出会えた幸せ

深い深い暗闇の中で
出会い、共に過ごしてきた
類の無い日々
心地よかった
いや、幸せだった
確かにほら
救われたんだよ
あなたに

出典: 優しい彗星/作詞:Ayase 作曲:Ayase

2人が出会ってからの時間は互いにとって心地よい時間だったのでしょう。

まったくタイプの違うもの同士でも、その違いを乗り越えて打ち解けることができました。

そうして過ごす時間は確かに幸せで、大切な時間だったのです。

MVを見ると、ここからは鹿の視点になっていることが分かります。

「あなた」の示す人物が1番までと逆転しているのです。

1番までの主人公は、2人の出会いで本当の強さを知りました。

それと同じように、2番の主人公も出会いが自分にとっての救いだったと感じているのです。

不器用な2人

あふれた一筋の涙

わずかな光を捉えて輝いたのは
まるで流れ星のような涙
不器用な命から流れて零れ落ちた
美しい涙

出典: 優しい彗星/作詞:Ayase 作曲:Ayase

暗い夜道を車で走り続け、2人はどこまでも先へと進んでいきます。

冒頭では2人の車を照らしていた月は隠れてしまったのでしょう。

その暗闇の中では、相手の表情をきちんと読み取ることは難しくなります。

しかし、僅かな光に気付いて相手を見れば、その人は涙を流していました。

その涙は流れ星のように一筋の光となってこぼれ落ちていきます。

もしかしたら、2人が向かう先には辛い現実だけがまっているのかもしれません。

そのことを知り、大切な相手を救うこともできないことへの悲しみを抱えているのではないかと推察できます。

その思いを素直に伝えることができないと、きっとお互いに分かっていました。

不器用で、それでも相手を思う優しさの詰まった涙に、主人公は目を奪われているようにも読み取れます。

いまさら気づく思い

強く大きな体に秘めた優しさも
どこか苦しげなその顔も
愛しく思うんだ
姿形じゃないんだ
やっと気付いたんだ

出典: 優しい彗星/作詞:Ayase 作曲:Ayase

2人は出会ってから互いのことを良く知っていきました。

互いの性格も知り、相手の些細な表情からもどんな気持ちでいるのかが分かるのかもしれません。

きっと相手は主人公のことを思って自分だけが抱えていることがあるのでしょう。

主人公のようなタイプの全く違う相手のことを深く理解しており、相手が涙した理由も察しています。

相手の不器用な優しさや込められた想いを知り、これほどまでにわかり合えていたのだと感じているようです。

そして、相手への自分の思いの強さにも主人公は気づきました。

本当なら、もっと早くに気づくこともできたかもしれません。

ゆくあてのない車の中でようやく気付いたことへの後悔が滲んでいるようにも感じられます。

物語の結末は

祈りをくだく流れ星

無情に響く銃声が夜を引き裂く
別れの息吹が襲いかかる
刹那に輝いた無慈悲な流れ星
祈りはただ届かずに消えた

出典: 優しい彗星/作詞:Ayase 作曲:Ayase

やっと分かり合えていると実感した矢先、2人の物語は終わりを迎えてしまいます。

2人があてもなく車を走らせていたのは、逃亡していたからだったのでしょう。

しかし追っ手に追いつかれてしまい、夜の静寂の中を銃声が響き渡ります。

その銃声と共に、銃から放たれた弾丸は一筋に標的へと向かって飛んでいきます。

それは迷いなく落ちていく流れ星のように相手を打ち抜いてしまいました。

主人公は本当はこの先もずっと2人で過ごせることを祈っていたはずです。

しかし突然の別れによってその祈りは打ち砕かれてしまったのだと読み取れます。

消えない思い

この、手の中で燃え尽きた
金色の優しい彗星を
美しいたてがみを
暗闇の中握り締めた

出典: 優しい彗星/作詞:Ayase 作曲:Ayase