そろそろ終盤です。
このラインはリフレインのような印象を持たれるでしょう。
実際には細部に少し変化があります。
解釈自体は同じもので構いません。
僕はとにかく泣き暮らす日々からの脱却について考えています。
いつまでもエルマのことを思って泣き続けることの不健康さについては僕も気付いているのです。
僕は見知らぬ土地での再出発について思い描いています。
ただ、そうした遠い土地ではさらにエルマの不在感を身に沁みて考えてしまうでしょう。
しかしもうエルマとの距離を物理的に遠ざけることでしか悲しみは乗り越えられない。
僕はついにそこまで追い詰められているのです。
知らない土地でボーッと上を向いて歩くことで悲しみから逃れたいと願います。
失恋をしたときに生活環境をガラッと変えてみることは再生の一歩になるはずです。
それはただ髪型を変えてみるなどのわずかなものでも構わないでしょう。
昔は髪を短くする女性に「失恋でもしたの?」と尋ねる奇妙な風潮がありました。
とりあえず気分を変えることで悲しみを振りほどくことははるか昔から推奨されていたのです。
セルフケアによって自分をうつうつとした気持ちから救い出さなくてはいけないと僕は思います。
思い切って知らない土地でやり直そうと願うことも不思議ではありません。
壮大な物語世界の中で歌われたもの
ただ君と終わりも知らないままで
嘘つきなんて わかって 触れて
エルマ まだ まだ痛いよ
もうさよならだって歌って
暮れて夜が来るまで
出典: エルマ/作詞:n-buna 作曲:n-buna
いよいよクライマックスの歌詞になります。
リフレインを含みますが最後ですので改めて見てみましょう。
君との別れをまだ受けいれられないけれども、いつかは認めないといけないという思いに切り裂かれます。
相変わらずエルマを思うと僕の胸は痛みを覚えるのです。
この楽曲「エルマ」で僕は失恋から立ち直れないままに終わってしまいます。
如何ともし難いという状況から抜け出せないので、見知らぬ土地などに希望を見るしかないのです。
僕は音楽を辞めるというストーリーが背景にありますが、別れの歌は口ずさみます。
実はアルバム「だから僕は音楽を辞めた」はストーリーを順序ごとには並べません。
ランダムに僕の手紙が読まれてゆくという設定を採用しているのです。
僕は音楽を辞めるけれども別れの歌だけを心に抱いて生き続けます。
僕には激しやすい性格もありますが、虚勢を張って生きてしまう癖もあるのです。
そのために涙に溺れる自分というものを他の人に曝け出すことができません。
しかし僕にとってエルマだけはその胸の痛みを素直に打ち明けられる相手でした。
その思いをこれまで手紙に遺してエルマに宛てたというのがこの歌詞の内容になります。
リスナーが学ぶことは僕の心の痛みに同調していまある愛を大切にして生きることでしょう。
最後まで根本的な救いがもたらされないのは仕方がないことです。
本当に失恋というものは厄介で、楽曲が鳴り響く数分間で解決するものではありません。
ヨルシカとn-bunaはこの辺りをシビアに描ききりました。
アルバム「だから僕は音楽を辞めた」には総体としてさらにシリアスな美学が貫かれています。
願えることならば他の楽曲にも耳を傾けてみてください。
またヨルシカはこの作品の直後に「エルマ」というフルアルバムを発表します。
アルバム「だから僕は音楽を辞めた」と「エルマ」は対になっているのです。
前作の1stfullAlbumだから僕は音楽を辞めたの続編で、n-bunaの描く物語を軸に楽曲を書き下ろしたコンセプトアルバムとなっている。 今作は、旅をしていた前作の主人公、青年エイミーから送られてきた手紙に影響を受けた少女“エルマ”が曲を手掛け、エイミーと同じ道を辿るというストーリーとなっている。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/エルマ_(ヨルシカのアルバム)
「だから僕は音楽を辞めた」も「エルマ」も初回限定盤には手紙や日記帳が特典になっています。
ヨルシカが紡いだ物語にもっと浸りたい方はCD、それも初回限定盤を入手しましょう。
「エルマ」。
青春期の胸の痛みというものを表現し尽くしました。
愛を失うということが人にとってどれだけの痛手になるものかを描いたのです。
ここでは逆説的に愛があふれています。
僕のエルマへの愛情というものの深さがあふれてくるようです。
失恋をしたときだけは瞼を閉じていいということも学べるはずでしょう。
引き出せるものがいっぱいある楽曲に仕上がっています。
壮大な物語世界の中で僕の切ない思いを救い出せるのは私たちリスナーだけなのかもしれません。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
OTOKAKEとヨルシカの軌跡
OTOKAKEにはヨルシカの関連記事がたくさんあります。
中でも「だから僕は音楽を辞めた」に対になる楽曲の記事をご紹介しましょう。
「心に穴が空いた」。
タイトルとおりに辛い思いが切々と歌われます。
ヨルシカの世界へもっと浸ってしまいましょう。
ぜひご覧ください。
ヨルシカ【心に穴が空いた】歌詞の意味を考察!穴が開いた原因は?「忘れたい」と願うほどの痛みとは… - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
心に負った傷や虚無感を鮮明に綴った「心に穴が空いた」。今まで謎だったエルマ側の視点で物語が繰り広げられます。今回はその歌詞の意味を徹底考察していくので、最後までお楽しみください!
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