が、主人公の心の中にずっと在り続けます。
戦火の中で想うのはその人のことばかり。
たとえ遠い大地に来て離れ離れになってしまったとしても、距離を越えて、愛が揺らぐことはありません。
ただ愛する人と一緒にいられれば、それだけで人は幸せなはず。
しかし、戦争という逃れられない運命に翻弄される主人公。
自分が戦争で人を殺めるのは、大切なあの人のためなのか。
大切なあの人を守るためなのか。
拭えない疑問と悲しい運命が、主人公を苦しめるのです。
2番の歌詞
長いレールの彼方で 誰が笑うというの?
いつ許しあえるのか
いつ終わりが来るのか
出典: fate/作詞:hyde 作曲:ken
この戦争の果てに、幸せは待っているのだろうか。
”長いレール”という言葉からも、定められた運命から逃げることができないことが感じられます。
目の前に続く道がどんな道であれ、そこを進むしかないのです。
争いはいつまで続くのか、許し合い、戦争が本当に終わるときは来るのだろうか。
戦火の中の主人公の切ない問いかけの行き場は、きっとどこにもないでしょう。
2番のサビの歌詞
止められなくて逃れられない
幻想に 操られ
手探りだけで走り続ける
この先が 過ちであろうと
出典: fate/作詞:hyde 作曲:ken
運命と共に流れていく時間は、どれだけ嘆いても止めることができません。
運命にがんじがらめにされた主人公は、戦の中を走り続けるしかないのです。
戦争のために思想を操作され、取り憑かれてしまっても、もう戻ることはできないのです。
主人公の悲しすぎる運命に、胸が締め付けられるような感情になります。
しかし、ここに描かれているのは紛れもない現実である。
そのことも、私たちは理解する必要があるのです。
今 しじまを切り裂き
今 奴らに降り立つ…あぁ
今 狙いを定めて
手をかける瞬間に
出典: fate/作詞:hyde 作曲:ken
静寂を切り裂いて、敵の下に降り立ち、銃を構えて狙いを定めます。
誰かを殺めることを強制させられる世界。
引き金を引くその瞬間に、主人公は何を思うのでしょうか。
最後のサビ
切ない程に君を想って
この腕が この胸が
凍える程に震える程に
君だけを 君だけを
春が来れば夜が明ければ
あの空へ あの場所で
faster than anyone
if I ran through the dark
本当に結ばれるだろうか?
出典: fate/作詞:hyde 作曲:ken
戦火の中でも、引き金を引く瞬間にも、想い浮かぶのは、愛する”君”の存在なのです。
”凍える程に”君を想う心。
よく、愛とは熱く燃え上がるというような表現が使われます。
しかし、ここでの愛は、凍えるような冷たい温度を持ったものとして表現されているのです。
これは、燃え上がる戦火との対比を表しているのではないでしょうか。
悲しく非情に上がる戦争の炎も、大切な人を愛する心によって沈めることができる。
主人公の、戦争や愛に対する考え方や希望が描かれているように、私は感じたのです。
戦火の中で主人公が思い描くのは、愛する人と2人で過ごした温かい場所。
「faster than anyone/if I ran through the dark」。
この部分は、「暗闇の中を走ったら、僕は誰よりも速く走ることができる」という意味です。
主人公は、なぜ暗闇の中でも、誰よりも速く走ることができるのか。
それは、心の中に愛する人の存在という光があるからではないでしょうか。
愛する人が道を照らし、道しるべとなってくれる。
逃れられない運命の中で、主人公が唯一自分で選択できた感情が、”君”への愛なのかもしれません。
主人公の運命は
歌詞の中で、”あの空へ”という表現が描かれています。
これは、愛する人と故郷で見た空をもう一度2人で見たいという感情の表れでしょうか。
それとも、2人の死を意味するものなのでしょうか。
また、”本当に結ばれるのだろうか”という言葉からも、2人が結ばれることの難しさが伺えます。
主人公は、結局運命の力に抗えなかったのかもしれません。
運命というのは自分で切り開くもの、という言葉もあります。
しかし、この世界にはどうしても避けられない悲しい運命を背負わなければならない人がいる。
そんなことを、この曲は私たちに教えてくれるのです。
この世界に存在する悲しい世界の話を、私たちは忘れてはいけないのです。
惑う心
何が愛なのか?何が嘘なのか?
解らない ―無情な時間が迫る―
出典: fate/作詞:hyde 作曲:ken