いつでも百万馬力で
みるみる力がみなぎる
だからね さみしくないんだ
僕等は アトムの子供さ

出典: アトムの子/作曲:山下達郎 作詞:山下達郎

原作のアトムは10万馬力です。

あるエピソードの際にパワーアップして100万馬力になりますが、すぐもとに戻します。

これは鉄腕アトムの主題歌でも出てきます。

空をこえて ラララ 星のかなた
ゆくぞ アトム ジェットの限り
心やさし ラララ 科学の子
十万馬力だ 鉄腕アトム

出典: 鉄腕アトム/作詞:谷川俊太郎 作曲:高井達雄

あまりに有名な歌詞なので山下達郎が間違えたわけではないでしょう。

これは10万馬力のアトムからその10倍の力や勇気をもらったということです。

この曲は手塚治虫への弔辞だとすれば弔辞風に読み替えると次のようになります。

「手塚治虫さん。あなたは亡くなったけれど、あなたの作品にはいつでも会えます。

そしていつでも僕らにおおきな力を与えてくれます。

だからさびしくはありません。

ぼくらはあなたの作品で育ったようなものです。

あなたは僕らにとって親と同じです。」

バイブル

Oh Boy どんな時でも 君の事だけを
Oh Boy 考えていたっけ

出典: アトムの子/作曲:山下達郎 作詞:山下達郎

「鉄腕アトム」はアメリカでも放送されました。その際のタイトルは「ASTRO BOY」。

そして日本での3度めのTVシリーズのタイトルは「ASTRO BOY 鉄腕アトム」です。

ですからこの引用の英語部分はアトムを指しています。

そして山下達郎が子供の頃「鉄腕アトム」にどんなに夢中だったかを懐かしんでいます。

そしてなにか問題にあたったとき、アトムならどうしていただろうと考えていたのかも知れません。

夢見る子供

友達

意地悪 する子がいたって
最後は仲良くなれたよ
あの子はどうしているだろ
今でも 大事な友達

出典: アトムの子/作曲:山下達郎 作詞:山下達郎

「鉄腕アトム」は子供向けのロボット漫画です。

ですから主人公のアトムは空も飛べますし、とてつもない力もあります。

ですが知能もあり、感情もあるのです。

アトムは仮に敵がいたとしてもそれをただ倒せばいいというとは考えません。

常に平和的な解決法を模索します。

例え対立していても分かり合いたいと考え、結局倒さざる得なくなってもそのことで悩み続ける。

そんな心優しい少年ロボットなのです。

そんなアトムを見て育ったから、山下達郎いじめっ子がいても頑張って親友になったということでしょう。

これが実体験に基づくエピソードなのか、創作なのかはわかりません。

ただきっと手塚治虫が「鉄腕アトム」の中でいいたかったことはそういうことなのでしょうと語っているのです。

未来

みんなで 力を合わせて
素敵な 未来にしようよ
どんなに 大人になっても
僕等は アトムの子供さ

出典: アトムの子/作曲:山下達郎 作詞:山下達郎

手塚治虫は死ぬまで戦争に反対し続けていました。

戦争という行為によって物事を解決することは最も愚かな行為だと。

そして戦争のない平和な世界を求めていました。

それは手塚治虫自らが戦争を体験しているからだといわれています。

その意志はみんなで引き継がねばいけません。

おとなになって子供の頃にはわからなかった世の中がきれいごとばかりではないと知ってしまったとしても。

どんなに戦争は無くならないと達観するのが大人であるなら、気持ちだけでも平和な未来を夢見る子供でいよう。

アトムがそうであったように。そうアトムを見て育った僕らが一緒に頑張れば平和な未来が来るはず。

山下達郎が彼と同じく手塚作品に触れて育った人たちに向けてのメッセージです。

そして亡き手塚治虫に対しての表明でもあるのでしょう。

感じること

ジャングルビート