恐らくこの星では統治国家などないのでしょう。
まさに無法地帯。
そこでたくましく生きている山賊と、直前まで国を治めていた元王様…。
出会うはずのない立場の2人が出会ったのです。
山賊は生まれたころから貧しい境遇で苦しんできたのかもしれません。
何か悪いことをしたわけでもないのに、ただ生まれただけで苦痛を強いられて生きてきた。
この経験から上流階級の人を憎んですらいる印象です。
そんな中突然現れた元王様という存在。
いったいどうなるのかハラハラしますが…。
物語は思わぬ展開を見せました。
元王様のことを「メサイア(=救世主)」と言っています。
「自分も一緒に連れていってほしい」と頼んだのです。
この閉鎖的な場所を出て、自分も新しい未来を見たい。
それが山賊の願いだったのでしょう。
凍り付いた心を動かしたのは…
ついに科学者と対面
最後にたどり着いたのは、科学者のいる光り方を忘れた隅っこの星です。
複雑な動きをするため、不気味な星に見えてきますね。
無機質で人の温もりがありません。
ここの住人である科学者が一番イカれた雰囲気を放っています。
ラップでの再現クオリティは素晴らしいです。
光が一切ない氷の星でただ一人生き延びてきた科学者。
一人で考え過ぎた結果、不老不死の境地まで達しました。
ですが、なんだか心にぽっかりと穴が開いたような、寂しさが感じられますね。
ずっと一人でいた今までの人生でしたが、突如現れた2人の来客。
どんな展開を見せるのでしょうか?
科学者に語り掛ける
壮大な宇宙を背景に映し出される、3人のやりとり。
とても感動的な内容なので、ぜひ歌詞とともに内容を確認してみましょう。
「何故私に構うんだ。」
「似ている気がしたんだ。」
「同じ穴のムジナってか。」「さてな。」
「くだらない。」
「願いに囚われている。」
「何故わかる?」
「目でわかるさ。何かを失ってガラス玉のようだ。」
「叶うならいつか故郷が見たいな。」
「なら決まりだ。」
「あるのかもわからない。」
「此処にいても変わらない。」
「では虚ろなこの船が何処へ着(ゆ)くのか賭けてみないか。」
出典: Stella/作詞:弥之助(from AFRO PARKER) 作曲:ESME MORI,弥之助(from AFRO PARKER)
1行目は科学者の言葉でしょう。
科学者の抱える孤独と渇望を見た元王様は、一緒に未来を追わないか誘いました。
戸惑う科学者に丁寧に語り掛けているのが印象的です。
そして3人は不思議なほど惹かれ合い、一致団結していきます。
目を見ればわかる。
様々な経験をしてきた元王様らしい言葉ですね。
未来がどうなるか何の確証もありません。
ですが、3人は同じ希望を胸に、船でこの銀河を旅し続けようと誓ったのです。
歌詞が表示される背景は、最初よりも色とりどりで輝かしいものとなっていますね。
3人の冒険の結末
幻想的な表現の意味は?
ここからは宇宙がさらに光に包まれ、言葉が強調されます。
幻想的な世界感のもととなる歌詞を見てみましょう。
宇宙は塞がり
閉じ篭った暗がり
星が落とす薄明かり
照らし出す不思議な繋がり
再びを願う心だけがじっと伝わり
熱をくべる篝
羽化していく蛹
出典: Stella/作詞:弥之助(from AFRO PARKER) 作曲:ESME MORI,弥之助(from AFRO PARKER)
歌詞に表現されている閉鎖感。
これは3人が出会う前の状態を示しているのでしょう。
3人は運命的に出会い、その心に「篝(かがり)」…つまり炎が灯されました。
これを「蛹(さなぎ)」でも表現しています。
羽化して羽ばたく蝶のように、3人は冒険へと羽ばたきました。
空飛ぶ船を蝶に見立てているとも考えられます。
前進するための覚悟
爪先は前に向けておく
立ち止まった次の一歩目でも間違えないように
爪先は前に向けておく
ただ一途な目でいつか過ちすら愛でよう
爪先はできる限り遠く踏み込む
振り返る時自分の影が追い付けないように
爪先は前に向けておく
暁の果てに問う
これは躓きを糧に飛ぶ story
出典: Stella/作詞:弥之助(from AFRO PARKER) 作曲:ESME MORI,弥之助(from AFRO PARKER)
とてもカッコいいフレーズですね。
「何が何でも前進してやる!」という信念が読み取れます。
特に自身の「過ち」すら受け入れようとしているのが素晴らしいポイント。
元王様、山賊、科学者。
いずれの登場人物も後悔を抱えながら生きている印象でした。
後悔の根本には「過ち」としての認識があるのでしょう。
後悔の念に押しつぶされることが無いように、それすら受け止められるようになりたい。
過去を振り返った時に迷うことのない自分でいたい。
そんな思いが綴られています。