生命は皆光を求めて
あそこの森の 満開の下は
虫もその他も 土を開け 外に出てくるだろう
どけそこどけ 欲しいのは光
君もその他も 胸を開け 足を開け 踊るならば
出典: 桜の森/作詞:星野源 作曲:星野源
「足を開け」など確かに意味深なワードの多い歌詞です。
しかし、言葉通りに解釈するならば、桜が満開に咲く森の地面の下から生命が芽生えてくるような風景が浮かぶのではないでしょうか。
「胸を開け」「足を開け」は、地中から芽生えて枝葉を一杯に広げる木々を連想できます。「君」とは新しく生まれた「木」を指しているのではないでしょうか。
「君」を見つめる「僕」
僕はそれをただ見てるそれをただ見つめてる
鬼達が笑うそれをただ見つめている
僕はただ見てるそれをただ見つめてる
花びらに変わる君をただ見つめているよ
出典: 桜の森/作詞:星野源 作曲:星野源
そして、それをただ見つめる「僕」という存在。
木々やほかの生命の息吹を俯瞰することのできる存在といえば、「太陽」ではないでしょうか。
「お日様」とでも表現する方が、どこか童謡チックな曲の雰囲気に合っているかもしれませんね。
お日様である「僕」が、「君」が育って桜の花を咲かせていく様子を見つめている。
そこに「鬼たちが笑う」というファンタジックな表現も合わさって、不思議な世界観を生み出しています。
空の下で春を謳歌して
どこぞの森の 満開の下で
虫も貴方も 土の中 外に憧れたろ
悲しみ消えた 春風がさらい
もしよければ 胸を開け 足を開け 跳ねるならば
出典: 桜の森/作詞:星野源 作曲:星野源
地中で暮らす幼虫や芽が出るのを待つ種など、色々な生き物が冬の季節を土の中で耐え忍びます。
そして、外に憧れながら生き抜いた者たちは、春の光の中に出てきて生命を輝かせます。
まさに彼らにとって「人生の春」と呼べる時期ではないでしょうか。
そんな明るい光景が思い浮かびます。
僕は それをただ見てる
それをただ 見つめてる
花びらに変わる
君をただ 見つめているよ
出典: 桜の森/作詞:星野源 作曲:星野源
全てが輝く春の景色を彩る「君(=桜の木)」という存在。
そして、それをただ見つめ続けるお日様。
理想的な春の風景です。
ただそこに立ち続ける
泣かないで待ってる
散らないで待ってる
ラジオから流れる
花びらが流れる
出典: 桜の森/作詞:星野源 作曲:星野源
桜の木である「君」は、ものを言うこともなくただじっと立ち続けます。
その様は、まるで何かを待っているようにも見えるのでしょう。
そんな静かで淡々とした光景の中、春の風が花びらをさらっていきます。
何も変わらない春の光景
僕はそれをただ見てるそれをただ見つめてる
鬼達が笑うそれをただ見つめている
僕はただ見てるそれをただ見つめてる
花びらに変わる君をただ見つめているよ
出典: 桜の森/作詞:星野源 作曲:星野源
曲の全編を通して、じっと立ってそこに咲き続ける「君」と、それをただ見つめ続ける「僕」という変化のない光景が描かれます。
桜の木とお日様。話すことも関わりあうこともないその2人が主人公の曲の中では、何も特別な変化はありません。
そんな何気ない春の光景が不思議な世界観で歌われます。