心の中を海に例えているのでしょう。
暗く広大で、どこまでも続いていく海。
しかし船影はなく、海には彼1人しかいません。
他者に自分の心を許せなかった主人公。
だから、以前も恋人がいたことはあっても、常に孤独を感じていた。
隣には誰かが居るけれど、なぜか独りぼっちのような気分になってしまう。
それは心が孤独だったということでしょう。
本当の意味で心を許せる相手に出会えていなかったから、そう感じていたのかもしれません。
しかし、今を一緒に過ごす彼女のことは、自分の心に招き入れたいと感じているようです。
そんな孤独な心の中に建てるのは、明るく温かな灯台。
暗かった心の中が、柔らかな光で照らされます。
それは、2人にとって明るい未来を想像することを表しているのではないでしょうか。
主人公が彼自身と恋人にとっての希望を思い描くことを意味しているのでしょう。
恋人との未来
君はただそれを見ていればいい
一番安らげる場所で
出典: 安らげる場所/作詞:KAZUTOSHI SAKURAI 作曲:KAZUTOSHI SAKURAI
そんな未来を想像しながらも、恋人に頼るということはしたくない。
彼女はただ近くで見ているだけでいい。
彼のプライドが感じられる歌詞です。
自分自身が叶えたい未来。
そこまでの道のりを、彼女には安心して見ていてほしい。
そんな気持ちがここから伝わってきます。
その灯台を目印として、彼は自分自身の人生を歩んでいく。
それは彼の人生を希望という光で照らしてくれるものです。
迷ったり、躓いたり、壁に阻まれたりした時、その光が彼を照らしてくれることでしょう。
今まではただ自分自身のためだけに頑張っていた人生。
しかし大切な人の存在が、その人生を明るく照らしてくれています。
幸せと大事なもの
人はなぜ幸せを闇雲に求めてしまうんだろう?
何より大事な物も守れずに
出典: 安らげる場所/作詞:KAZUTOSHI SAKURAI 作曲:KAZUTOSHI SAKURAI
恋人との幸せな日々を思い描きながら、そんな自分の欲深さについて考えているのかもしれません。
人間は際限なく、幸せを求めてしまいます。
それは自分の将来を考えることで、今頑張るべきことに向けて自分を鼓舞させる意味もあるでしょう。
しかし幸せを求めるあまり、彼は大切なものを傷つけてしまう。
それは彼にとって人生をかけて追い求めるべき何かなのでしょう。
この楽曲の歌詞を手がけた桜井さんにとっての大切なものは「音楽」だと思います。
この歌詞の主人公にとってはそれが何かは分かりません。
大切な物を傷つけながらも、幸せを手探りで探してしまう彼。
そんな自分自身に嫌気が差しながらも、そうすることでしか生きられない。
そんな葛藤をこの歌詞パートからは垣間見ることができます。
2人の行く末
恋が行き着く場所
この恋の行き先に何があるかは知らない
出典: 安らげる場所/作詞:KAZUTOSHI SAKURAI 作曲:KAZUTOSHI SAKURAI
将来の幸せを誓い合った2人。
それでも、人生というのがどういった方向に転んでいくのかは、今という瞬間には分かりません。
どれだけ愛し合っていても、別れてしまうカップルはいます。
恋というものの性質と、その切なさがここからは滲み出ています。
感傷的な気持ちになってしまうのは、それだけ今、恋人のことが大切だからなのでしょう。
これから訪れる将来への不安と、戻ってこない今という時間を端的に表している1行です。
永遠という言葉の意味
ただ静かに手を取っては 永遠にと願う
出典: 安らげる場所/作詞:KAZUTOSHI SAKURAI 作曲:KAZUTOSHI SAKURAI
そんな不安を払拭するかのように、2人は手を取り合い、未来のことを語り合うのです。
永遠という言葉が、まやかしであることを知りながらも、それに縋ってしまう人間という生き物。
そこにはある種の願いといってもいいような、切実さがここから滲み出ています。
未来のことは予想することしか出来ません。
しかしその未来が明るいものになるかどうかは、今の行動によって変わっていく部分もあります。
未来のことを考えるということは、幸せを実現する上では欠かせないことです。
2人にとって2人で永遠を誓い合うというのは、幸せな未来の実現を想像するということ。
お互いの気持ちを共有できれば、そこに向かって2人で進んでいけるようになります。
2人で描いていく未来
いつも君と二人で
出典: 安らげる場所/作詞:KAZUTOSHI SAKURAI 作曲:KAZUTOSHI SAKURAI
この1行で、この楽曲の歌詞は最後となります。
この言葉から伝わるのは、主人公が恋人のことを信頼しているということ。
これからの人生を一緒に過ごしていきたいという気持ちが溢れています。
好きという気持ちだけではどうにもならない未来のこと。
しかし、そんな将来の決断も2人で下していきたいと思っているのでしょう。
そこには、2人の間で育まれた信頼関係が必要不可欠です。
秋という季節を題材にしたのは、そのノスタルジックな雰囲気がこの物語に必要だったからでしょう。
夏が過ぎ去った後の寂しさや切なさが、この2人の恋模様とリンクしているのです。
不安と期待が入り混じる未来へ向かって、幸せを追い求めていく2人。
そこには、幸せな未来を追い求めることの切なさと力強さがありました。