「EVANESCENT」は「ハゲバラ」
今回ご紹介する「EVANESCENT」という楽曲は、VAMPSがリリースした3枚目のシングル。
2009年5月13日に発売されました。
前作までのノリノリで激しいロック調とうって代わり、「EVANESCENT」はミディアムテンポのバラードとなっています。
ボーカルHYDEいわく、この楽曲は「ハゲバラ(=激しくバラード)」とのこと(笑)
最初インタビューを見かけたとき、面白い表現に笑ってしまいました。
確かにザ・バラードという印象の曲調なのですが、ギターの音選びやリズムにはとても切れ味を感じます。
しっかりと16ビートのリズムを刻んでいることから、テンポが遅くても疾走感あふれているのが素敵ですね。
また、少ない言葉数とシンプルなメロディラインは、洗練された美しさを感じられますよ。
一見単調な音色もHYDEの「表現力の豊かさ」が様々な色どりを与えているのではないでしょうか。
LIVEでの激しい歌唱が刺さる
いかがでしょうか?
美しいキーボードの音色が奏でられ、歪(ひず)んだギターがそれをかき消すように曲はスタート。
サビではHYDEの歌唱にタメ(あえて正確なテンポより遅らせるテクニック)やハスキーさが増していますね。
後半につれ増えるダミ声はバラードの固定概念を打ち破ってくれる感じがしてカッコいい♪
この迫力はぜひライブで味わいたいものです。
「○○」をテーマに作られた楽曲
「EVANESCENT」はあることをテーマに制作された楽曲なのだそうです。
それは『夏の終わり』。
この後にご紹介する歌詞の中にも「夏」を連想させるキーワードが多く出てきます。
HYDEの思う「夏」とは一体どのようなものなのでしょうか?
タイトルの「EVANESCENT」は「はかない」とか「消えそうな」という意味。
歌詞の中には大切な「君」を失い、その存在感が消えるのを拒む心情が描かれています。
それでは、この楽曲に込められた「夏」のエピソードを一緒に紐解いていきましょう。
はかない歌詞に迫る
夏が終わり、また夏へ向かう
ここまで来たから心配しないで
ほら又夏へと向かって行くのが眩しい
出典: EVANESCENT/作詞:HYDE 作曲:HYDE
楽曲のテーマが「夏の終わり」だったことから、時期としては秋口なのでしょうか?
通常は紅葉の秋や寒い冬、暖かな春と連想していくと思いますが、この曲は違います。
もう「次の夏」へ向けて時間が流れていく感覚を表現しています。
それほど「EVANESCENT」の主人公にとって「夏」という季節が特別なのかもしれませんね。
冒頭の「ここまで」から今に至るまでに何かしらの苦労を乗り越えてきたことも伺えます。
どんな経験をしたのかは、この後の歌詞であきらかになることでしょう!
そしてなんと、Aメロはこのフレーズのみで終了してサビへと入ります。
本当に言葉数が少なく、ひとつひとつ厳選されているのですね。
目の前の情景より過去を見ている
あぁ、世界は風に揺れ
潤んだ雨の跡映しても
遠い日の影を僕は追掛てる
出典: EVANESCENT/作詞:HYDE 作曲:HYDE
「遠い日」とは、過去の経験にまだ心がとらわれているということでしょうか?
自分は目の前の「風」や「雨」などの情景を見ているはずなのに、心の中では今もなお過去を見ている。
そんな意味合いだと思います。