「MATATABISTEP」
3枚目
「MATATABISTEP」は両A面シングル「MATATABISTEP/あの青と青と青」として2014年3月26日にリリースされました。
このシングルはパスピエにとって3枚目のシングルです。
オリコンチャート週間13位を獲得。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/MATATABISTEP/%E3%81%82%E3%81%AE%E9%9D%92%E3%81%A8%E9%9D%92%E3%81%A8%E9%9D%92
「MATATABISTEP」とは「MATATABI」=「マタタビ」と「STEP」=「ステップ」です。
パスピエらしい言葉遊びですぐに覚えてしまいますね。
バッキバキのスラップベースと華やかなキーボードが曲を引っ張る「MATATABISTEP」。少し80年代のディスコの影響も感じます。
ベースはレッチリが好きなのかもと感じるほど跳ねまくるベース。
パスピエには珍しく和風なサウンドの雰囲気が少なく、力強いロックバンドといった印象の曲です。
とはいっても歌詞はいつものパスピエのフレイバーにあふれています。
それではめくるめく「MATATABISTEP」の世界を見ていきましょう。
「MATATABISTEP」の歌詞
深掘り
トゥ・ナイト これで最後と
うつせみの世で超エキサイト
十二時までのタイムリミット ミッドナイト
ノンフィクション メタ的要素
とどのつまりはループとループ
出口のない迷路 彷徨って酔っていたい
出典: MATATABISTEP/作詞:大胡田なつき 作曲:成田ハネダ
韻を踏みまくっていますね。冒頭は「と」で連続して韻を踏んでいます。
シンデレラのように十二時がリミットのようです。何かのパーティーの様子を歌っているのかも。
もう帰らなくてはならないけど、ここでずっとループして酔っていたいという歌詞でしょうか。
楽しい一夜を永遠に楽しみたいということでしょうね。ノンフィクションということは作り物ではなく現実ということです。
貪欲な欲望を感じる歌詞です。
パパパリラ かりそめのダイブ
百年後の昨日 あなたと出会う まだ知らない
軽やかにステップ 三半規管トリップ
心拍数でダンスダンスダンス
パパパリラ
立ち回り まるでミステリ
歴史に"もしも"なんてないけど
やんごとなき理由 見逃がせやしないわ
出典: MATATABISTEP/作詞:大胡田なつき 作曲:成田ハネダ
舞踏会かダンスパーティーでしょうか。「百年後の昨日」という時制のおかしな歌詞がありますが、なんとなく雰囲気がわかりますよね。
未来と過去を同時に表現している言葉ですから、「今」という時間を表したいのではと思います。
未来でもなく過去でもなく、その真ん中の「今」ということではないでしょうか。
軽やかにステップを踏みながら三半規管もトリップ。非常に上手な表現です。ダンスの楽しさが伝わってきますね。それに韻も踏んでいるので鮮やかな印象の歌詞です。
まさに「MATATABISTEP」。
次の歌詞は「歴史は流れていくこと」を歌っているのではないでしょうか。
その歴史の流れの中では「もしも」なんてないけど、そうなってしまった歴史には理由があると。
繰り返す時代は巡る
繰り返す 時代は巡る
次から次トレンドこれでしょ
目移りしちゃうな アイデンティティ守っていたい
パパパリラ かりそめのダイブ
百年後の昨日 あなたと出会う まだ知らない
科学者が言う 資金繰りでミス
心拍数でダンスダンスダンス
パパパリラ
出典: MATATABISTEP/作詞:大胡田なつき 作曲:成田ハネダ
時代は繰り返すと歌います。トレンドや流行も次々に流行っては廃れていくけど自分の立ち位置(アイデンティ)は守りたいという歌詞ですね。
「資金繰りでミス」というパワーワードが出てきました。歌詞で「資金繰り」を使用するとはさすがパスピエですね!!
なかなか使いこなせない言葉です。なんと「資金繰り」ですよ(笑)。ヒップホップのMCでやっと使える言葉ではないでしょうか。
「資金繰り」という言葉を使っても、世界観が破綻しないのがパスピエなんです。
ひととせ巡り会って ふたとせのおあいこ
みとせで追いついて よとせと過ぎ去って
知りたくないような でも知りたいような
字余りに気づいて 詠み人が笑う
出典: MATATABISTEP/作詞:大胡田なつき 作曲:成田ハネダ
日本語の響きを美しく感じる歌詞ですね。「ひととせ」ってなんて美しい言葉でしょうか。
日本人なら分かるこの感覚。これを上手く歌詞に取り入れるパスピエ。素晴らしいです。
人と人との出会いと別れを綴っているような場面ですね。
「字余り」という言葉のチョイスもステキです!「字余り」という歌詞を初めて見ました(笑)。
「MATATABISTEP」の歌詞の世界はいかがだったでしょうか。イメージ優先の歌詞なので物語として捉えようとすると手の中をするりと抜けていきます。
頑張って解釈してもいいのですが、歌詞の意味はあえて追わないで音の世界にのせた歌詞のイメージを感じればいいのではないでしょうか。
個人の意見ですが。
楽しくて前向きなエネルギーを感じる曲なので、そのパワーを感じたいですね。