不動のセンター・平手友梨奈ソロ曲
今回紹介する「角を曲がる」は、欅坂46不動のセンター・平手友梨奈さんのソロ曲。
元は2018年に公開された彼女の主演映画「響-HIBIKI-」の主題歌。
しかし音源化はされておらず、ライブでの披露もありませんでした。
しかし2019年9月の東京ドーム公演最終日に披露され、MVも公開。
グループ結成当初から8作連続でセンターを務めた彼女は様々な苦悩を経験します。
その苦悩や葛藤が詰め込まれたこの曲で、彼女は何を思い、何を叫ぶのでしょうか。
国民的アイドルグループへの期待
2015年、乃木坂46に続く「坂道シリーズ」第2弾として鮮烈にデビューした欅坂46。
デビューシングル「サイレントマジョリティー」はいきなりの大ヒットを記録します。
その年の紅白歌合戦にも出場し、欅坂46は一気にアイドル界の頂点に上り詰めました。
そのぶん彼女たちへ向けられる期待は大きく、メンバーは大きな重圧を背負います。
中でも加入当初中学生だった平手さんは常に大きな苦悩を抱えていたでしょう。
叙情的でリアルな18歳の叫び
歌いだしから曲調はリリカルなポエトリーリーディング。
その声には一般的にいう「アイドル」とはかけ離れたものを感じます。
他のアイドルは「恋」や「夢」「希望」を歌いますよね。
しかしこの曲で平手さんが歌うのは「苦悩」や「不条理」そして「挫折」。
彼女が感じる負の感情を、思いのままに吐き出しています。
大人と子供の狭間で苦悩する、リアルな「18歳の平手友梨奈」がいました。
「普通」と戦い続けた平手友梨奈
みんながおかしいんじゃないのか
自分は普通だと思ってた
でも何が普通なのか?
その根拠なんかあるわけもなくて…
出典: 角を曲がる/作詞:秋元康 作曲:ナスカ
平手さんはアイドル活動を通して「普通」と戦い続けてきました。
欅坂46といえば世の中への不満や反抗を力強く歌う楽曲で話題です。
良くも悪くもアイドルらしからぬ彼女たちは、いわば普通のアイドルとは全く違っていました。
その中でも平手さんの鬼気迫るパフォーマンスは観客を常に圧倒しています。
アイドル活動を通して成長していく彼女は、徐々に自分が普通とは違うと思い始めました。
でも、その「普通」っていったい何なのか、皆さんははっきりと答えられますか?
そう多くはないと思います。平手さんもその1人なのです。
答えられるとして、その根拠は?
自分がおかしいのではなく、周りがおかしいのでは?
そんな赤裸々な十代の悩みがこの歌詞に詰め込まれているような気がしてなりません。
個性すら見失ってしまった平手
もう誰もいないだろうと思った真夜中
こんな路地ですれ違う人がなぜいるの?
独り占めしてたはずの不眠症が
私だけのものじゃなくて落胆した
出典: 角を曲がる/作詞:秋元康 作曲:ナスカ
「自分は普通と違うのではないか」
そう感じていた平手さんは、「それも個性だ」と考えることで自我を保っていたのでしょう。
「こんな悩みを抱えているのは自分ぐらいしかいない」
そんな希望とも絶望ともとれない思いがあったのです。
しかし、そんな薄暗い路地(=不眠症)は自分だけのものではないことを知った彼女。
「同じ悩みを抱えている人がいたんだ!」
と安心するどころか個性を見失い迷ってしまう、そんな不安定な心情が歌われています。
彼女の心には「他者に自分の気持ちが分かってたまるか」という気持ちがあるのではないでしょうか。
自分にとっての特別なはずの感情が、周囲の人々も感じているありふれた物だったと気がつくこと。
そのことは彼女にとって自分のアイデンティティを崩されるような、不安を想起させるものなのでしょう。
自分らしさとは
「大人」と「子供」、「普通」と「個性」の狭間で揺れ動く平手さん。
どっちつかずの思いは、誰に聞けば解決するのでしょう。
国民的人気を誇るアイドルの不動のセンターも、1人の少女なのです。
皆がいう「自分らしさ」とは何なのか。
大人や他人のイメージ通りになりたくないという強い想いに揺れ動く心情に注目です。