MVでは”「最新のかっこいい」ミュージアム”と訳されている美術館。
無機質なコンクリートの壁に数々のアートが展示されています。
「最新のかっこいい」ミュージアムかどうかは分かりません。
しかし、”Neo(ネオ)”は新しいという意味です。
第二次世界大戦でナチスが敗れた後に誕生した団体も”ネオナチ”と呼ばれています。
”ネオ”と聞くとドイツっぽいイメージが湧きませんか?
ネオにはそんな先進的なイメージが含まれているのです。
作品のテーマが奇天烈
MVの美術館にはいくつかの作品が展示されています。
非常に芸術性の高いアートなので、MV撮影だけで倉庫行きになってしまうのが寂しくも感じます。
MVの構成はアート作品をテーマにしたシーンが合間に挿入される撮影方式です。
ダンスだけでなく、アート作品にとても力を入れたMVです。
以前の日本では無料動画サイトを通して音楽を配信するのはレアケースでした。
しかし、広告収入も見込めることから、徐々に動画サイト経由での公開も拡散しています。
ファンの視点から見れば、気軽に超特急の曲が楽しめるのでいいですね。
音楽の担い手としてもっとも残念なことは誰にも視聴されないことです。
どんな手段であれ、自分たちの作ったMVやダンスが広まることは嬉しいことなのです。
作品名「浄化」
洗濯 = 浄化?
遠近法によって左右一列ずつに干された真っ白なTシャツ。
画面の中央には泡で洗濯をする超特急メンバーが登場します(1:11)。
ただのシャツの洗濯という家事を「浄化」と名付けてアートにすることで生まれ変わります。
学校でタイプじゃない人に言い寄られたら、
「部屋を”浄化”しないといけないから、ごめんね」
とメッセージアプリで断りを入れるのも楽しいかもしれませんね。
きっと何かの新興宗教に違いないと思って、逃げていくでしょう。
作品名「ヒモ生活」
ヒモ生活って、どういう意味?
一般的にヒモ生活と言えば、彼女に頼って働かない男を指します。
主に収入面での話です。
男尊女卑だった戦後の日本社会は男女平等の平成になりました。
女性の社会進出によって、ヒモ生活をする男性も増えたかもしれません。
一方で才能のある男性を影で支える女性もいます。
男性が将来を担う素質があるかどうか見抜くのは女性の眼力によります。
MVでは、1:45のあたりで作品名「ヒモ生活」が登場します。
天井から鬱金(うこん)のヒモが無数に垂らされた作品です。
ヒモ生活の男性を描くのではなく、本物のヒモを展示している点がユーモラスです。
そして、そのヒモの中でダンスをするメンバーが実質的にヒモ生活という設定。
無数の垂れさがるヒモの中に人が入ることで作品は完結します。
普通は色彩や物体によって表現するアートにホモサピエンスを取り入れたのです。
人間、即ち”アート”といった発想が豊かですね。
作品名「おしべとめしべ」
花は逆ハーレム?
大抵の花は同じ花弁の中におしべとめしべがあります。
中央に大きなめしべがあって、周囲をおしべが取り囲んでいます。
フラワー界では一人の女性をたくさんの男性が取り合っているのです。
そこに蜂などが蜜を吸うときにおしべの花粉が足につきます。
蜂は何個もの花の蜜を集めるので、別の花のめしべにさっきのおしべの花粉がつきます。
これを受粉といいます。
MVの2:34ではめしべを超特急メンバーに見立てています。
そして、数多(あまた)のおしべを長い風船で表現しているのです。
メンバーはめしべの役なので女王のごとく妖艶な舞を見せています。
作品とダンスがきれいにリンクしているので、仕組みが理解できるとよりMVを楽しめます。
非常に芸術に富んだMV「Jesus」。
何度、見ても飽きないようにちょっとしたダンスにも工夫が施されています。
まとめ
「Jesus」の作品情報やドラマ「ヒモメン」、MVのダンスを紹介しました。
実に凝ったMVなので一度視聴してみるといいでしょう。
MVもさることながら、曲も個性溢れるメロディーラインです。
ただのポップソングではなく、BGMがお経風だったり、ラップも入っています。
そのため、カラオケで歌うには難易度は高めかもしれません。
このように多彩な要素が組み合わさって、超特急の「Jesus」が出来上がっています。
アート、ダンス、美術館、ラップ、個性、歌など一つのMVから多くの言葉を連想できます。
音楽界も浮き沈みの激しい世界です。
他を圧倒させるようなMVやダンスを生み出さないとトップを取れないのでしょう。
こうした画期的なMVが増えることでミュージシャンも切磋琢磨(せっさたくま)するのです。
”みんな同じ”から”個性”の時代へと日本も変貌を遂げています。
みじかな音楽にも日本社会の流行が反映されているのです。
時代にウケるMVを作ってこそミュージシャンは大成します。
これからの音楽業界は個性を見せる作品が雨後の筍のように出てくることでしょう。
それでは、みなさん素敵な音楽ライフを。