らしさって 一体何?
あなたらしく生きればいいなんて 人生がわかったかのように
上から何を教えてくれるの?
周りの人間に決めつけられた 思い通りのイメージになりたくない
そんなこと 考えてたら眠れなくなった
だからまたそこの角を曲がる
出典: 角を曲がる/作詞:秋元康 作曲:ナスカ
そんな苦悩を抱える平手さんに対し、大人は「あなたらしく」といいます。
しかし「あなたらしく」とは、なんて無責任な言葉なのでしょうか。
そう考えることもできませんか?
自分が思う「自分らしさ」と他人が思う「あなたらしさ」は一致するとは限りません。
「あなたらしく」という言葉は、無意識にイメージを押し付けているように感じてしまったのです。
他人から見た自分のイメージに沿って生きること。
それは見方を変えれば、本当の自分を抑圧して生きていくことであるといえるのではないでしょうか。
周囲から期待されているような自分と本当の自分の間に存在しているギャップに対して悩んでいるのでしょう。
周りの思い通りになりたくない
そうやって周りの人間が勝手に自分に対して持ったイメージ。
平手さんは、そんなイメージ通りになんかなりたくないと考えています。
ここでいう「角を曲がる」とは、そんな周りから目をそらしたい平手さんの心情。
路地を孤独に歩く平手さんは、正面からくる重圧や期待から逃げ出したくて角を曲がったのです。
本当の自分であるということを貫くことは、時として孤独を強いられます。
周囲の意見を跳ね除けることによって、心無い言葉をかけられることもあるでしょう。
そんな中で平手さんは孤独に耐えて1人で戦ってきたのではないでしょうか。
空を見上げても希望は見えない
星空さえも中途半端だ
街の明かりが明るすぎて…
明日が晴れようと雨だろうと
変わらない今日がやって来るだけ
出典: 角を曲がる/作詞:秋元康 作曲:ナスカ
孤独感と息苦しさにさいなまれながら、平手さんは暗い路地でふと空を見上げます。
しかし、見上げた星空さえ中途半端でよく見えません。
それは、周りがキラキラと輝いているから。
周りには華やかな芸能人。同世代の「普通」の友達たちは、まさに青春を謳歌しています。
変わりゆく空模様を見たって明日に何か変化が起きるわけではありません。
そんな無力さに、諦めの感情が湧いてきたようにも感じます。
自分がどれだけ頑張ろうと周囲からの期待に応えられず、状況は好転しない。
欅坂46というグループの顔として様々なものと戦いながらも、変えられないことに対しての諦めなのかもしれません。
本当の自分
本当の自分はそうじゃない こうなんだと
否定したところで みんな他人のことに興味ないし…
えっ なんで泣いてんだろ?
出典: 角を曲がる/作詞:秋元康 作曲:ナスカ
「欅坂46は社会に強い反抗心を持ったクールなグループだ」
「平手友梨奈は鬼気迫るパフォーマンスをする素晴らしいアーティストだ」
皆さんはそんなイメージを持っているかもしれません。
しかし、平手さんが思う「本当の自分」と世間のイメージには、差違があったのでしょう。
「本当は私、こんな人間なんです」
そう叫んでも他人はそんなことに興味はなく、無視されるだけでしょう。
勝手に出来上がった世間のイメージに自分を偽り活動を続ける。
そんな日々に、自分でも気づかぬうちに心は限界を迎えていたのかもしれません。
本当の自分をひた隠しにする内に、段々と傷ついてきた彼女の心。
気づかないうちに流れる涙というのは、彼女の精神が悲鳴を上げていることを表しているのだと考えられます。
自分の感情を押し付けてくる周囲の人々に振り回され、心が傷ついているのでしょう。
誰も本当の自分を見てくれない
どうしようもない苦悩と1人で葛藤し、孤独に歩き続ける平手さん。
周りに助けを求めようにも、誰も本当の自分をきちんと見てはくれません。
本当にそうだったのかはわかりません。中には理解のある大人もいたでしょう。
しかし、まだ未熟な十代の少女はそうは思えなかったのです。
自分なんて取るに足らない存在だ
だって近くにいたって誰もちゃんとは見てはくれず
まるで何かの景色みたいに映っているんだろうな
フォーカスのあってない被写体が泣いていようと睨めつけようと
どうだっていいんだ
わかってもらおうとすればギクシャクするよ
与えられた場所で求められる私でいれば嫌われないんだよね?
問題起こさなければ しあわせをくれるんでしょう?
出典: 角を曲がる/作詞:秋元康 作曲:ナスカ
厳しい芸能界で生きる平手さんは心も限界に近づきます。
しかし周りの人は自分をきちんと見てはくれません。
そんな人たちにとっての自分は、景色と同じように取るに足らない存在だと感じたのです。
まるで自分にピントが合っていない写真のよう。
どれほど泣きわめこうがにらみつけようが、そこに注目する人はいません。
自分の心のSOSに気づいてくれる大人なんていなかった、そう考えたのでしょうね。
彼女から見た周囲の大人たちは自分を利用する存在に見えていたのかもしれません。
本当の自分に興味はなく、イメージに沿って演じる自分を見ている。
それは自分が演じているキャラクターであって、本当の自分ではない。
自分が抱えている本当の気持ちを分かってもらいたいのに、見てくれないことに対して諦めの心境でいるのでしょう。