「全ての夜と全ての朝にタンバリンを鳴らすのだ」の意味は

サンボマスター【全ての夜と全ての朝にタンバリンを鳴らすのだ】歌詞の意味解説!なぜタンバリンを鳴らす?の画像

2005年11月2日に発表されたサンボマスターの通算6作目のシングルをご紹介しましょう。

全ての夜と全ての朝にタンバリンを鳴らすのだ」というとても長いタイトルの楽曲です。

サンボマスター固有の軽快なギター・ロックで非常に気持ちいい作品に仕上がっています。

どこまでもリスナーを勇気付けてくれる歌詞こそがこの曲の生命でしょう。

生きていればいいことも悪いこともあるはずです。

ただ、君の瞳が涙で濡れるときは嫌なのさという僕の叫びは目が醒めるようなときめきを感じます。

歓びの方へ向かって全フリしてゆくような歌詞が力強くて素晴らしいです。

私たちリスナーがサンボマスターに求めているものにダイレクトに応えてくれる楽曲でしょう。

シングルのリリースから長い年月が流れました。

それでもいまなお私たちはこのように勇気付けてもらえることを望んでいます

「全ての夜と全ての朝にタンバリンを鳴らすのだ」の歌詞とその意味を紐解きましょう。

それでは実際の歌詞をご覧ください。

すべてを歌ったよ

君に捧げた歌は

サンボマスター【全ての夜と全ての朝にタンバリンを鳴らすのだ】歌詞の意味解説!なぜタンバリンを鳴らす?の画像

これまで僕は消えそうなはかないモノを あなたに唄ってんだぜ
本当さ 本当さ
真白の雲と真っ黒の闇の中を あなたと生きてたいんだぜ
本当さ ウソじゃないのさ

出典: 全ての夜と全ての朝にタンバリンを鳴らすのだ/作詞:山口隆 作曲:山口隆

歌い出しの歌詞になります。

登場人物は山口隆およびサンボマスターを代弁する僕と愛するあなた、もしくは君。

ここで山口隆はサンボマスターの基本的なスタンスを表明するのです。

まずサンボマスターとはこの世界で消え入りそうな運命にある弱いものを歌ってきたといいます。

弱いものというのは決してネガティブな意味だけではありません。

生き残る力がないものでも振り返り、顧みるべき価値があるものはたくさんあります。

勝利だけがこの世界での至上の価値であったならあまりにも厳しすぎるでしょう。

というのも私たちは人生のどこかで挫折することだってあるのですから。

儚いものを肯定してくれる山口隆は本当に心強い存在です。

おそらく彼自身が挫折の中で大切なものを見出してきたからこうした歌詞が書けるのでしょう。

世界は白と黒に単純に分けられるものかもしれません。

白こそがポジティブなもので、黒はネガティブというイメージがあります。

それでもサンボマスターはどちらにも与しない中間地点に位置するとも歌うのです。

灰色な立場かもしれませんが、そこにだって意味はあります。

悲しみとの対峙の仕方

サンボマスター【全ての夜と全ての朝にタンバリンを鳴らすのだ】歌詞の意味解説!なぜタンバリンを鳴らす?の画像

今が光でも明日が闇ならば 僕はどちらの日々も捨てるさ
それでも涙が乾かないのなら
君と僕の ずっとキレイなもの ずっとキタナイもの
光と影の涙流すのさ

出典: 全ての夜と全ての朝にタンバリンを鳴らすのだ/作詞:山口隆 作曲:山口隆

白と黒に分けることができる世界について山口隆はさらに語るのです。

ここでは明るい今日と暗い明日という描写になっています。

明るいうちはいいけれども、暗くなれば過去ごとまとめてさよならすると歌うのです。

なぜ僕はここまで闇を忌避しようとするのでしょうか。

それは暗い世界について君が流す涙というものに耐えられないからです。

君のためにはどこまでも悲しみというものを遠ざけていたい。

そのために僕は歌っているといいきるのです。

君とは僕が愛する人のことでしょう。

ただ、僕の恋人というだけではありません。

君とはリスナー全員のことを含んでいるのです。

しかし悲しみを忌避していても涙が止まらない場合についても考えなくてはいけません。

そうなったときにはふたりで明るくて暗い涙を流したっていいじゃないかと歌うのです。

世界を生きてゆくには清濁併せ呑むくらいの大きな気持ちでなくてはやっていけません。

汚れることだって厭わないで生きるときだってある。

ただ、そのとき僕は必ず君と一緒にいるからと約束しています。

思いを歌に変えて

誰にでも鳴らせる楽器だから

サンボマスター【全ての夜と全ての朝にタンバリンを鳴らすのだ】歌詞の意味解説!なぜタンバリンを鳴らす?の画像

今夜世界が眠るまで 全ての夜が明けるまで
鳴らせ鳴らせ心の声を タンバリン タンバリン
夢に描いた景色など 君の前じゃ捨てちまうのさ
鳴らせ鳴らせ愛しき日々を タンバリン タンバリン

出典: 全ての夜と全ての朝にタンバリンを鳴らすのだ/作詞:山口隆 作曲:山口隆

サビの歌詞になります。

タイトルにも採用されたタンバリンがここで登場するのです。

眠るというときにタンバリンを鳴らすと五月蝿くて敵わないのではとも思うのですが愉しい歌詞でしょう。

君が安心して眠れるように僕は盛り上げてゆくよという意味を込めています。

また君に素晴らしい覚醒めをプレゼントするためにもタンバリンを打ち鳴らすのです。

タンバリンは初等教育でも習うものですから君でも簡単に鳴らせます。

もちろんその道を極めようとしたらタンバリンは非常に難しい楽器です。

しかしそうした事実は音楽家以外ですとあまり知られていませんのでここでは指摘するだけにとどめます。

誰にでも鳴らせるイメージがある楽器によって、心にあるものを表現してごらんと歌うのです。

共助の精神を歌いたい

サンボマスター【全ての夜と全ての朝にタンバリンを鳴らすのだ】歌詞の意味解説!なぜタンバリンを鳴らす?の画像

僕は君のためなら自分の夢さえも捨てられると歌います。

サンボマスターの歌詞はリスナーのためには自己を犠牲にすることなど簡単だとするものが多いです。

この曲にしてもそうした傾向が見られます。

リスナーは自分たちのためにここまで身を削ってくれる彼らに信頼を寄せるのです。

サンボマスターの歌詞は私たちの期待を裏切ったりしません

こうした姿勢でずっとやりとおしているのですから敬意というものが湧いてきます。

私たちの勇気になるためにどこまでも自分の心を開いてくれる山口隆は稀少な存在なのです。

一緒に助け合ってゆこうというこの気持ち。

つまりサンボマスターの魅力は共助の意味をもう一度教えてくれる点に集約されます。

臆することなく自分の気持ちをタンバリンで表現しよう。

その音をお互い確認しながら生きてゆくことで、辛さは半減するよと歌ってくれます。