三原色
日本のスリーピースロックバンド、PELICAN FANCLUB。
2012年に結成され、2018年にメジャーデビューしました。
そして2019年にメジャーデビューシングルとしてリリースされたのが今回考察する「三原色」です。
この曲はアニメ「Dr.STONE」のオープニングテーマにも起用されました。
タイトルになっている三原色というと、光の三原色と色の三原色の2つがあります。
光の三原色は、赤、緑、青。
これらは混ぜると白になっていきます。
そして色の三原色は青っぽいシアン、赤っぽいマゼンダ、そしてイエローです。
こちらは混ぜると黒になります。
色が混ざって別の色になる。
そのような様子を普段の生活にも当てはめた歌詞になっています。
それではこの「三原色」の歌詞について考察していきましょう。
静けさと燃える
青と黄色
空の色はどうして青くみえるのだろうか
記憶は黄色く焼けてしまうのだろうか
出典: 三原色/作詞:エンドウアンリ 作曲:PELICAN FANCLUB
これらの歌詞には「青」そして「黄色」が登場しています。
このことからも色の三原色の話をしていることがわかります。
私たちは空を青いものだと思っていますが、なぜそう見えるのか考えたことはないかもしれません。
当たり前だと思っていたことに疑問を感じています。
そして歌詞の2行目はどこか不思議な文章です。
記憶は焼けるものではありません。
さらに黄色く焼けるということからも少し不思議な印象を受けるのではないでしょうか。
この「黄色」はおそらくセピア色のことでしょう。
セピアは系統としては黄色の扱いになります。
そして焼けていく様子は、ところどころが灰になって欠けていく。
その様子が私たちの頭の中から記憶が薄れていく様子と似ているのかもしれません。
どうして私たちの記憶はなくなってしまうのか。
そのことを歌詞の2行目では表しているのでしょう。
どちらも当たり前だと思われていることですが、それを疑問に感じているのです。
矛盾の表現
青い日々はまるで燃えるような激しさ
黄色い声あげて産まれた記憶の静けさ
出典: 三原色/作詞:エンドウアンリ 作曲:PELICAN FANCLUB
この歌詞ではどこか矛盾を感じるような文です。
「燃える」というと赤い火を思い浮かべるかもしれません。
しかし青い火の方が温度が高いのです。
つまりそれほど、激しい日々を過ごしているということです。
また「黄色い声」というのはまるで歓声のような甲高い声。
しかし、その時ほど記憶はスローモーションに、そして静かに聞こえるのです。
メラメラと燃える熱い様子と静かな様子。
反対のような意味を感じるのではないでしょうか。
花をつくる
連鎖
青と黄色が混ざり合って
できた緑には花を
花には水を 僕には夢を
出典: 三原色/作詞:エンドウアンリ 作曲:PELICAN FANCLUB
青と黄色を混ぜると緑色になります。
緑には花が咲き、その花は水を与えられなければ生きていけません。
そのように僕にも夢がなければ生きていけないのです。
さまざまな日々の色が混ざってこの世は成り立っている。
連鎖が起きることで、生きていくことができるのです。
そのようなメッセージを感じるのではないでしょうか。
花の形を
零にたして 今をかけて
流れる赤い血のよう
線をひいて 殻をわって
咲いた花の模様
出典: 三原色/作詞:エンドウアンリ 作曲:PELICAN FANCLUB