主人公の近況
泣いてばかりいたって 幸せは来ないから
重いコート脱いで 出かけませんか
もうすぐ春ですねえ 恋をしてみませんか
出典: 春一番/作詞:穂口雄右 作曲:穂口雄右
上記の表現から主人公の置かれている状況が推測できます。
主人公はお付き合いをしている人がいましたが、とある理由でお別れすることに。
それ故に寂しさの残る春を過ごしているといえるでしょう。
そんな悲しみに暮れる主人公に対してかける言葉が後半部分です。
冬に着ていたコートは季節遅れ。
その洋服は脱ぎ捨てて、外に出ることをおすすめしています。
一定の展開
1番の歌詞から、本曲が失恋中の女性を客観的に見て歌った内容であることが分かりました。
では皆さんはこの曲のとある規則性についてお気付きでしょうか。
それは物語の状況を示す言葉、提案の流れになっていること。
本曲は一定のリズムを持った展開が持ち味となっているのです。
上記のような構成は、通常よりもキャッチーなフレーズに早く辿り着くはず。
そのため主人公に声をかけている人物の行動力を示すのに一役買っています。
この構成を意識して、これ以降の歌詞をみてみることにしましょう。
2番の歌詞を解説
春が来る
日だまりには雀たちが 楽しそうです
雪をはねて猫柳が 顔を出します
もうすぐ春ですね ちょっと気取ってみませんか
出典: 春一番/作詞:穂口雄右 作曲:穂口雄右
2番冒頭の歌詞は上記の通りです。
この章では現代を生きる我々にはあまり聴き馴染みのない言葉も登場しています。
猫柳とは春を象徴する樹木のこと。他にも春に関わる描写がたくさん登場していますね。
歌詞の中だけに留まらず、タイトルにまで「春」という言葉を使用しています。
ここから本曲にとって重要なフレーズであることは周知の事実です。
ではここまで春を徹底的に表現する理由はどこにあるのでしょうか。
作品に登場する第三者目線で考えてみましょう。
あなたは元気のない人が側にいたら、どうにか元気付けたいと思うはず。
事細かに外部の状況を伝えることで、主人公の後押しをしていると考えることができます。
2つの物語
おしゃれをして男の子が 出かけて行きます
水をけってカエルの子が 泳いで行きます
もうすぐ春ですね 彼を誘ってみませんか
出典: 春一番/作詞:穂口雄右 作曲:穂口雄右
ここでは2つの物語の始まりを表現しています。
1つ目は男の子が登場する物語。このお話は聞き覚えがないでしょうか。
こちらは先ほど出てきた隣人のストーリーとリンクしています。
隣の家の女の子を緊張した面持ちで迎えに来ていた男の子。
それが彼です。ここではその男性目線で恋愛模様が表現されています。
対して2つ目は動物が登場するお話。
蛙になったばかりの小さな子供が繰り広げる大冒険です。
これらの幸せなストーリーのように、主人公にも一歩踏み出してほしい…。
そのような思いから、今度は物語を引き合いに話を進めているようです。
成功の予感
別れ話したのは 去年のことでしたね
ひとつ大人になって 忘れませんか
もうすぐ春ですねえ 恋をしてみませんか
出典: 春一番/作詞:穂口雄右 作曲:穂口雄右
ここで主人公が失恋をしていたのではないか、という考察が確定します。
既に別れ別々の道を歩んでいる2人に、復縁を感じさせる描写が登場です。
これは主人公にとっても、応援し続けていた第三者にとっても嬉しい兆しですね。
またここまでは第三者目線でアドバイスをしていると推測し、話を進めてきました。
ではこの部分ではいかがでしょうか。本章だけは別の解釈をすることもできます。
それは主人公目線で語られているのではないかという考察。
過去のことは忘れてもう一度やり直そう…。そう提案しているのは主人公であるという考え方です。
ここまで主人公は第三者からたくさんの励ましの言葉を受け取りました。
その甲斐があって主人公の心が動き、実際の行動に移している最中。そんな実りあるシーンといえます。