「終着駅」に出会うまで
今回ご紹介します「終着駅」を歌った奥村チヨとはどんな歌手なのでしょうか。
彼女についてみてみましょう。
奥村チヨの世界
奥村チヨは1960年代にデビューした実力派歌手です。
恋の奴隷、恋泥棒など女性の魅力満開の作品が次々とヒットしました。
1971年に発表された「終着駅」は彼女が歌手として強い思い入れを持って挑んだ曲と言われています。
この曲で奥村チヨは、聞いた人の心の奥底をえぐるような強いシンパシーの投げかけに成功しました。
「終着駅」で名実ともに「実力派」となった奥村は、この曲の作曲者である浜圭介と結婚しています。
タイトルに込められた意味とは
「終着駅」というタイトルにはどんな思いが込められているのでしょうか。
路線の最終の駅を指す「終着駅」という言葉はどこかもの悲しさを感じさせます。
歌の主人公はどんな風にしてこの駅にたどりついたのでしょうか。
また、主人公が行き着いた終着駅とはどんな場所なのでしょうか。
歌詞を読み解いていきます。
真冬の終着駅
落ち葉の舞い散る停車場は
悲しい女の吹きだまり
だから今日もひとり明日もひとり
涙を捨てに来る
真冬に素足は冷たかろう
大きな荷物は重たかろう
なのに今日もひとり明日もひとり
過去から逃げてくる
一度離したら二度とつかめない
愛という名のあたたかい心の鍵は
最終列車が着くたびに
良く似た女が降りてくる
そして今日もひとり明日もひとり
過去から逃げてくる
出典: 終着駅/作詞:千家和也 作曲:浜圭介
寒く冷たい終着駅に降り立った主人公。
目には見えぬ何かを抱えて列車を降りる疲れ切った女の姿が浮かびます。
彼女はどんな思いでそこに立ったのでしょうか。
女性たちがいきつく場所
電車が最後に行き着く最終駅には大きなターミナルもあれば小さな無人駅もあります。
主人公が行き着いた「終着駅」は、冷たい風と恋に疲れた女が集められた寂しい駅のようです。
過去を捨てるために現実を逃れた女たちはこの駅にたどり着きます。
女たちがこの駅に集まるまでにたどった道筋は、きっとそれぞれ違うのでしょう。
それぞれの人生の道をたどって、彼女たちはそれ以上進むことのできない場所に行き着いたようです。
後悔をまとって
それぞれの人生を歩きながらもこの駅にたどり着く女たちは皆、悲しみをまとっています。
目には見えない過去にしばられ、自分を守ってくれるものさえ脱ぎ捨てて。
己の行いを悔やみ、その心に押しつぶされそうになっている女たち。
幸せとは程遠い出で立ちの女たちはどんな人生から逃げてきたのでしょうか。
愛とは・・・
愛をつかむのはなかなか大変なものですが、手放すことは案外簡単です。
人は愛を手に入れようとするとき全身全霊を注ぐことさえ厭わないこともあります。
好きな人の関心を得るためにはあれやこれやと手を尽くすでしょう。
そして、いったん手に入れた愛はきちんとメンテナンスを加えなければなりません。
ほったらかしにしているといつの間にか愛は朽ち果てていきます。
愛はつかむのが難しく、持続するのはもっと難しいものだといえるでしょう。