スピッツ「スパイダー」とは?

スピッツ「スパイダー」の歌詞解釈とは?動画検索とブログありの画像

スピッツ「スパイダー」1994年発売の通算10作目のシングルです。

もともと5枚目のアルバムである「空の飛び方」に収録されていましたが、ラジオで人気だったことからシングルカットされました。

カップリングとして収録された「恋は夕暮れ」も同じように「空の飛び方」からのリカットとなっています。

カップリング曲は「恋は夕暮れ」

恋は昨日よりも 美しい夕暮れ
恋は届かない 悲しきテレパシー

出典: 恋は夕暮れ/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

カップリングの「恋は夕暮れ」は、「恋は昨日よりも美しい夕暮れ」という印象的な歌詞で、恋をすることで昨日と同じ夕暮れが美しく見えるという、誰もが共感できる、いい意味でごく普通の恋を歌った歌です。

では、「スパイダー」に描かれる恋はどんな恋なのでしょうか。

まずは動画から調べてみたいと思います。

意外と見た事がない!?スピッツ「スパイダー」のMV

数あるスピッツの曲の中でも人気曲の「スパイダー」ですが、オフィシャルMVのYou Tubeでの再生回数は4,018,651回と少し控えめ。(2017年8月10日現在)

この数字からは「スパイダー」が好きでもMVは見た事がないという人がいるのではないかという事が推測されます。

そんな気になるMVは一体どんな内容なのでしょうか?

ヘリポートに蛍光のチューブ?ミステリアスなMV

蛍光塗料が入っているのか怪しく光る細いチューブの映像から始まるこのMVは、演奏している映像と同時に、チューブにぐるぐる巻きにされているボーカルの草野さんの映像やヘリポートで寝そべるシーンなど、とにかくミステリアスな雰囲気です。

個人的には「スパイダー」や、「運命の人」のような、初期のスピッツのMVに見られるシュールさは好きですが、戸惑う人も多いでしょうね。

タイトルが「スパイダー」であることもあり、長く細く、光っているチューブが蜘蛛の糸を表現しているとしたら、ヘリポートでメンバーが空を見上げながら寝そべる姿は太宰治の「蜘蛛の糸」のように、天から蜘蛛の糸が降りてくるのを待つ心境でしょうか。

いずれにせよ、MVの内容から「スパイダー」が歌っている恋に近づくのは無理そうなので、次は歌詞を見ていきたいと思います。

スピッツ「スパイダー」の歌詞を解釈してみる

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「もっと遠くまで君を奪って逃げる」という歌詞から連想して、誘拐の曲などと言われることも多い「スパイダー」の歌詞。

確かにいろんな解釈があっていいと思いますが、個人的には「スパイダー」のカップリング曲の「恋は夕暮れ」のように、いい意味で普通の、もがいいなと思えるような恋愛の歌ではないかと思っているので、今回はそんな解釈を紹介します。

「君」の可愛さに比べたら僕なんて地下室のすみっこの「スパイダー」

可愛い君が好きなもの
ちょっと老いぼれてるピアノ
さびしい僕は地下室の
すみっこでうずくまるスパイダー

出典: スパイダー/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

「可愛い君」に対して自分を「スパイダー」すなわち蜘蛛に例えたのは、別に「僕」が陰湿な犯罪者だからでも、「君」を狙う捕食者だからでもなく、「君」を引き立てるためのただの比喩だと思います。

相手がいかに可愛いか、かっこいいかを伝えるために自分をへりくだって僕なんて君に比べたら〇〇みたいなものだよと言う場面、想像できますよね。

この場面で想像できるストーリーは、ほとんど誰にも使われず、埃がたまり、蜘蛛の巣が張っているような地下の倉庫には「老いぼれてるピアノ」があって、それをたまに弾きに来る女の子がいる。そんな女の子に話しかけるわけでもなく、ピアノを弾きにくるのをこっそり楽しみにしている孤独な蜘蛛。

主人公は「君」を女の子に、「僕」を蜘蛛に例えていると考えると、「僕」は「君」に比べるとはるかに地味ですが、「君」の好きなものを理解し、共有できる人物と言えるでしょう。

昔だったら「君と僕では月とスッポンかもしれないけど」なんて言ったのかもしれませんが、ここで自分を「スパイダー」にしたところが、地味ながらも少しヒールなかっこよさがある素敵な歌詞だと思います。

男から見たら女は洗い立てのブラウス?

洗いたてのブラウスが
今 筋書き通りに汚されて行く

出典: スパイダー/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

恋は盲目と言いますが男性から見たら好きになった女性はとてつもなく純粋で、可愛らしく見えるのかもしれません。

そんな「洗い立てのブラウス」のようにまっさらに見える彼女が自分と出会って少しでも変わっていく姿は自分の色に染め上げているような「汚されて」いくような感覚と言えるでしょう。

そんな恋愛の密かな優越感を続きの歌詞で何が起こるのか気になるような絶妙なワードチョイスで表現しているのがこの歌詞です。