塞ぎこんでいるのは

誰の声も届かないように耳を塞ぐ
徐々に有りっ丈の希望も紙も塵と化す
無神論者 病状は深刻化
綺麗なあの頃へと捧ぐ鎮魂歌

出典: 悪戯/作詞:さなり,SKY-HI 作曲:さなり,SKY-HI

小さな部屋の中に引き籠る誰か。

例えるなら、六畳一間の狭い空間で小さく丸まって座っているような、そんなシーンが思い浮かびます。

耳に入ってくる音を閉ざそうとしたのは、何かに集中したかったから。

いや、それよりも、世の中に溢れる雑音から解放されたかったから…と捉える方が自然に感じます。

聞きたくなかった誰かの声とは、否定罵倒などネガティブな評価でしょう。

同時に良い評判が聞こえなくなったとしても構わないから、解放してほしい。

そんな強い気持ちで外界の音をシャットアウトしているようにも感じられます。

「かみ」の意味

続く2行目にある「」とは、その先の歌詞から推測すると「神様」を意味するのでしょう。

この先の人生を明るく照らしてくれていた希望が失われたこと。

もちろんここから、信じていた神様に裏切られたような気分になっている主人公、という解釈もできます。

確かにこの解釈をすれば、3行目で何かの病気が悪化しているというのも理解できますね。

しかし少し視点を変えてみると、ここの歌詞「紙」そのままの意味で捉えることもできるのです。

主人公はどんな人?

この楽曲は、とある1人の夢追い人が主人公。

自分自身の夢を叶えるために、たくさんのことを「紙」に綴っていたのでしょう。

そうやって夢を追う中でボツになった作品は、きっと数知れず。

でもそれはゴミなどではありません。夢を追う過程で生み出された、希望の欠片とも呼べるものだった。

しかし歌詞にある通り、希望が途絶えた瞬間にそれらの作品は完全に価値を失ってしまいました。

これまでは、きっと神様が助けてくれるなんて幻想を抱いていたのでしょう。

しかしそれは脆くも崩れ去りました。

主人公は神様に裏切られたと悟った瞬間から、生きる希望を見失ってしまったのでしょう。

「結局何もうまくいかないんだ」と捻くれた心模様は、ここで「病気」と歌われています。

治りそうもない病気を患った主人公は、引用部分最後にある通り純粋無垢だった頃の自分を思い返しているようです。

希望が失われて荒れた心。それを鎮めるためのレクイエムなのでしょう。

夢は叶わない

大切なものを思いながら

離れ離れ暮らす
雨が降り僕を急かす
何か一つ欠けただけで積み木すぐに崩れだす
ロンリー 苦労人 病人
伽藍堂のように何もない今日に
誰もがもつイメージ
今更重ならないし
かみ頼みで噛み締めても
端から端まで愛はない
かみの悪戯に
惑わされてばかり
競い合う悲しみ 幸せはいらない

出典: 悪戯/作詞:さなり,SKY-HI 作曲:さなり,SKY-HI

主人公がこれまで描いてきた未来への希望は、何気ない出来事をきっかけに崩れてしまいました。

先ほどから綴られているこの様子を、歌詞の3行目で改めて描いています。

さて、1行目では主人公が、誰かと離れて暮らしていると綴られていますね。

先程の歌詞から繋げて考えると、イメージしやすいのは「」でしょう。

夢を追いかけるために単身上京した主人公と、生まれ故郷に残っている親

しかしそうやって故郷を飛び出してきた主人公の夢は、すでに半ば崩れかけています。

何をやってもうまくいかない。何をやっても夢に近づけない。

そんな日々は、歌詞5行目に綴られている通り虚しく空っぽに感じられるのでしょう。

どうにかして叶えたいともがいたって…。どうにかして叶えさせてほしいと願ったって…。

主人公が信じる神様はその存在すら疑ってしまうほど、何も反応してくれません。

希望なんてない

なんとなく分かってるよ
この先もそうだろ
悲しくも散って
手放した数がそう..

出典: 悪戯/作詞:さなり,SKY-HI 作曲:さなり,SKY-HI

そうやって報われない日々を過ごしていた主人公。

あれだけ必死に夢を追いかけていたのに、ここへきてすっかり諦めモードです。

自分が必死に頑張ったって、どうせ夢は叶わない。報われるのはほんの一握りだけ。

未来への希望を完全に失い、すっかり意気消沈してしまった主人公の様子が容易に想像できますね。

似ている誰か