悲しくもないし苦しくもないのに
辛いと思うだけ 辛いと思うだけ
出典: メリュー/作詞:n-buna 作曲:n-buna
大切な人を失った感情をどうにかして処理しようとする主人公。
グツグツと煮立った頭で導きだされた答えは2行目の歌詞の感情でした。
純粋に2行目の歌詞の感情しか感じていないのでしょう。
1行目の歌詞の感情を感じない程に心にショックを受けているようです。
いまいち現状を飲み込むことができず、どこか他人事のように感じる現実。
しかし胸だけは確かに痛いと感じているようです。
泣くこともできず失ったショックを胸にずっと抱えるというのは非常に辛いもの。
それだけ主人公にとって身近な人だったのでしょう。
妄想か現実か
古びたバス停の端傘を持った僕がいる
今でさえ埃を被った夜空の隅に足はつくのに
出典: メリュー/作詞:n-buna 作曲:n-buna
大切な人が亡くなった悲しみを受け止めきれない主人公は現実逃避に走ります。
バスの外から見送っている自分と葬儀用バスに乗っている自分。
どちらかが現実でどちらかが妄想です。
ショックで現実感を持てない主人公からするとどちらでもいいのかもしれません。
そんなに重大なことではないと。
ふわふわと夢見心地の状態だと2行目の歌詞のように不可能なことだってできるかもしれません。
もし本当にできるのであれば、亡くなってしまった大切な人に会えるかも。
そう考えると妄想の世界で生きていくのも悪くはないかもと幻想に想いを馳せている様子。
どちらにしろ痛々しい心情です。
本心は見て見ぬふり
心臓が痛いから死んだふりの毎日を見なよ
もういっそ死のうと思えたなら僕はこうじゃなかったのだ
出典: メリュー/作詞:n-buna 作曲:n-buna
どうしなければいけないのかは主人公自身がちゃんと分かっています。
ふわふわと現実味を帯びない日常生活。
生きている状態だけど心が死んでいるような生活でした。
こんな生活を送るようだったらいっそのこと…。
と、後ろ向きな考えに支配されることも何回もあったでしょう。
そしてその後ろ向きな考えのまま行動を起こしていたら、楽だったかもしれない。
それでも主人公は現在、その後ろ向きな行動を起こしていません。
死んでいるような生活を送りつつも、心のどこか奥底では本当の答えをもっていたようです。
暗闇から見える光
どうせ死ぬくせに辛いなんておかしいじゃないか
どうせ死ぬくせに辛いなんて
出典: メリュー/作詞:n-buna 作曲:n-buna
命を持っているものはいずれ消えてしまいます。
それは主人公にも当たり前にくるもの。
結局の所、今主人公が辛い思いをしている時間も無になってしまうのです。
行きつく先は何もない所なのに、どうして今こんなに苦しい思いをしなくてはいけないのか。
そんな考えが主人公の思考の中でグルグルと渦巻きます。
この質問に対する模範的な回答は存在しません。
主人公が自分で納得のいく考えを出さないと前に進むことができないのです。
現状を変えたい
だから愛さえないこんな世界の色に僕の唄を混ぜて
もうどうかしたいと思うくせに僕はどうもしないままで
出典: メリュー/作詞:n-buna 作曲:n-buna
暗く沈んだ気分の状況の中でも主人公は、このままじゃいけないと心のどこかで思っていたようです。
どこか夢心地な現実味を帯びない生活の中でも確かな違和感があったのでしょうか。
味わいもなければ色もない単調な世界を変えたい。
大切な人が亡くなる前のような当たり前の生活を感じたいと無意識で思っていたのかもしれません。
どうにか現状を変えたいけれども、そう思っただけで行動できたら苦労はしません。
今の状態ではいけないなと思いつつ、その単調な生活に身をゆだねたままなのです。
どうにかしたいという気持ちと、どうにでもなれという気持ち。
2つの矛盾する気持ちの中で主人公は揺れています。
行動や変化を起こすのは、何かと大変です。
慣れないことをするのは億劫に感じることもあります。
気分が沈んでいる状態だとなおさらです。
だから、どうにかしたいと願いつつも動くことができない。
今の段階から抜け出せずにもがいている様子が想像できます。
大切な人の笑顔
灯籠の咲く星の海に心臓を投げたのだ
もう声も出ないから死んだふりなんてどうもなかったのに
僕もきっとこうで良かったのに
君がずっと遠く笑ったのだ
出典: メリュー/作詞:n-buna 作曲:n-buna
結局の所、主人公が立ち直るきっかけを与えたのは大切な人の笑顔だったようです。
主人公の過去の記憶なのか、精神的なショックからくる幻覚だったのか。
ひょっとしたら何気ない写真だったかもしれません。
心が死んでしまっているような生活を送っている中で、ふと思い浮かんだのでしょうか。
主人公だけだったら恐らく、ずっと色のない単調な生活を送っていたことでしょう。
しかし大切な人の笑顔を見て、ハッと我に返るのです。
こんな状態の自分をみて相手はどう思うだろうか。
そんな疑問をきっかけにちょっとずつでも主人公は立ち直っていくのでしょう。
その立ち直る段階の1つとして、涙を流す。
これから笑うために今抱えている辛い気持ちを吐き出すという行為は大切です。
主人公も大切な人の笑顔を思い出すことで、涙が流れるようになったのでしょう。