はしゃぐ2人じゃないことは分かっていても
仮にも恋人やったらやきもちくらいやいてな
あかんことはあかんてちゃんというてほしいんよ
出典: 大阪恋時雨/作詞:半崎美子 作曲:半崎美子
会ってくれて話をしてくれて側にいるのなら恋愛関係にあるといえるはず。
例え公に会えなくても2人だけでいる時間はお互いを「恋人」と思いたいのです。
異性の友達と会った話でもしたのでしょうか。
それを聞いてとがめることもなく笑って聞いているだけのあなた。
本当ならあなた以外の男性に会ったことに「嫉妬」をして欲しかった…。
嫉妬は相手をより愛おしく思うことで起きる感情。される側にとってはとても甘い感情です。
未来を夢見る2人なら、あなた以外の異性に会うことを叱ってくれるのが世間一般の考え。
「あかん!」「そんなことするな!」と命令形で言われれば恋する女心がキュンと音を立てます。
そんな普通の恋愛関係でいたいのに口を閉じたままのあなた。
口にしたくても口にできない女心の本音を描いたフレーズに切なさが迫ってきますね。
せめて会っている時だけは思いを寄せあう2人でいたいのに。
前を向いたままの2人に時間だけが進んでいきます。
後悔…それがこの恋だから
自分を責めるけれど…
ほんま好きになったんが
なんであんたなんやろう
強くも優しくもないんやけど
出典: 大阪恋時雨/作詞:半崎美子 作曲:半崎美子
どうして好きになってしまったのか?好きになるのに明確な理由が無い恋愛もあるのです。
誰かに好きになった理由を聞かれても自慢できるような答えが返せないのでしょう。
頼りになる心の強さも、相手を最優先する思いやりも持ち合わせていないあなた。
どうして好きになったのと聞かれたら、好きだから好きという単純な思いだけです。
それでも好きになったことを悔やむなんてことはしたくない。
恋をしている相手を責めることも望んでいないのでしょう。
「やろう?」と問いかける大阪弁の裏には「好きになった自分が悪い」という女心が感じられます。
望むのは今のままだから…
あんたのおらん毎日が当たり前やった頃に
もどれへんむなしさは いつまで続くんやろう
出典: 大阪恋時雨/作詞:半崎美子 作曲:半崎美子
再び襲われる「空しい」には何があるのでしょうか。
ここではあなたがいないことが「当たり前」に変わっています。
それはあなたがいないことが普通だった日々。あなたが存在しない世界ともいえるのでしょう。
お互いが他人同士で知り合うことなんて考えられなかった頃には戻りたくないのです。
あなたと出会う前の日々とこの恋を天秤にかければ選ぶのは今の2人。
辛くても周りからは祝福されることのない恋を選んでしまいます。
私にあなたがいてくれないと、空しい心を埋めてくれる人はいないのです。
悲しいけれど今はひたすらあなたの存在を思い続けることが私の幸せ。
続けていればあなたの心を引き留めて置けると信じたい…。
そして「いつまで」続けるか分からない自分が自分に呆れています。
でもそれが自分の愛の強さの証と知っているのでしょう。
最後に
2人の心が行き止まりの道を行ったり来たりのまま終わった『大阪恋時雨』。
ゆく当てのない恋心の切なさをより引き立てる大阪系関西弁が心に沁みました。
何かを決めつけるのではなく、気持ちを窺いながら届ける願い。
未来を見てはいけない恋と知りつつどこかで幸せを願いたくなる歌詞となって残ります。
半崎美子さんでなければ書けない泣いてしまう優しさですね。
そして天童よしみさんとコラボしたことでご当地ソングの決定版として長く聴き継がれることでしょう。
『大阪恋時雨』の恋はまだ終わっていません。
歌がある限り2人は大阪の街のどこかで恋を続けているはずです。