希望を失いかけている主人公

街灯は消えてく 孤独な夜が誘う

騒がしい日々の眩しさに 今日を演じてる
憧れと好奇心 眩み 目は霞んでゆく

退屈な自分は 窮屈な日常は 忘れ去って
踊るナイトタウン

出典: 夜のピエロ/作詞:biz 作曲:biz

歌い出しから既に、夜のかもし出す「闇」を感じさせる歌詞

明かりが1つ、また1つと消えていくたびに、自分の中の希望も消えていってしまうようです。

それでも日が昇れば、寂しさなど感じていないかのように明るい笑顔を浮かべている主人公。

周りにいる誰もが、その笑顔の裏に隠された孤独など知る由もありません。

主人公から見た周りの人々は、誰もが明るい未来を見据え、輝いた毎日を送っているように見えます。

自分のように偽りの笑顔を浮かべている人など誰1人としていない……。

そう思えば思うほどに他人がうらやましくなり、自分のことがどんどんと嫌いになってゆくのです。

そんな息苦しい1日を終えれば、主人公は夜の世界の住人に早変わり。

明るさのない世界でならば、本当の自分をさらけ出すことができるのです。

誰も他人のことなど気にしていないかのような夜の世界は、いわば主人公の生きる世界。

その闇が、悲しみや寂しさを覆い隠してしまうかのようです。

どうしても諦められない未来

喜びも幸せもない日々

Ado【夜のピエロ】歌詞の意味を考察!なぜ煌めく街の明かりが色を変える?ピエロの存在と孤独に迫るの画像

もう慢性的な不感症 未体験 街を抜け出そう
鏡とその面影 でも あどけなくて

出典: 夜のピエロ/作詞:biz 作曲:biz

とはいえ、主人公の周りにも心躍る出来事がないわけではありません。

普通であればわくわくするような出来事も、心の沈んだ主人公には届いていないだけ。

他人が感じる幸せを、同じように受け取ることができないでいるのです。

思い返せば、それはもう何年も前からのことだったように思えます。

長い間希望を感じてこなかった主人公は、自分には何1つ良いことなどないと諦めてしまっているかのよう。

ならばこんな変わり映えのない毎日を抜け出して、新たな世界に足を踏み入れたい……。

そう呟く自分の姿は、子供のような純粋さすら感じさせるものでした。

今日もまた、自分自身を嘲笑って

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サヨナラを告げた 自分を嘲笑った
これでいいんだ 止まった終電

出典: 夜のピエロ/作詞:biz 作曲:biz

あと1歩というところで、新たな世界へ踏み入ることを止めてしまった主人公。

希望を求める純粋な心とは裏腹に、中途半端に大人になった心がその足を止めてしまっているのです。

「どうせどこへ行っても同じことだ」といわんばかりの表情……。

それは確かに自分自身であるにもかかわらず、「敵」のような腹黒さを持ち合わせていました。

これまでに何度も何度も覚悟を決め、自分を変えるための1歩を踏み出そうとしてきた主人公。

途中で心が折れるたびに、「どうせ自分なんか」と言い聞かせてきたのです。

それが積み重なった結果、主人公の心には自信など少しもなくなってしまいました。

そして今日も同じように、変わり映えのない毎日へと戻っていくしかないのです。

かつて抱いた大きな夢

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いつか忘れてた この夢も
日々の幻想に消えてゆく

出典: 夜のピエロ/作詞:biz 作曲:biz

今は自分に希望を見い出せずにいる主人公ですが、かつては他の人と同じように大きな夢を描いていました。

しかし、自分と他人を比べていくうちに、「どうせ無理だ」という気持ちが上回ってしまったのです。

何度も何度も自分に言い聞かせていくうちに、いつしか夢を見ることすらしなくなってしまった主人公。

楽しくて希望にあふれた毎日は夢のまた夢……願ってはいけない夢なのです。

他人のような笑顔を浮かべることなど、主人公にとっては夢物語と同じこと。

周りと自分が同じ世界に生きていることなど、すっかり頭から消えてしまっているのです。

人は誰でも明かりを求めて生きている

闇を覆い隠すネオン

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