indigo la End【夜行】歌詞の意味を考察！あなたの痛みと秘密とは？なぜ行ってほしくないのか

人気作家・カツセマサヒコが小説化することでも話題になっているフルアルバム「夜行秘密」。

「もっとも夜が似合うバンド」といわれるindigo la Endが2021年2月にリリースしました。

前作のアルバム「濡れゆく私小説」から、およそ1年半の歳月を経て発表された本作。

配信限定だった「夜風とハヤブサ」「チューリップ」「フラれてみたんだよ」も収録され話題を呼んでいます。

夜に聴きたくなる繊細な雰囲気だけがindigo la Endの魅力ではありません。

ボーカルでありながら作詞・作曲を担当する川谷絵音が綴る、まるで小説のように魅惑的な歌詞。

卓越したギター、ベース、ドラムが織りなす懐かしさと斬新さが混じりあうリズム。

すべてが重なり合い芸術作品のような音楽を生み出すのが、indigo la Endというバンドです。

そんなバンドの最新アルバムのオープニングトラック「夜行」はindigo la Endを象徴する曲といえます。

多くを語らない歌詞と軽快でありながら切ないリズムは、大人の恋心を巧みに表現しています。

あなたの痛みと秘密とは何か？

なぜあなたに行ってほしくないのか？

歌詞の裏に隠された意味まで、深く解説をしていきます。

「夜行」の舞台は冬。

地面が見えないほど雪が降りしきるなか、積もった雪は踏み固められます。

どうにか除雪しようと考えるも、あまりにも降り積もった雪の層はどうすることもできません。

除雪材を使う、ひたすら雪かきをするなどのやり方があるなか、「ただ雪解けを待つ」という結論に至ります。

Aメロの前半部分では、積もりすぎた雪が春に解けるのを待つという歌詞があります。

しかしその歌詞は、ただ雪のことを歌っているわけではないと今回の引用歌詞で明らかになります。

涙を流してはいないけれど、様々な想いが渋滞する心。

心を埋め尽くすのは、一途に相手を想う恋心でしょう。

その複雑な恋心は、雪で埋め尽くされた冬そのものです。

この恋を実らせるためには様々な手段がある一方で、「夜行」の主人公が選んだのは「待つ」という選択。

春が来るのを待つように、想いを寄せる人との進展もただ待つことにしたのです。

時の流れは止めることも、ましてや巻き戻すことも誰にもできません。

「夜行」で描かれる世界も例外ではなく、時は常に進み続けます。

しかし無情にも、なぜできたのか分からないようなかさぶたは、時の流れに反するようにくっついたままです。

このかさぶたのように時間が進むのを拒むことはできない。

そんなことはよく理解していても、納得できない。

引用した歌詞の最終行で同じ単語が繰り返されることにより、そのもどかしさが表されています。