映画「自虐の詩」の主題歌にもなった「海原の月」を紹介

安藤裕子「海原の月」の深すぎる歌詞の意味が知りたい!これは別れの歌?それとも…?どう解釈する?の画像

今回紹介するのは安藤裕子の「海原の月」という楽曲

2007年10月17日にリリースされた彼女の7枚目のシングルです。

彼女のこの付近での大きな変化と言えば、翌年からほぼ毎年恒例となっているアコースティックライブがスタートしたことでしょうか。

そういった意味では、彼女にまた新たな動きが見え始めた年だと言えますね。

そして2018年現在も11月17日よりこのアコースティックライブが始まりました。

バンド形態も良いのですが、音像がシンプルなアコースティック形式では、彼女の歌声の魅力がより生々しく感じられるでしょうね。

女優時代の縁が再び

映画「自虐の詩」の主題歌にもなり、彼女の楽曲の中でも特に話題を集めたこの曲。

監督の堤幸彦氏から直接オファーがあり、実際に作品を観てのインスピレーションから作られたといいます。

これを踏まえると、楽曲の考察に入る前にまずは映画のことに触れておいた方が良さそうですね。

ちなみに堤監督は彼女が女優時代に出演したドラマ「池袋ウエストゲートパーク」の監督でもあります。

ドラマに出演していたのは、もちろん歌手としてデビューする以前の話。

自身が歌手として活躍するようになって、堤監督の作品に曲を提供する立場になったということにも不思議な縁を感じさせられますね。

「自虐の詩」ってどんな話?

安藤裕子「海原の月」の深すぎる歌詞の意味が知りたい!これは別れの歌?それとも…?どう解釈する?の画像

『自虐の詩』(じぎゃくのうた)は、業田良家による日本の4コマ漫画、またこれを原作とした2007年の日本映画。当初は複数のシリーズがあるオムニバス作品だったが、人気のあった「幸江とイサオ」シリーズに一本化された。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/自虐の詩

4コマで一つの話が完結してしまう4コマ漫画が映画化されるというのも、また興味深い話ですね。

4コマ漫画というとギャグ漫画のイメージが強いですが「自虐の詩」も当初はそうだったようです。

ダメ男と従順なパートナーの関係が描かれる

シリーズ初期は、怒るとすぐにちゃぶ台をひっくり返したり、金をせびるばかりのイサオとそれに従う幸江といった構図のギャグが中心だったが、中期以降幸江の子供時代の回想が増えてくるとしだいにストーリー4コマとなっていき、幸江の小学生編・中学生編を経て最終回に突入していくドラマチックな展開は「泣ける4コマ」として定番になっている。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/自虐の詩

ダメ男の典型を象徴するような人格のイサオと、それにただ従う幸江。

この構図から、従順なパートナーがダメ男をさらにダメにしてしまうという悪循環が想像出来ますね。

ギャグだけで終わらず回を経ることで「泣ける4コマ」の定番となっていることが、映画化に繋がった大きな理由なのでしょう。

映画と合わさることで見えてくる曲に込められた意味

「海原の月」はパッと聴きは別れの歌。

しかし安藤裕子本人によると、歌詞の内容は寂しい別れの意味にも、今までの人生に対する決別の意味にも取れるとのこと。

曲だけを聴けば、捉え手によって大きく解釈が分かれて来そうです。

そしてこの曲が映画と合わさることで見えて来たものは「目の前の人と離れられないと分かった瞬間」だと彼女は語っています。

典型的なダメ男であるイサオに、従順な幸江も思うところがあったのでしょう。

しかし何を思っても結局は彼を愛していて離れられない。

そう気付けた自分の、今までに対する決別の意味が映画と合わさることで見えてくるのではないでしょうか。

とは言っても、安藤裕子本人も曲の意味について断言していないので、本当に内から湧き出て来た、感覚から生まれた楽曲なのでしょうね。

ちなみに「海原の月」というタイトルは、堤監督が「水の中を漂うクラゲが映画のイメージ」だと言っていたことから付けられたという話ですよ。

ハードスケジュールの撮影が行われたMV

MVの撮影にも面白い裏話がありました。

撮影は当初宮古島で予定されていたものの、台風により中止。

千葉県某所に場所が変更されたのですが、朝日を待つ必要があり、徹夜での撮影が行われたとのこと。

これも本人は完全にオフのつもりをしていたところに急遽出発が決まったらしく、相当なハードスケジュールだったことを物語ります。

海沿いを舞台にした夏らしいシチュエーションと、朝焼けに滲む安藤の姿がなんとも神秘的です。

民族を彷彿とさせる首筋から顔にかけてのタトゥーもその雰囲気に華を添えていますね。

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