日常への不満が表れていますね。

このまま過ごしていても何も起こらずに死に近づいていくだけだと訴えています。

自分にはやりたいことがあるはずなのに、周りがそれを拒もうとしてきます。

そして彼らは意見を述べます。

「やめた方がいい」「そんなことしても役に立たない」「お前には無理だ」。

夢も希望も捨ててしまった大人たちがテンプレートのように放つ言葉たちです。

そんな言葉はケムリのように体に中に入り込んできます

そして体を蝕み、吸い込んだ人をも「有害な人間」に変えてしまいます。

ここでいう「有害な人間」とは、やりたいことを拒もうとする人間です。

沢山の人から言葉を浴びせられ続けると、その思想に洗脳されます。

そうして、やりたいことがあったはずの人も、「有害な人間」になっていくのです。

まるで思想のバイオハザードですね。

主張できない世の中

このままだと自分だけじゃなくて
この世界壊れるだろう
信頼できないデカい未来 夢はあるけど…
ケムリに包まれた犠牲者が魂込めて叫んでいる
世の中を汚染する憎いヤツら
目には見えない涙を流してる

出典: ケムリ/作詞:TORU 作曲:TORU

サビが2回続きます。

思想というケムリに包まれた人々は心の叫びを上げます。

しかしその相手も今となっては大人たちではなくSNSなどになっています。

言いたいことも言えない世の中で、心の涙を流している人がたくさんいる。

汚染された現代社会について、風刺的に歌い上げます。

未来を閉ざす「排気ガス」

排気ガスからは2つの意味

排気ガスは霧のように前が見えなくて転落死
政治が大きく揺さぶりかける
関係ないと思っててもいつかはその手のひらに
俺らは転がされて汗水流すだけなのか?

出典: ケムリ/作詞:TORU 作曲:TORU

排気ガスという表現には2重の意味があると予想できます。

1つはそのままの意味、「排気ガス」です。

世界的に問題になっている環境問題。

それを引き起こしているのは他でもない人間です。

「転落死」という表現は、ここでは未来が閉ざされるというように解釈できます。

環境問題など、人間が引き起こした問題が原因で、人間の未来が消えてなくなるだろう。

自業自得ともいえる人間の所業を憂いています。

そしてもう1つは思想のケムリの比喩です。

思想のケムリが霧のように充満している社会。

そんなケムリに惑わされ、人々は路頭に迷います。

そうしている間に、夢に向かうはずの道から踏み外してしまいます。

ここでの「転落死」は夢への道が閉ざされるというように解釈できますね。

前が見えなくなった人々は、霧の中で道を踏み外し、夢を殺してしまうのです。

2行目で政治という単語が出てきます。

直接的な意味でしょう。

政治という大きな力。

自分達には関係ないと思っていても、最終的にはその影響が忍び寄り、上手く転がされてしまう。

自分の無力さについて、反逆的に歌い上げています。

彼らの主張

全てを洗浄してまた一から(あの時、あの場の圧力、言動)
汚いケムリをお香のように(何もできなかった自分)
Such a smoky world

出典: ケムリ/作詞:TORU 作曲:TORU

何か都合の悪いことがあれば、大きな力はすべてをリセットしようとします。

社会に充満するケムリから抜け出そうとする者たちには弾圧を与えてきたのです。

1900年代に何度か勃発した学生運動などがイメージしやすいですね。

そうして整えられてきた社会は、一見何の不自由もないものに感じます。

しかし、それは反抗することに対する積極性をもがれただけ。

政治によって反乱分子は「洗浄」され、思想のケムリによってそういった思想は危険だと洗脳される。

今の世の中、常識は作られたものであるというメッセージが込められていると考えられます。

最期の英詞は曲のブレイクも相まって、曲の象徴的な歌詞となっています。

その意味は「なんて煙たい世界だ」ですが、これこそが彼らの伝えたい主張といえるでしょう。

思想が生み出す戦争

思想のケムリは嵐を呼ぶ

そいつを作り出した正体は明かされず嵐が来る
黒い雲、血の雨、悲鳴あげてもキレイごと並べるの?

出典: ケムリ/作詞:TORU 作曲:TORU

三度目のサビの後です。

「そいつ」とはケムリのことでしょう。

また、は戦争を表していると考えられます。

根拠は2行目の歌詞です。

爆弾による急激な環境汚染と、巻き込まれた人々の血や叫びが飛び交う戦場が表現されていると言えます。

思想というケムリは雲となり、最終的には戦争というを呼び出します。

その中で巻き起こる惨状を見ても、まだ都合の良い理想論を語るのか。

この部分は日本のみならず、世界に放ったメッセージといえるでしょう。

最後にまたサビが歌われます。

ここまで歌われた後だと、同じ歌詞でも深みが違ってきますね。

結局ケムリの正体とは、社会や大人達、政府が行う思想の洗脳、弾圧のことを指しているのでしょう。

刷り込まれ続ければそれが常識となってしまい、最終的にはその思想に染まってしまう。

そんな概念をケムリと表現したことについては、流石としか言いようがないですね。

反政府的な歌詞といえばRage Against the MachineSystem of a Down等のバンドが浮かびます。

彼らのルーツを考えると、それらのバンドからの影響を受けている可能性は多分にありますね。

おわりに