ここから今回のテーマである『ロマンス』を紹介していきたいと思います。
まずは楽曲をお聴きください。
リフレインが生みだす作用
いかがでしたでしょうか?
イントロの歯切れ良いストリングス。
そこから一気にサビへと入ります。
サビのメロディーは、1ブロックごとに仕切って聴いてみると、ほとんど同じリズムです。
文字で書くと「タタタ・タータ・タータ・ター」。
冒頭のサビではこのリズムが4回繰り返されます。
メロディーは4回のうち2回が同じメロディーです。
このように音のリズムやメロディーを繰り返すと、リスナーに効果的な作用をもたらします。
その作用とは、初めて聴いても覚えやすいということ。
覚えると声に出して歌いたくなる。
あるいは口ずさみたくなってくると思います。
そうするとメロディーが脳に焼き付き、完全に記憶されます。
もちろん繰り返しを使うすべての曲がそうではありません。
そこは阿久悠と筒美京平の匠の技と、圧倒的な歌唱力を誇る岩崎宏美あってのことですね。
最後のサビが聴きどころ
最後のサビは、今までのサビと違ったメロディーになっています。
それは「席を立たないで」の「立たないで」というところ。
ここで、今までのサビと違ったメロディーが歌われます。
それに合わせるようにホーンのアレンジも変化を付けていますね。
コード進行も若干違うと思います。
『ロマンス』は基本的にシンプルなコード進行ですが、こういったところでひねりを効かせているんですね。
『ロマンス』歌詞解説
サビ
あなたお願いよ 席を立たないで
息がかかるほど そばにいてほしい
あなたが 好きなんです
出典: ロマンス/作詞:阿久悠 作曲:筒美京平
まずはサビです。
ここで注目されるのが「席」という単語。
ここでいう「席」とは、いったい何にあたるのでしょうか?
例えば車の「運転席」あるいは「助手席」。
空港で飛行機を待っているときに使う「待合席」。
主人公と恋人が学生だとしたら、教室の「椅子」も考えられますね。
『ロマンス』の歌詞すべてを読むと分かりますが、「席」のシチュエーションは書かれていません。
あるいは「席」というのは比喩で、主人公の恋人としての「席」なのかもしれません。
阿久悠は、リスナーが自由に想像できる余地を歌詞に与えているのでしょうね。
そして次の注目点は「息がかかるほど」という言葉。
これは例えですね。
2人はまだ「息がかかるほど」寄り添っていない証拠でもあります。
Aメロ
ひとりでいるのが こわくなる
このまま逢えなく なりそうで
くちづけさえ 知らないけど
これが愛なのね
出典: ロマンス/作詞:阿久悠 作曲:筒美京平
「くちづけさえ知らない」という主人公。
そこから察するに、主人公はまだ学生なのだと思います。
主人公は女性ですね。
そして「あなた」は主人公の恋人です。
2人は付き合いはじめて日が浅いのでしょうか?
まだプラトニックな関係のようです。
そんな関係でも主人公の心に「愛」が芽生え始めます。
主人公にとって「あなた」は運命の人なのでしょうか?
サビ(2回目)
もしもとべるなら とんでついて行く
たとえ嵐でも たとえ遠くでも
あなたが 好きなんです
まるで今の私 迷い子のようね
あなたが 好きなんです
出典: ロマンス/作詞:阿久悠 作曲:筒美京平