くそったれFor Life(Remix)とは

2018年9月に発表されたSIMON JAPの楽曲「くそったれFor Life(Remix)」。

トラック制作は、HIPHOP 界のレジェンド、DJ HONDA。

フィーチャリングとして、GADORO、漢 a.k.a GAMIを迎えています。

ストリートで支持を得る3人のラッパー。

彼らの赤裸々な想いが垣間見えるハードな曲となっています。

まずは楽曲動画を紹介しましょう。 

動画紹介「くそったれFor Life(Remix)」

DJ HONDAは本場ニューヨークで大活躍したHIPHOPサウンドの伝道師。

彼の刻む冷たく重厚なビートがラッパーたちのリアリティ溢れる歌詞と絡みあっています。

挟み込まれるラップバトルの映像が、曲の内容をよりリアルに感じさせますね。

今回は、この曲のメインアクトといえるSIMON JAPの歌詞に注目してゆきます。

奥深いラップ歌詞の世界を一緒に読み解いてみましょう。

語られる真実

過酷な人生をサバイバル

Life is One Time 何回あったって足んない

本気で生きるスタンバイ

今も街じゃ止まんない犯罪

タフなStreetsに転がる残骸

出典: くそったれFor Life(Remix)/作詞:SIMON JAP 作曲:DJ HONDA

Life〜とは、アメリカのHIPHOPソングでよく使われる歌詞。

人生どうあがいても一度きり」という慣用表現です。

HIPHOPは、ニューヨークの荒れ果てたストリートが起源の文化。

凄惨な暴力やドラッグのトラブルなど、ストリートでの生活には危険がつきまといます。

そのため、「いつ失われてもおかしくない人生を精一杯充実させろ」という意味なのです。

スタンバイ、犯罪、残骸、と語尾で強く韻を踏んでいることにも注目してみましょう。

韻を踏むことで、リズムが強調され、歌詞で場面の転換を表現できるのです

SIMON JAPは日本でHIPHOPがメジャーになる前から活動してきました。

生粋のストリート出身のラッパーです。

ストリート風の言葉を使うラッパーはいるでしょう。

しかし、HIPHOPではリアルを語ることが重んじられます。

ラップの力で生き残るにはその言葉が真実に根ざしていなくてはいけないのです

SIMON JAPの言葉には、過酷な世界を見てきた彼にしか語れないリアルがあるといえます。

巨大化するシーンへの想い

彼は音楽で犯罪の道から更生しました。

けれどもストリートには未だ「残骸」のように苦しむ仲間たちがいます。

SIMON JAPが復帰した現在、世間ではラップバトルがブームになっています。

インターネットで気軽に作品を投稿してくる若手ラッパーがつくる新たな世界。

しかし、そこでSIMON JAPが体験してきたような生々しい経験を語る者は多くありません。

そして、ブームとは必ず終焉します。ブームには立役者がいて、ラッパーは彼らにとってビジネスの駒です。

必要なくなった駒はあっさり捨てられます。

「残骸」はラップブームで出ては消えてゆくラッパーとも解釈できます。

SIMON JAPは流行に湧く世間とは逆に真摯に活動し、アートで生き残る覚悟を表明しているといえます。 

自分がいかに殺伐とした場所から出てきたかを語っている部分でもあるでしょう。

「お前らに俺がストリートで身につけてきたタフさと知恵を超えられるのか?」

ブームにのって登場する無数の新参ラッパーへの挑戦状とも受け取れる部分です。

バトルなどを通じて、次の世代に生きるための知識やスキルを伝えてゆくのがHIPHOPの果たしてきた役割

アメリカでも、たくさんの若者たちがラップを通じて犯罪者からアーティストになって社会貢献しています。

SIMON JAPははこの曲を通じて彼が体現するHIPHOPの真髄を伝えようとしていると思うのです

後進たちをネクストレベルに押し上げるために... 

人生哲学を詩で表現

貫き通す信念

俺の行く道は世間と反対

これは天国か地獄への案内

過去の惨敗 してやるぜ挽回

また仲間と勝利の美酒を乾杯

出典: くそったれFor Life(Remix)/作詞:SIMON JAP 作曲:DJ HONDA

この部分は世間の流行、ブームには流されないSIMON JAPの意思を感じさせます。

音楽やダンスのスキルを磨くことで、人生の困難な状況を改善してゆくのがHIPHOPの本質

まわりがどうであれ、己の愛するカルチャーの力を信じようという彼の姿勢が表れています。

ストリートでは多くの決断が必要

SIMON JAP【くそったれFor Life(Remix)】歌詞解釈!ラッパーの真実が垣間見える?の画像