ドミコ「そんなのおかしくない?」とは?

ドミコの「そんなのおかしくない?」は、2017年10月18日にリリースされた2作目のフルアルバム『hey hey , my my? 』に収録されている楽曲です。

問いかけて来るようなタイトルの意味が気になる人も多いのではないでしょうか?

まずは、この楽曲ができた背景から紹介します。

「こんなのおかしくない?」という曲名に込められた意味とは?

ドミコの「こんなのおかしくない?」は、ボーカルのさかしたひかるさんが、日常の中で感じた不満のようなものを歌っているそうです。

自分はすごく不満に思うのに、何も感じていなさそうな人に対して大丈夫なの?という意味で「こんなのおかしくない?」と問いかけているイメージだとか。

確かに、事実の描写の中に、ひかるさんの不満が感じられる歌詞ですよね。

別に「おかしくない?」と問いかけているだけで、別に変えていこうと訴えかけているわけではないところに、ドミコらしさがあるのでしょう。

この歌を聴いてどう思うのかはリスナー次第と、挑戦的な姿勢なのですが、こういったところもひかるさんの作る歌詞の魅力です。

では、そんな歌詞の意味を解釈していきましょう。

ドミコ「こんなのおかしくない?」の歌詞の意味を解釈!

本当にこれでいいのか?社会から自分へと疑問の矛先は向いて

奪ってでも事実まるごとフタすればいいか?
さらっと秘密持ち出して しまっとけばいいやー

あー話したくない様な 話したい内容

だったらもう寝静まりだし待ってればいいか
揃ったヒモきつく間に しばっとけばいいや

出典: こんなのおかしくない?/作詞:さかしたひかる 作曲:さかしたひかる

口封じのために命を奪ってでも真実を隠せばそれで許されるのか?

悪いことをしても秘密を持ち出してしまい込めばバレないからいいのか?

社会の闇を感じるような問いかけから始まる歌い出しですね。

ニュースで流れて来る悪質、凄惨な事件ほど、話したくない内容のはずなのに、見ると誰かに話したいと思う気持ちがどこかにあるのが人の常。

そんなところにつけ込むようなマスコミのあり方に問題提起しているようにも取れる歌詞です。

しかし、そんな風に世の中に疑問を抱いたとしても、それを誰かに話したいという気持ちも抑え込める程度のもの。

誰もが寝静まるような夜中だし、明日まで待ってればいい。

そして、真実を隠す社会のように、靴ひものように「揃ったヒモ」を心の隙間を渡してきつく縛って抑え付けてしまう姿は社会の縮図のようですね。

社会に不満や欺瞞を抱きながらも社会の一部として社会の常識に沿って当たり前に生きてしまっている姿を描写している歌詞です。

この部分だけでも気づかされたり、考えさせられることがたくさんあるのですが、続きの歌詞も見ていきましょう。

葛藤に苛まれている自分なんておかしい!

決して知られたくない様な 知られてみたいような
胸は鼓動を打ち温め込む

こんなのおかしくない? 煮え出す体温
こんなに葛藤は 消えてしまえ遠くに

出典: こんなのおかしくない?/作詞:さかしたひかる 作曲:さかしたひかる

前の歌詞で、世間という大きな範囲から個人にまでフォーカスしていきましたが、ここではさらに個人の心の中へとその範囲を絞っていきます。

「決して知られたくない様な 知られてみたいような」感情は誰もが胸の中に抱えているもので、そんな感情ほど自分にドキドキとする高揚感を与えるのでした。

そんな感情を何のためらいもなく外に出せる人の感覚はどうかしていると思いながらも、「葛藤」に苛まれる自分を煩わしくも思っているのがわかりますね。

人も自分と同じ様に生きていることを感じるからこそ、違うということを感じてしまう

わかってるよ すがってるし 欲しいものなんてもうない
あなたはもう ふてぶてしい 困ったりも萎縮もしない

胸、荒い、呼吸、細い肩、腕、腰、頭ん中

こんなのおかしくない? 逃げ出したいよ
そうなる後は 見えなくなるように

出典: こんなのおかしくない?/作詞:さかしたひかる 作曲:さかしたひかる

自分のことを自分らしさにすがり、欲もない、人の世を長く見てきた老人のように欲のないつまらない人間。

そして自分とは全く違う人を「あなた」とし、ふてぶてしく困ったり萎縮したりもしない人間だと言い切る歌詞。

どちらも人間として認めたくない気持ちがあるようですね。

自分を強く変えたいと思うことなんてないハングリー精神のない自分のことを認めながらも、ガツガツと生きている人たちにも、周りが見えてないのではと言いたげです。

「胸、荒い、呼吸、細い肩、腕、腰、頭ん中」と人間の五感を感じさせるような歌詞がありますが、ここは何を意味しているのでしょう。

おそらく、自分も、人も、同じように生きているはずのに、こんなにも感じることが違うということが言いたいのではないでしょうか。

それは自分や人に対する苛立ちでもあり、高揚でもあり、一言では言い表せない矛盾を多分に含んだ感情なのでしょう。

「こんなのおかしくない?」という言葉はそんな複雑な感情を一言に固めて吐露したような言葉なのですね。

そして、そんな得体の知れない感情は置き去りにもうこんな世の中からは誰からも見えないところへ逃げ出してしまいたい。

とにかく何かから逃げたいという想いを我慢して生きている現代の息苦しさのようなものが凝縮されている気がします。

器用に生きられない葛藤