ユニット出演映画の主題歌となった「少女交響曲」

元は一般人で構成された声優ユニット

【少女交響曲(Wake Up, Girls!)】歌詞を徹底解説!ありのままの"交響曲"が勇気をくれるの画像

Wake Up, Girls!(以下WUG)は女性声優7人からなる声優ユニットです。

同名のアニメでも全員が主役を務めており、元はこのアニメの為に作られたユニットでした。

メンバーは元々は事務所所属をしていない一般人であることが特徴です。

アニメWake Up, Girls!」は1期、劇場版、新章が発表され、着実に知名度を上げていきました。

続・劇場版 前篇「Wake Up, Girls! 青春の影」主題歌

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「少女交響曲」は劇場アニメ「Wake Up, Girls! 青春の影」の主題歌として制作されました。

この劇場アニメは劇場版「Wake Up, Girls!」の第二弾、その前編です。

内容としてはアニメ1期の直接の続編となっており、ファンとしても見ごたえのある内容だったのではないでしょうか。

CDのみのバージョンとCD+DVDバージョンが発売されており、DVDには同曲のフルMVが収録されています。

作詞担当の辛矢凡の正体は…

アニメーション監督のもう1つの顔

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「少女交響曲」には音楽用語が多く出てきます。

それ故に作詞も音楽に精通した人間が行っていると考えても無理はないでしょう。

この曲を作詞した辛矢凡。実はWUGのアニメーション監督を担当した山本寛その人なのです。

企画の立ち上げ人としてWUGに関わっていた山本寛。

本業とは違う作詞家としての才能を遺憾なく発揮しており、楽曲のクオリティアップに一助しています。

ここからはそんな歌詞にフォーカスを当て、曲の物語を紐解いていきます。

青春時代の甘酸っぱさが香る歌詞

物語の始まりを感じさせる「序奏」

まだほんの序奏だから 怖いなんて言ってない
高鳴る胸の鼓動 制服でそっと隠して
ポリフォニックな夢に溺れ 自分が見えなくなるの
これが初恋でなかったら すべてを脱ぎ捨てるのに

出典: 少女交響曲/作詞:辛矢凡 作曲:田中秀和

主人公の恋物語が交響曲として紡がれていくこの曲。

「序奏」は現代楽曲におけるイントロを意味します。

しかし、交響曲における「序奏」は、例外はあれど遅いテンポで演奏され、主要部で早くなるものが多いです。

交響曲における「序奏」として表現することで、初恋の始まりをゆっくりとした空気感で表しています。

そして、ここから激しさが増していくことも暗示しています。

制服を着ていることから、主人公の年齢が大まかに想像できますね。

「ポリフォニック」とは多声音楽を指します。いくつもの音が折り重なっている状態です。

ここでの折り重なっている「夢」とは、初恋が成就した場合に実現したいことを指しています。

これは最後の行を参照すれば分かります。

「夢」を叶える為に偽物の自分を形成してしまい、本当の自分を表に出すことができない。

初恋の相手の前では取り繕ってしまい、素の性格が出せていないことが分かりますね。

そのことに対するもどかしさが歌詞から表れています。

繊細な思春期の感情

揺れる 少女の気持ち ガラスのように脆く痛い
このままじゃ (告っちゃえちゃえちゃちゃえ!)
壊れそう (アナタならきっと大丈夫!)
もう私 (バクハツ寸前!) あふれる…!

出典: 少女交響曲/作詞:辛矢凡 作曲:田中秀和

WUGから主人公への応援歌としての機能が最大限に生かされている部分です。

カッコ書きで書かれている歌詞は、心の中でWUGが囁いているものと考えることができます。

アイドル歌謡として王道と言える。聴き手、歌い手、物語の主人公のクロスオーバーが見事に行われていますね。

歌詞の内容に今一度目線を戻してみましょう。

思春期の恋心をガラスに喩え、すぐに割れてしまいそうな繊細さを表現しています。

もう初恋相手への想いがあふれだしそうで、本能的には今すぐにでも想いを伝えたいことが分かります。

そんな主人公の感情をWUGがポジティブな言葉で後押しします。

最後の三点リーダーと感嘆符によって、サビへの盛り上がりを歌詞単体でも容易に想起できるようになっています。

こういった細かいテクニックからも、作詞家の実力が窺えますね。