ただ今は独りでいたい

Right now I wanna
be all alone now

出典: DOZING GREEN/作詞:京 作曲:DIR EN GREY

2度目のサビです。

君の死を受け入れた主人公は、孤独でいることを望みます。

1人で静かに故人を悼みたいという気持ちからでしょうか。

喪失感の大きさから、周りの全てを拒絶しているのかもしれません。

この曲では「裂ける」や「溶ける」のような、何かを失うことを表す言葉が多く使われています。

まるで、主人公の満たされない心を表しているようです。

季節は巡る

サビの後に、心を揺さぶるようなシャウトが続きます。

1人で心の底から泣き叫び続ける、主人公の慟哭と重なるようです。

一輪の春、涙もろい首と
地を這う君さえも

It's the season of spring,
weeping eyes cry tears
Your neck-less body crawls
can't save you now

出典: DOZING GREEN/作詞:京 作曲:DIR EN GREY

主人公が涙に暮れている間にも、季節は巡っていきます。

春を表す花は色々ありますが、ここでは桜の花なのでしょう。

京の歌詞には桜が多く登場します。

春というと、新しい生命の誕生など明るいイメージが強いのではないでしょうか。

深い喪失感を抱えた主人公の気持ちを考えると、無情とも思えるほど正反対です。

君は分解されて自然に還っていきます。

もう、主人公にできることは何もないのです。

君の上にも、明るい春の日差しは降り注ぎます。

自然の中では、生きている者も亡くなった者も分け隔てないのです。

優しさと残酷さが感じられます。

苦悩を抱えて生きる

Love Me
Abandon Hope

出典: DOZING GREEN/作詞:京 作曲:DIR EN GREY

最後に「愛してほしい」という望みがつぶやかれます。

これが主人公と君のどちらの言葉かはわかりません。

君からの言葉だとしたら、人の姿ではなくなった自分でも愛してほしいということでしょう。

主人公の言葉ならば、孤独となった自分の拠り所を求めているのではないでしょうか。

どちらの言葉だとしても、その望みは「諦めろ」という叫びで否定されます。

この叫びは、主人公自身の心の声なのかもしれません。

どれだけ望んでも、生きている主人公と亡くなった君の世界が交差することはないのです。

主人公は喪失感を抱えたまま、これからも生き続けなければなりません。

気持ちを表現するかのような、京のホイッスルボイスが響き渡ります。

深い苦悩を抱えたまま、曲は終わりを迎えるのです。

別れの言葉の真意

君が告げた別れの言葉を聞いて、主人公は孤独でいることを選びます。

しかし、それは本当に君が望んだことだったのでしょうか。

この世にいない自分のことは忘れて、自分の人生を大切にしてほしい

そう思うからこそ、最後の別れを告げたのではないでしょうか。

しかし、その気持ちに反して、主人公は孤独に君の死を悼み続けています。

季節が巡っても、まだ君の気持ちは届いていないようです。

いつか君の最後の言葉の真意に気付く日が来れば、再び人生が動き出すのでしょう。

その日がやって来るかどうかは、主人公しだいなのです。

言葉と表現の美しさが堪能できる曲

【DOZING GREEN】の歌詞は、日本語ならではの曖昧な表現がされています。

言葉の美しさを感じながら、色々な解釈ができる曲です。

所々に挿入された美しい自然の描写も印象に残ります。

対比することで、登場人物の苦しい気持ちが際立っているのではないでしょうか。

歌詞だけでなく、曲の作り自体も複雑な構成になっています。

美しいメロディラインと、様々に変化する京のボーカルが堪能できる名曲です。

Linkin Parkとの共演

DIR EN GREYは【DOZING GREEN】の発表直後にLinkin Parkと共演しています。

Linkin Parkの来日公演に、スペシャルゲストとして出演しました。

意外な接点ですが、Linkin Parkも「Namb」のようにダークな世界観の楽曲を得意としています。

また、どちらもオルタナティブロックというジャンルで表現されることが多いバンドです。

Linkin Parkの曲もチェックしてみると、共通点が見つかるかもしれません。