「三つ子の魂百まで」といわれます。
確かに、大人になると変なプライドを持ってしまい、誰かの良さを素直に受け入れることができなくなります。
誰かに影響されないのが「個性」という考えもあり、あえて反発してしまうこともあるでしょう。
でも彼は違います。
顔を上げて「約束」に向かって歩けるようになりました。ポジティブな考えができるようにもなりました。
これは全て「君」の影響です。
「君」の良い部分を真似て、目標とすることで「僕」は積極的に歩みを進めていけるようになったのです。
「君」に出逢うまでは下積みの時間
本当に強い気持ち一つあれば 人生を変えられる
本当に愛し合える人が一人いれば それだけで幸せになれる
最愛のパートナーに めぐり逢うまではpractice
人を信じ 裏切られたり 逆に裏切ってしまったりと やらかす過ち
出典: 春夏秋冬。/作詞:ハジ→ 作曲:ハジ→
「君のようになりたい」という理想を叶えるために、寄り道をしたり歩く速度を変えたり、工夫しながら進むようになるはずです。
これは、自分が主体となって人生の舵取りをするということ。流されずに生きることができます。
自分が尊敬できるたった一人と心が通じれば、多くの人に愛されなくても心は「愛」で一杯になるでしょう。
今「僕」はこうしたことが理解できるようになりましたが、以前は違ったのです。
愛の量ばかりを追い求めたり、他人の思考に流されてしまったり、失敗を重ねてきました。
そうした経験があったからこそ今の「僕」がいる、これをしっかり認めているのも彼の強さではないでしょうか。
思いやりは惜しまない
人は完璧じゃないから 傷つけて 傷つけられて学ぶ
そしてまたさらに 優しい人になって
この世界の誰かにとっての 会いたい人になる
また 会いたい人になる
出典: 春夏秋冬。/作詞:ハジ→ 作曲:ハジ→
「僕」は失敗の経験から、痛みを知りました。
痛みを感じる経験をすれば、自分が誰かを痛めつけていたことに気づくのでしょう。
「君」と出逢ってから、二人の間が常に平和だったわけではないはずです。
きっと衝突することもあって、その都度後悔をして、同じ過ちはしないと心に誓ったのではないでしょうか。
これを繰り返すたび「僕」は目標としていた「君」に近づいていきます。「君」のような人になっていきます。
「君」もまた主人公のことを「また会いたい人」だと思うはずです。
でも彼は「君だけにとっての会いたい人になる」とは言っていません。
もちろん「君」を含んではいますが、「君」だけを思いやるような人間にはなりたくないのです。
思いやりは多くの人に、愛は「君」だけに。
それこそが「僕」が目指した「君」の姿なのでしょう。
「逢う」と「会う」と散る桜
また 出逢いたい人が居るから 僕らは歩き続けてく
この命 ここにある限り 春夏秋冬 未来へ歌うよ
あの桜の木の下で また出会える日まで 離れ離れ
「またね。」
花びら散るこの場所で あの日のように 変わらぬままで
出典: 春夏秋冬。/作詞:ハジ→ 作曲:ハジ→
1番のサビでは「会いたい人」と歌われていますが、ここでは「出逢いたい人」となっています。
そしてその後「出会える日」と書かれています。
「逢う」と「会う」は、前者が偶然で後者が計画的なもの、という違いがあるとされています。
主人公は「偶然の出逢い」を願って進んでいくようですね。
次の春の再会を約束したから「会」を用いたのでしょう。
ここで映画の設定を思い出してください。余命幾ばくもない妻と主人公の物語です。
もし妻が先立ってしまったら、主人公は偶然でもいいから妻に「出逢いたい」と思うのではないでしょうか。
思い出の季節、思い出の場所に立てば妻に逢えるだろうと信じて、日々を過ごしていくのです。
幻でもいい、妻に逢えたらきっと彼女と約束するのでしょう。
「次の春もまたここで会おうね」
次は偶然ではなく、約束です。
1番で「花びら舞う」だった歌詞が「花びら散る」となっていることから、悲しい別れが読み取れました。
変わるものと変わらないもの
あの日のように 君と笑って
あの日のように 夢を語って
あの日のように 抱きしめ合って
あの日のように 互いを讃えあって
君とまた 出逢った時に 叶えたいことがたくさんありすぎて
言い尽くせないけど いくつ歳を重ねても 何も変わらない
決して変えられない 想いがあるんだ
出典: 春夏秋冬。/作詞:ハジ→ 作曲:ハジ→
もしまた思い出の場所で逢うことができたら、「君」に憧れたあの頃と同じ時間を過ごしたいと考えています。
あれがしたい、これがしたいと挙げていくときりがないほどです。
先立った「君」は歳を刻まない姿で「僕」と出逢いますが、「僕」は徐々に老いていきます。
しかしたとえ見た目が変わったとしても、「君」が生きていた頃と同じように彼女を尊敬しています。
また、変わらない大きさの愛を持っていますし、変わらない優しさで居続けることでしょう。
絶対に変わることができない「君」に、自分だって絶対に変わらないからと強く訴えているように感じます。
切なポジティブ『春夏秋冬。』
ハジ→が映画の設定を知った上で『春夏秋冬。』を作ったのかどうかは分かりません。
ですから、パートナーの死を前提として作られた曲ではないかもしれません。
しかし舞っていた桜が散る描写から、永遠の別れの後の出逢いと、出会いの約束の歌だと読み取りました。