ここで出てきた「あの日の愛」が、始めの方で出てきた泣く泣く彷徨っている「コトバ」なのでしょう。
呟いているのは「僕」ですので、「コトバ」は「僕」から「君」にかけてのものだと思われます。
また、彷徨っていると表現されていたことから、「僕」の「コトバ」は「君」には届かなかったのでしょう。
「僕」が後悔していることから、「僕」は「君」に「コトバ」を届けなかったのではなく、届ける機会があったのに、届けようとしなかった。あるいは「僕」が「君」に届ける勇気がなかった気がします。
「僕」にとっての夜明け
君が涙を流した時に 実は気づかないフリをしていた
出典: http://j-lyric.net/artist/a0006b5/l002100.html
「僕」が後悔している理由が、ここにある「気づかないフリをしていた」ことでしょう。
「僕」は一度は「君」に「コトバ」を呟いたのだと思われます。そして「君」も「僕」の「コトバ」を聞いたのでしょう。しかし、「僕」の「コトバ」を聞いた結果、「君」は何らかの心境の変化が起こり、涙を流したのではないでしょうか。
「君」がどのような気持ちで涙を流したのかは分かりません。ですが、「君」の涙を見てしまった「僕」は、「君」を傷つけたと感じてしまったのでしょう。だからこれ以上「君」を傷つけたないために、「コトバ」を呟こうとはしなかった気がします。
もしあの時気づかないフリなどしなかったら、そんな後悔の気持ちも、「僕」の中にはあると思われます。ですが同時に、これでよかったんだろうと納得する気持ちもあるのでしょう。
正解の分からないやるせなさから、「僕」は誰にも認識されることなく、光の中に溶け込んでいきたいと考えている気がします。
「陽は西から昇る」歌詞を通じての感想
独自の世界観を味わいたい人へ
解釈の仕方にもよりますが、筆者には歌詞の中に出てくる「僕」は、決して前向きな考え方をしているようには見えませんでした。特に新しい夜明けの光に対して、光にのみこまれたいという考え方は、後ろ向きとはまた異なる、独特なものだと思います。
既存の世界観では満足できず、新しい感性に触れてみたい人は聴いてみて下さい。
終わりに
今回紹介した「陽は西から昇る」は、ミニアルバム「乾いた唄は魚の餌にちょうどいい」の他に、2005年に出した初のベストアルバム「傑作選2001~2005」にも収録されています。
このアルバムには、「陽は西から昇る」の他に、1枚目のシングル「星屑のセレナーデ」から7枚目のシングル「時の行方~序・春の空~(エディット)」までのシングル曲、インディース時代の楽曲「高校3年生」なども収録されています。
森山直太朗さんの魅力を探るのにもぴったりのベストアルバムですので、こちらから森山直太朗ワールドの裾野を広げていただくのも大いにアリかと思われます。あわせてチェックしてみてくださいね!
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