郷ひろみ「花とみつばち」
今回ご紹介する「花とみつばち」は1974年というだいぶ昔に発表されたシングル曲です。
同年に「よろしく哀愁」もリリースされ、こちらほどの人気は出なかったものの傑作のひとつであることは間違いないでしょう。
10~20代の方は郷ひろみさんにすら馴染みがないのに…という方もいらっしゃることでしょう。
しかしそんな心配もご無用、自分が生まれておらずまったく知らない時代のことも音楽であればすぐに慣れます。
ぜひ「古い曲」という先入観を取り払って楽しんでいただければと思います。
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ギョッとするほど時代の薫風がするステージ衣装ですが、とりあえず非常に楽しそうなので一緒に踊るなんとかになりましょう。
しかしこの衣装はいったい何なのでしょう、王子様風なのでしょうか。
生地がキラキラサテンで本格的なのがまたシュールですが、これはこれで非常に興味深いですね。
そして黄色い声がひっきりなしに聞こえるのがすごいなあ。そういえば郷ひろみさんは元アイドルだったことを忘れていました。
郷ひろみさんの声もこの頃はまだライトで若々しいですね。原曲だとさらに透き通った女性のような声を聴くことができます。
しっとりとした貫禄のある楽曲を歌うイメージが大きい郷ひろみさんですが、このような少々ポップな曲も似合うのだなと新しい発見ができることでしょう。
歌詞に込められた想いとは?
それでは「花とみつばち」の歌詞をご覧いただきましょう。
さくっと終わる3分程度の楽曲ですが、そこに詰め込まれている歌詞の上質さは格別のものがありますね。
ダラダラ長くなくコンパクトにまとまりながらも、学べるところは大いにあるという濃密ソングでございます。
太陽よりまぶしい
どうでもいいけど 帰るのいるの
夜明けだよ まぶしいのははだかの胸さ
出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=56815
「どうでもいいけど」のツンデレなセリフに早速ノックアウトされる気分です。
そしてそのあとの「帰るのいるの」のセリフのそっけなさが逆に愛おしいですね。帰る必要がなくてもいじわるして「帰る」って返したくなります。
さらに「まぶしいのは~」のフレーズが妙に新鮮です。太陽や朝日より胸の白さがまぶしい!ということでしょうかね。
夜をともにした後の朝の爽やかさとあたたかさを感じさせる場面です。
蜜の味
今夜までおぼえておこう 紅いくちびる
君と僕のふたりが おぼえたての蜜の味
出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=56815
このなんたる甘美なフレーズ!ついメモしてしまいました。
そして「今夜まで」なので、「帰るのいるの」の返答は「帰る」だったわけですね。でもまた今晩も会えるわけなのでそれまでのお楽しみということで。
「おぼえたての~」がまた良い表現ですね。花の蜜のことでしょうが、はちみつのとろりとした金色の艶やこっくりとした甘さを連想させるフレーズです。
花=君とみつばち=僕
僕たちふたりは 春咲く花とみつばちさ
肩の上に とまっていたい
出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=56815
つまり女性側が花、男性側がみつばちという解釈で良いでしょう。
メルヘンチックで少々こっぱずかしくなる発想ですが、これくらい恥ずかしくなきゃ創作品としてヒットしないものでありましょう。
そしてこっぱずかしいくらいの恋がいちばん幸せなのです。
僕たちふたりは 春咲く花とみつばちさ
ひざの上に とまっていたい
出典: http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=56815
上のフレーズとほぼ一緒ですが、「ひざの上」と身体の場所が移動しているのがまたエロティックで良いですね。場所のチョイスがグレイト。