不本意の毎日
捻じ曲がったパイプ キティちゃんのサンダル
メリケンサック 無くなる時間の感覚
血だらけの制服 千葉の片田舎
帰り道耳に入れたイヤホンから般若
出典: 真っ黒い太陽/作詞:GADORO,輪入道 作曲:YUTO.COM TM
暗い過去があるのは、決してラッパーの道を志したからではありません。
歌詞を見ていくと、報われない過去の情景がありありと描かれています。
それは彼の努力が足りなかったわけでも、才能がなかったからでもないのです。
育った環境そのものが、良くなかったということでしょう。
誰しも生まれる場所は選択できません。
特にこどものうちは、置かれた環境で育つしかないのです。
当然、いじめや暴力などがはびこる環境でもたくましく生きていくことを強いられます。
その中でGADOROがどうだったかは分かりません。
しかし彼が心に常にわだかまりを抱えて生きてきたことは確かでしょう。
誰のせいでもない粗悪な環境の中で、不本意さを感じながら生きてきたのです。
過去への後悔
出来るなら償いたい
ご察しの通り俺は諂わねぇ
それでも失った信用なら得るからね
ダサくても足掻くしか無えんだよバカタレが
近くにいるよもう一人の片割れが
出典: 真っ黒い太陽/作詞:GADORO,輪入道 作曲:YUTO.COM TM
GADOROが今こうして過去と向き合っているのはなぜでしょうか。
それは過去の過ちなどを清算したいという気持ちがあるからでしょう。
今までのことを考えると、清算などといった綺麗なことは出来ないかもしれません。
それでも過去を無かったことにせず、自分の醜い生き方に目を向けているのです。
今まっすぐに過去を見つめるこの状態がまさにGADOROらしさともいえるでしょう。
不本意な環境で自分らしさも忘れ、姑息に生きていた自分。
しかし今は自分らしく正直に生きている。
だからこそ当時を振り返り、その罪償いをしたい。
そんなGADOROの後悔と贖罪の念が感じられます。
自分の生き方を考える
中途半端な優しさで損してばっかり
でもそれでいいよ頑張っていってらっしゃい
死ぬまで治らない醜いな自分
出典: 真っ黒い太陽/作詞:GADORO,輪入道 作曲:YUTO.COM TM
「GADOROらしい生き方」とは何か。
それはこの歌詞でよく表れています。
不器用ながらにも、やさしさを忘れない。
そんな生き方が最も彼らしいといえます。
それが災いして損をすることもしばしば。
今までそれがゆえに馬鹿を見てきたことも数多くあるでしょう。
しかしもう彼は後には引きません。
というよりも引けないのです。
色々な犠牲を払って、自分らしさを失ってまで突き進んできたこの道。
今更引き返すことは出来ません。
いくら暗い過去を背負っても、辛くても、彼は自分なりにこれからも生きていくでしょう。
人間らしく、そして愚直に、自分らしく進んでいきます。
音楽シーンへの反抗
ヒットチャートへのアンチテーゼ
ラーメン屋のベタベタのテレビで紅白見る
この国のチャートなんて大体操作済み
汚れた手で幸せを作る工作員
逆転を狙う冷静に狡猾に
誰かに近づくための方法を模索し
自分は自分でしかないことを今日も確信
出典: 真っ黒い太陽/作詞:GADORO,輪入道 作曲:YUTO.COM TM
自分らしさをようやっと手に入れたとはいえ、志は夢半ば。
そこまで素晴らしい生活を送れているというわけではありません。
年末もさびれたラーメン屋で一人、麺をすする様子がありありと描かれています。
見るからに寂しい光景です。
そこでテレビに映し出されているのは大物アーティストが集う紅白歌合戦。
しかしラッパーのはしくれでもある自分からしたら胸糞の悪い番組でしかありません。
丸く角が切り取られ、大衆ウケだけを考えた音楽。
それに便乗するファンや関係者。
日の目を浴びずに業界から消えていく人も数え切れません。
そんな様子を虎視眈々と眺めているGADORO。
今までの苦節も含め、ここいらで音楽シーンに一泡吹かせてやりたいという気持ちが表れています。
「自分らしく」「自分にしかできないことを」そう考える日々。
そんな中でこの曲は生まれたのではないでしょうか。
どん底でも前に進むしかない人生
辛くても自我は失わない
降り注ぐ雨で隠した涙
後には引けねえやるしか無いんだ
出典: 真っ黒い太陽/作詞:GADORO,輪入道 作曲:YUTO.COM TM