暑いから服を脱いで、お互い水着にでもなって遊んでいるのでしょう。
その様を「夏い」と独特な形容詞で表しているのが特徴的です。
「まさにこれこそ夏だね!」というニュアンスかと思われます。
本来この表現は一般的ではありませんが、若い人が似たような表現をすることが多いです。
歌詞にした言い回しは、そこから転じたものなのでしょう。
こうしたシーンは恋愛小説の定番ですが、実際はなかなかお目に描かれるものではありません。
あまり現実的ではない青春の一ページを、「小説色」としているのだと感じます。
潮風の駆け落ち
高気圧なあの子は約束を守りに行く(electric summer)
思い出して(electric summer)
大空になる(electric summer)
街に消えゆく、(electric summer)
君の逢いたい(electric summer)
潮風に乗り(electric summer)
駆け落ちていく(electric summer)
人波の中(electric summer)溺れたとしても
出典: ELECTRIC SUMMER/作詞:小出祐介 作曲:小出祐介
人の特徴を「高気圧」というのは珍しいですね。
一般的に高気圧は晴天をもたらしてくれるものなので、「あの子」はいつも人を笑顔にする人物なのでしょうか。
約束をしっかり守るからこそ、他人の心を快晴にしてくれます。
主人公は、相手のそんな姿を思い出しているようです。
逢えたなら、風に乗って駆け落ちしたいと思うほどに。
要するに、二人でどこかに行ってしまいたいということでしょう。
人がたくさんいる都会に流れ着いたとしても、彼らが離れることはありません。
歌を作ろう
夏空を観音開きに封切って、零れた水色
オルゴールに詰めた 君が書いた詩に
俺が曲をつけてくように弾ける、降り始めた雨
出典: ELECTRIC SUMMER/作詞:小出祐介 作曲:小出祐介
ここの歌詞はまるで小説のような、美しい情景を思わせる表現が続きます。
「観音開き」とは真ん中に切り込みを入れ、左右を両開きのようにして開けることです。
よく鶏むね肉の処理で使われることが多いでしょう。
夏の空にも同じことをしたら、「水色」がこぼれたといいます。
これは空の色が液体になったものでしょうか。
それとも、3行目に登場する「雨」?
空の切れ目から雨が降る…素敵な表現ではないでしょうか。
好きな人が作った言葉を、主人公が雨で作曲していくかのように読み上げているようです。
少し不思議で、幻想的なシーンですね。
夏は晴れ渡った空というイメージがつきものですが、実は天気が急変しやすい時期でもあります。
「君」がもたらした「晴れ」から、次第に空模様が崩れていくのでした。
あなたに逢いたい
主人公が想っている相手は、他人の心をぱあっと晴れさせてくれる人です。
明るくて、ずっと側にいたくなる人なのでしょうね。
その人と一緒に過ごす夏の季節は、文字通り青春を謳歌することになるに違いありません。
町を照らす太陽
町中が爛々と鳴ってる
太陽の感覚が俺に伸びてる
出典: ELECTRIC SUMMER/作詞:小出祐介 作曲:小出祐介
冒頭に出てきたきりだった「太陽」がここにきて再登場します。
「町」が一斉に音を立てるということはないので、1行目も何かのたとえと考えるべきでしょう。
太陽の光に照らされ、ビルなどの建物がその反射で光っていると考えられます。
その光っている様子が、「爛々」と音を立てているように見えるのではないでしょうか。
やがて日光は主人公にまでその腕を伸ばします。
照りついているのを感じているのです。
夏の太陽は角度が高いので、頭上からその存在を感じているのでしょう。
永遠はそこにある
永遠の存在を今、確かめる(electric summer)
思い出して(electric summer)
大空になる(electric summer)
街に消えゆく、(electric summer)
君の逢いたい(electric summer)
出典: ELECTRIC SUMMER/作詞:小出祐介 作曲:小出祐介
世界に「永遠」などない、とはよくいわれる言葉です。
しかしながら、この歌詞では敢えてその存在を肯定しています。
たとえばどこまでも高く広がる空は、いつまでも変わらずそこにあるものです。
何千年も昔からあり、自分がこの世を去った後も存在し続けるでしょう。
3行目の「大空」はこの「永遠」の象徴のように感じられます。
ですが2行目以降の歌詞は繰り返しなので、どういった思いが込められているのかはここだけでは分かりません。
もう少し続きを見てみることにしましょう。