鴉は恋をするのか?ハードロックな「恋鴉」
イントロの雰囲気は制作初期の時点で既に存在しており、そのパートやAメロでボーカルとギターがユニゾンで歌うパートから、稲葉が「鴉が鳴いている光景」を連想し、そのイメージに別のストーリーを組み合わせて作詞が進められた。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/NEW_LOVE
松本さんのジミヘンのようなギターワウサウンドではじまる「恋鴉」。
稲葉さんの突き抜けるようなボーカルが鳴き、骨太のハードロックに仕上がりました。
無骨な歌詞が乗っかっていると思いきや、かなり繊細な内容です。
松本さんのワウギターに鴉の鳴き声をイメージした稲葉さんがストーリーを固めていったようです。
タイトルの「恋鴉」から察するに、鴉が恋をする物語なのでしょうか?
さらに出典によると、別のストーリーも乗っかっているようです。
歌詞を徹底解説して紐解いていきましょう。
恋、鴉、そしてハードロック。
センス抜群の組み合わせですね。
果たして、この3つのコンビネーションはどのように昇華されるのでしょうか?
「恋鴉」1番のAメロの歌詞
孤独な鴉の心情を表したAメロ
取り憑かれたようにひとりで
鳴き続けている夕暮れの鴉
群れは皆うちに帰ってく
その空に声は響き渡った
出典: 恋鴉/作詞:KOSHI INABA 作曲:TAK MATSUMOTO
1番のAメロは、ひとりぼっちで寂しい鴉を客観的に見つめた歌詞になっています。
なにゆえずっと鳴いているのか気になりますね。
燃えるような夕陽をバックにしている鴉の映像が浮かんでくるようです。
あたり一帯の空間を自分の声で支配しているような印象もあります。
そう考えると、単に孤独なだけでなく燃えたぎるような感情も持っている鴉なのではないでしょうか。
ポイントは“取り憑かれた”という部分ですね。
鴉の中に、誰かの魂が入っているのかもしれません。
狐など霊力が強いといわれている動物はいますが、鴉はどうなのでしょう。
真っ黒な見た目から想像するに霊的な能力はありそうです。
ちょっと調べてみましょう。
鴉と霊魂の関係
古来、カラスは霊魂を運ぶ霊鳥とされていた。「烏鳴きが悪いと人が死ぬ」という伝承があり、カラスが騒いだり異様な声で鳴くとその近所に死人があると信じられた。また、柿を収穫する時、翌年カラスが柿の木に宿る霊魂を連れて帰ってくると考えられ、カラスのために最後の実を残す風習があった。
「月夜烏は火に祟る」と言われ、夜のカラスの鳴き声が火災の前兆とされる俗信もあった。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/カラス
古来から鴉は魂を運ぶ霊的な力を持った鳥とされていたのですね。
また、鴉がおかしな鳴き方をしていると、近所に死人が出るそうです。
火事などの「火」にも関係しているとの記載もあります。
ちょっと怖い話になってしまいました。
B'zの「恋鴉」の歌詞に戻すと、やはり鴉に誰かの魂が乗っかっていると考えてよさそうです。
1番のサビを紐解く
強烈なインパクトを残す1番サビの歌詞
恋の滓がまだ残っている
辛いくらいに溜まっている
いつになったらこの俺は
太陽まで飛んでいけるの
冷たい魔法を解いておくれ
出典: 恋鴉/作詞:KOSHI INABA 作曲:TAK MATSUMOTO
“恋の滓(かす)”。
サビにこの言葉を持ってこようと思いつくのは日本広しといえども稲葉さんだけかもしれません。
インパクトもオリジナリティも兼ね備えた強烈なフレーズです。
恋のカケラのような言葉はよくありますが、滓と言い切ってしまうところにロック魂を感じます。
“溜まっている”という言葉と組み合わせると、いわゆる“ある大人の事情”を喩えているのかも。
それについては言葉遊び的な側面が強いと思うのでここでは置いておきます。
ストーリーに戻して考えるとこの言葉は、熱く煮えたぎるような感情を指しているのだと思います。
鴉を器(うつわ)とした誰かの魂に、激情がまだ残っているのです。
歌詞の主人公は“冷たい魔法”で鴉にされてしまったと思っているのでしょう。
彼にはどんな未練が残っているのでしょうか。
ここで、太陽や魔法について、鴉に関係ある出典がないか調べてみます。