並行世界での二人のシンタロー

1番の歌詞のシンタローは赤いジャージを羽織っています。
辛い記憶に惑わされながらも仲間たちに支えられて、もう一度まともな日々を送る努力を始めます。

2番の歌詞のシンタローは黒いジャージを羽織っています。
赤いシンタローとは裏腹に友人との関係をも断ち切って、ただ一人で生きていくことを選びました。

歌詞で読み解く"皆を信じたシンタロー"と"独りを選んだシンタロー"それぞれの結末

1番Aメロ

数年経っても影は消えない 感情ばかりが募って行く 
踞って一人描いていた
炎天直下 坂道の上 滲んだ僕らが歩いていた 夏の温度が目に残っていた

※どれだけ時が流れたとしても、アヤノが居ない事を受け入れられない。どうしようもない感情、後悔ばかりが募っていく。
シンタローは部屋に一人で蹲り、アヤノとのやりとりを思い出していた。
暑く太陽が照りつける坂道、僕らは二人で歩いていた。その時の温度すらよく覚えている。

「構わないでよ、」「何処かへ行ってくれ」君の手を払った
「行かないよ」なんて言って君は僕の手を掴んだ
「五月蠅いな」僕はちょっとの先を振り返ずに歩いた
『本当の心は?』

※「俺に構うなよ、どこかへ行ってくれ」素直になれなかったシンタローは、差し伸べられたアヤノの手を払いのけた。
それでもアヤノは諦めたりせず、「行かないよ」と再びその手を掴んだ。
「五月蠅いな!」シンタローは吐き捨て、わざとアヤノの顔が見えないように少し先を、振り向く事もなく歩いた。
けれど『俺が、本当に言いたかったのは…』

聡明(頭が冴えている)なんかじゃ前は向けない 理由が無いから腐って行く
巻き戻ってくれれば良いのにな
何年経っても僕は死なない 希望論ばかりを唱えている 当然今日も君は居ないのにさ

※ただ頭が良いだけでは何も出来やしない。だから何もしないまま、僕は人として腐っていくんだ。
本当にアヤノが居たころに時間が戻ってくれればいいのにな。
僕の寿命が果てるのはまだまだ先なのに、会いたいとばかり思ってしまう。会えるはずもないというのに…

1番Bメロ

構わない、死ねよ、死ねよ って手首を握って、ただ呪って
何も出来ないでただ、のうのうと人生を貪った
夏が夢を見せるのなら、君を連れ去る前へなんて
照れ隠しした日々が 空気を照らして脳裏を焦がしていく

※『もう死んだって構わない』アヤノに会いたい一心でシンタローは自傷行為に走ろうとする。
けれどそう簡単には死ねなくて、ただ無駄な日々を楽しみもなく過ごした。
時々思う『もしもこの夏が奇跡を起こすというのなら、君が居なくなる前に戻ってくれたら…』と。
精一杯照れ隠しをしていた日々を思い出す。いい加減に吹っ切れるべきだろうと自分でもわかってはいた。

1番サビ

18歳になった少年 また何処かで待っていたんだ
カゲボウシ滲む姿を思い出して
炎天下に澄んだ校庭 笑っていた君が今日も『遊ぼうよ』って言ってユラユラ揺れた

※18才になったシンタローには仲間ができ、また楽しい生活が返ってくる事を望んでいた。
けれど誰といても、アヤノの姿は脳裏から消えてはくれない。
今日だって真夏の校庭で『遊ぼうよ』と笑っていた君の顔を不意に思い出してしまった。

2番Aメロ

『心配です』と不器用な顔 隣人なんかには解んないさ 
悲しそうなフリをしないでくれ
朦朧(はっきりとしない) 今日も不自然でいよう 昨日のペースを守っていよう 
君の温度を忘れない様に

※心配そうな顔をしているけど、どうせ僕の気持ちなんか誰にもわからない。
だから、悲しそうなフリをするのはよしてくれ。
やっぱり今日も昨日と同じように、何も考えないのうのうとした生活を送っていくことにしよう。
アヤノの存在を忘れてしまわないように。

2番Bメロ

叶わない夢を願うのならいっそ掠れた過去を抱いて
覚めない夢を見よう 当然の様に閉じ篭って
『それじゃあ、明日も見えないままですよ?』それならそれで良いさ 
つまらない日々を殺す様に手を染め、『一人』を選ぶから

※会いたいという願いが叶わないなら、終わってしまった過去の思い出を閉じ込めて。
現実なんか見るのはやめてこのまま自分の殻に閉じ籠ってしまえばいいとシンタローは目を閉じた。
誰かが言った『それじゃあ、明日も見えないままですよ?』なんて言葉もどうでもよく感じてしまう。
どうせつまらない日々なら無くしてしまい、ただ一人アヤノとの記憶と生きるから。