なぁなぁあんたさ、そうあんたですよ
ちょっとでいいから聞いてくれよ
任された この悪役ってやつも
なかなか因果な商売でして
出典: かえるの唄/作詞:長谷川カオナシ 作曲:長谷川カオナシ
「悪役って大変なんだよ!」と語り掛けるような冒頭部分。
確かに悪役って、やって得をするようなイメージはほとんどありません。
そんな愚痴を聞くのも一興。何をもってそんなに大変なのか、耳を傾けていくことにしましょう。
だから悪役は大変!
一つ、先ず憎まれなくちゃ駄目
一つ、次に欲張らなくちゃ駄目
「謀られた」「濡れ衣だ」って
一つ、こんな女々しさ出しちゃ駄目
出典: かえるの唄/作詞:長谷川カオナシ 作曲:長谷川カオナシ
悪役が大変な理由が並べられていますね。
まずは「憎まれなくちゃ駄目」というものから。
悪役は悪いことをするから悪役なんです。
憎まれないなら、そもそも悪いことをしているかも疑問ですよね。
そしてお次は「欲張らなくちゃ駄目」というもの。
これは続く歌詞からも想像がつきますが、「自分は悪くない」ということを主張しないといけないということでしょう。
自分が悪いということを誤魔化そうとする卑劣な部分が物語を盛り上げるからですね。
そしてもう一つは「こんな女々しさ出しちゃ駄目」というもの。
「自分だって好きで悪役やってるわけじゃない…」なんて悪役が言っていたら、ヒーローも倒しにくくなってしまいますね。
人間は普通は良心を持っているもの。
そう思うと悪役ってほんとに因果な商売です。
やられるのがお決まり
大体最後はこうやって ひらひら踊ればいいんでしょう
大体最後はこうやって ハチの巣にされればいいんでしょう
出典: かえるの唄/作詞:長谷川カオナシ 作曲:長谷川カオナシ
ここに来て悪役の一番辛い部分が登場しました。
最後はやられるのがお決まりだということ。
「終わりよければ全てよし」と言いますが、悪役には必ずよくない終わりが用意されているんです。
なんだかやり切れない気持ちになってきますね。
カエルは茹でても気付かない?
なぁなぁあんたさ伺いますけど
かえるを茹でたことはあるかい
アンダンテくらいでアルデンテすれば
気づかず茹だるのさ
これで誰でも騙せるさ
「なんちゃって」で済む冗談で 済まないから針千本だよ
アンダンテに棲む妖怪さん すまないけどあんたが飲んでよ
出典: かえるの唄/作詞:長谷川カオナシ 作曲:長谷川カオナシ
カエルは温度の変化に鈍感で、鍋に入れて徐々に熱していくと熱いと気付かずに茹で上がってしまう。
これはマズイ状況に置かれていても、周りが同じだとそれが当たり前になってしまうことの例え話です。
ようするにこの部分で言いたいのは「みんな当たり前みたいに思ってるけど、悪役って結構ヒドイ扱い受けてるんだよ?」ということ。
悪役さんが言うにこれは「なんちゃって」では済まない大問題。
悪役を巡るこの状況を作った人に責任を問うような描写が見られます。
ちなみに実際のカエルは、どんなに緩やかに茹でても熱いことに気付いて逃げるんだそうです。
ヒーローもまたカエル
なぁなぁ姫様そうあんたですよ
キスで呪いを解いてやれよ
任された この悪役ってやつも
蛙は相手にできないよ
出典: かえるの唄/作詞:長谷川カオナシ 作曲:長谷川カオナシ
ここはグリム童話の「かえるの王さま」が元ネタになっているのでしょう。
カエルにキスをしたら魔法が解けて王子様になったというやつです。
(壁に投げつけたら魔法が解けたっていうオチのものもある様子。子供向けに優しい表現に改良されたのでしょうか?)
やられるのがお決まりの悪役も、さすがにカエルには負けようがないと語るこの部分。
さっきの茹でガエルのくだりといい、ヒーロー側もまた感覚がマヒしているという意味も暗に含まれているように感じますね。
ヒーローは勝つのが当たり前。
「かえるの唄」というタイトルは、当たり前のようになってしまっていることを揶揄したものなのですね。
ベースプレイももちろん魅力的
作詞作曲、そして自らヴォーカルを担当することで注目を集める長谷川カオナシ。
しかし忘れてはいけないのは、彼が優れたベーシストであるという点です。
こちらは楽器のレビュー動画ですが、ベースにフィーチャーされている分その実力も如実に伝わります。
人柄が表れたかのような丁寧なタッチで魅せてくれますよ。