岸田教団&THE明星ロケッツ6thシングル『ストレイ』
『ストレイ』は2018年2月にリリースされた6枚目のシングル。
古典的なハードロックサウンドとモダンなメロディラインが岸田教団&THE明星ロケッツらしい楽曲です。
同年の1月から放送されたTVアニメ『博多豚骨ラーメンズ』のOP曲として使用されました。
CDジャケットのイラストはメインキャラクターのひとり林憲明(リン・シェンイミン)、男性です。
アニメの世界観はサウンドにも取り入れられており、間奏のホーンアレンジがアダルトな印象を演出しています。
『博多豚骨ラーメンズ』について
『博多豚骨ラーメンズ』は木崎ちあきによるメディアワークス文庫刊行の同名ライトノベルのアニメ化作品です。
タイトルでラーメン屋にまつわる話かなと思わせておきながら、実際の内容はとてもスリリング。
人口の3%が殺し屋の街・博多を舞台に、殺し屋を狩る殺し屋という都市伝説「にわか侍」を巡る物語です。
必然的に夜のシーンが多く、肝心(?)のラーメン要素は中洲や食事シーンで登場する程度。
殺し屋はもちろん、私立探偵、マフィア、闇医者といった裏社会の住人たちによる群像劇が基本となっています。
夢のコラボが実現
CDジャケットに掛かれた女装男子の正体は……
TVアニメが放送されたのは2018年7月時点では1月~3月の1期のみ。
OP曲『ストレイ』のCDジャケットに描かれているリンの職業ももちろん殺し屋。
中国の貧困家庭出身で家族のために殺し屋になった彼は、のちに「にわか侍」に手を貸す重要な存在です。
金髪ロングヘア(設定では茶髪)が麗しい女装はただの趣味。普段から男言葉を使い、男の所作をしています。
登場当時は19歳とまだ若く、カッとなりやすくツメが甘いのが特徴です。
演じているのは『進劇の巨人』のエレン・イェーガー役などで知られる梶裕貴でした。
女性の服以外は普通の男性なのでわずかではありますが、冒頭で久々に梶裕貴の高音ボイスが聴けます。
ラストはいかにも続きを匂わせていたので、今後2期3期と続くのかもしれません。続報が楽しみです。
にわかについて
ここで余談ですが、物語の鍵である「にわか侍」について解説を。
日本刀を武器に博多仁和加で着用する「にわか面」をつけていることからそう名づけられました。
「にわか」とは江戸時代の関西で民間人に流行った素人(または素人紛いの役者)による即興の寸劇のことです。
それが各地に広まり、とくに博多では独自の発展をして無形文化財として現代に受け継がれています。
お面からも想像できるとおり内容はコメディが基本。現代でいうショートコントのようなものだったようです。
素人が即興で寸劇をするところから、「にわか」が一時的な状態を意味するようになりました。
ネタバレは避けますが侍でもその血筋でもない彼の正体は、正真正銘の「にわか侍」でもあったというわけです。
『ストレイ』の歌詞をご紹介
曲名の『ストレイ』が「はぐれ者」を意味するとおり、裏社会に転がり込んだ人物のことを歌っています。
底辺は「辺」があると夢を見させておきながら実際は足場なんてありません。底のない穴です。
裏の世界で生きるには何を拠り所にすればいいのでしょう。そんなことをふまえながら聴いてみてください。
夜明けを信じたいけれど現実は残酷
暗闇の中を ひとりで歩いている
きっと明日になれば 照らされると信じて
ネオンが映る川沿いで 今日だって昨日にかわっていく
この世界は複雑だった 人生に意味を探すように
だけどいつだって単純に君は決めてしまうんだ
見上げる 空が眩しくて
別に後悔とかはないんだけどさ
振り返る過去だってもうないんだよ
出典: ストレイ / 作詞:岸田 作曲:岸田