MVではSHINeeを主人公とした探偵物語が展開されます。探偵たちの前には宝石の謎とともに一人の美女が現れます。

どこから来たのか何者なのか、一切分からない謎の美女。物語の結末には驚くべき出来事が待っています。結末はみなさんもMVをご覧になって確かめてみてくださいね。

この謎の美女として登場するのは、なんと当時(2012年)、K-pop女性アイドルグループ少女時代の一員だったジェシカです。

5人の前に現れては消える不思議な女性の存在感は無視しようにもできません。

少女時代SHINeeと同じSMエンターテイメント所属のグループです。同じSMエンターテイメント所属アーティスト同士で互いのMVに出演することはよくあることなのだそうです。

SHINeeの「Sherlock」に少女時代のジェシカが出演した一方で、少女時代の「Gee」のMVにはSHINeeのミンホが出演しています。

「Gee」のMVもチェックしてみてください!

少女時代「Gee」

実力派コレオグラファーの起用

「Sherlock」の振り付けを担当したのはコレオグラファーであり、自らもダンサーでもあるトニー・テスタ

晩年のマイケル・ジャクソンや、その妹ジャネット・ジャクソン、カイリー・ミノーグ、ブリトニー・スピアーズなど、世界の大スターたちに振り付けをした実力派コレオグラファーです。

画面奥側から手前へと大きく膝を上げるステップで進む、通称「ゴリラ・スキップ」。

5人の動作のシンクロと、時間の進行とともにシンクロした動作が少しずつずれていくさまをひとつのシーケンスで見せる「ミラーダンス」。

「Sherlock」MVではそういった特徴ある振り付けが随所に見られます。

体幹の筋力が問われる低い体勢でのポージングも多用されて、難度が高い振り付けですが、これをさらりとこなしてみせるととても御洒落に見えます。

そのような演出ができるのが、コレオグラファーとしての技術なのでしょう。

テスタ氏はSHINeeが所属するSMエンターテイメントと契約し、同事務所のほかのタレントたちにも振り付けをしています。

東方神起EXO、NCT127、SUPER JUNIORなどもテスタ氏の振り付けで踊っています。

またSHINeeも「Sherlock」のほかに、「Everybody」(『SHINee THE BEST FROM NOW ON』収録)や「Dream Girl」(『I'm Your Boy』収録)などもテスタ氏の振り付けで踊っています。

「Sherlock」歌詞

作詞家・小林夏海

「Sherlock」を作詞したNatsumi Kobayashiとは日本の作詞家、小林夏海です。「Sherlock」のほかにも「Password」、「3 2 1」、「Stranger」などを提供しています。

また、JUJU「さよならの代わりに」、中孝介「恋」、V6「メジルシの記憶」など、日本のアーティストにも歌詞を提供しています。

SHINeeの場合は、もともと韓国語の歌詞がついていた曲に、日本でのリリースのために日本語詞をつけるということをするのですが、この作詞は通常の作詞よりも難しい部分があります。

韓国語詞の意味から大きく外れないように、しかし直訳詞のように珍妙な日本語にならないように、韓国語版を聞き慣れた人にも違和感を感じさせないような詞を書く必要があります。

SHINeeの日本語歌詞は韓国語版を先にたくさん聴いてすっかり慣れてしまった日本のファンも違和感なく聴くことができると評判です。

小林夏海は、そのように韓国語版、日本語版の両方を聴く人の耳にも耐え得る歌詞を書く優秀な作詞家の一人です。

恋のトリックを解き明かせ

名探偵の彼は「シャーロック気取って」「君」へと迫っていきます。恋のトリックは解明できるのでしょうか。

直感した All stop 君はきっと知ってる
斬新なトリック読み解く 本当の鍵 始めようか mystery
シャーロック気取って 追いつめてく oh

It's true? 些細なヒントも見逃さない
狙っているんだろう? treasure in my mind
It's you? 不安そうなその目がたまらない
隠さないでちゃんと 見せてごらん freeze!

出典: Sherlock/作詞:Natsumi Kobayashi 作曲:Thomas Troelsen(Rufio Sandilands・Rocky Morris)・Thomas Eriksen

名探偵に必要で重要なのは観察眼です。些細なヒントも見逃してはいけません。

それホント? 「君」でしょう?

そう問いながら「シャーロック」は真実と「君」を追い詰めていきます。

名探偵と追われる者の物語がはじまります。

もしかしたら全部リアルな夢 目の前の君の姿も
What's the truth? 確かめられない Where's the truth?
苦しい…fade out…

You don't say, baby シャーロックは君の方なのか
No まさかこのままじゃ終われない終わらない

出典: Sherlock/作詞:Natsumi Kobayashi 作曲:Thomas Troelsen(Rufio Sandilands・Rocky Morris)・Thomas Eriksen

謎やトリックを解き明かしていたはずの「シャーロック」。事実と虚構が交錯して何が真実なのか分からなくなってしまいます。

自分が真実に迫り「君」に迫っていたのではなく、「君」が自分に迫りつつあるのかも、と立場の逆転を悟ったものの、「君」との関係をそのままにはしておけません。

混乱、逆転、さあ二人はどうなるのでしょう。

犯人探しの妄想 僕ら以外は no more 立ち入り禁止 sorry
不可能だって!逃亡 消去しないで証拠 ここから make a story

Oh I'm curious yeah 探してた ずっと君だけ yeah
Oh I'm so curious yeah, I'm so curious yeah

出典: Sherlock/作詞:Natsumi Kobayashi 作曲:Thomas Troelsen(Rufio Sandilands・Rocky Morris)・Thomas Eriksen

混乱、逆転を経て「make a story」と相成った二人。探偵と追われる者の物語は終わり、新しい物語をこれからつくっていくのです。

「シャーロック」は確信します。好奇心旺盛に探していたのは、ずっと「君」だけだと。立場が逆転したようでいて、「シャーロック」はちゃんと「君」を捕まえたようです。 

歌詞は「逃亡」「消去」「証拠」と押韻しながら並んでいるのがおもしろい箇所です。作詞家の技量が垣間見える部分です。

まとめ