この「高嶺の花子さん」の主人公は恋愛下手な男子です。
あこがれの人のことを考えて、あれこれ妄想しています。
黒魔術でもなんでもいいから振り返らせたい。
でも結局何もできないで終わってしまいます。
このあたりは清水さんの実体験も入っているのかもしれませんね。
思春期の男子には「あるある」な内容です。
恋愛下手な男子の妄想の対極
「バースデー」の歌詞の世界
嘘でも愛している
ここからの歌詞の解釈は、非常に個人的な解釈です。
間違えていたらすみません。
しかし名曲の歌詞は、さまざまに解釈できるところが面白いと思います。
こんな風に解釈できるんだなと思って読んでいただけたら幸いです。
嘘をついてる事も 我慢してる事のひとつに なるのかな
嘘でも愛しているって 言っても喜んでくれたなら いいのかな
出典: バースデー/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
この歌いだしの部分に、この曲の一番重要なポイントが出てきます。
2行目の「言っても」の言った内容は何かということです。
まず'嘘でも、「愛している」って言った'という解釈ができます。
もうひとつは'「嘘でも愛している」って言った'という解釈です。
ここでキーワードになるのが「言っても」の「ても」です。
これは前で言った内容からくる予想とは反対の内容が続く言葉です。
ちなみに前で言った内容からの予想どおりの場合は「たら」などになります。
たとえば「食べても」と「食べたら」で考えてみるとわかると思います。
「太る」か「太らない」かのどちらが続くのが自然でしょうか。
「食べる」という言葉から予想されるのは「太る」です。
ということは「食べても」に続くのは「太らない」になります。
また「食べたら」に続くのは「太る」になるでしょう。
それでは「バースデー」の歌詞に戻ります。
仮に「愛している」だとしたら予想されるのは「喜ぶ」ですね。
ということは'「愛している」って言ったら喜んで…'になるはずです。
しかし「言っても」になっているということは、ちょっと違和感があります。
逆に「嘘でも愛している」と言えば予想されるのは「喜ばない」です。
ですので、'「嘘でも愛している」って言っても喜んで…'と考えるのが自然です。
しかし「嘘でも愛している」って相手に言える関係っていうのはすごいですね。
そして、それを「喜ぶ」というのもなかなか難しいです。
さっと聞き流すとなんでもないですが、この部分で世界観が表現できています。
歌詞をすごく大切にしている清水さんだからこそできる技だと思います。
優しい嘘が重宝される
時には優しい嘘が 真実よりも重宝されて
誰かを救う事もあるから 仕方がないかな
出典: バースデー/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
優しい嘘で成立する関係というのも難しいですね。
とくに大人の恋愛だと「優しい嘘」ではなく、単なる「嘘」になりがちです。
しかし学生時代の恋愛などには、わりとあるようにも思います。
誰かを忘れるためだけに、誰かとつきあうこともあったりします。
そして相手もそれをわかってつきあっていることもあります。
そうやって「優しい嘘」の恋愛にお互いが納得しています。
嘘は苦しい
理由をつけては 自分を棚に上げ
腐ってゆく心に蓋を しめて笑ってた
出典: バースデー/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
「優しい嘘」でも「嘘」は苦しいのです。
そんな自分を見ないようにしながらも、関係が深くなっていきます。
嘘で傷つける
わかっててズルをして わかってて人を傷つけて
自分の事は見て見ぬ振り できやしないのに
出典: バースデー/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
「優しい嘘」であっても、それは相手を傷つけます。
そんな傷つく相手を見て見ぬ振りをしてしまいます。
「見て見ぬ振りをする」振りをしているのかもしれません。
しかし、そんな「嘘」の関係は長続きしないのでしょう。