「○○ちゃん」ってどんな曲?

2016年にメジャーデビューして以来じわじわと人気を集め、ミュージックステーション出演も話題のあいみょん

路上をフィールドに活動していたあいみょんのデビューのきっかけとなったのは、友達がYouTubeにアップしてくれた動画でした。

オーディションなどを自分から受けに行くようなタイプではなかったとのことです。

動画をたまたま見た事務所の方がいたことから、現在の事務所に所属することになりました。

その後、ジャニーズWESTへの歌詞提供などを経て、2015年には「貴方解剖純愛歌 〜死ね〜」でインディーズレーベルよりCDデビュー。

その2か月後にリリースしたミニアルバム「tamago」の4曲目に「○○ちゃん」が収録されています。

アコースティックギターのイントロで始まるミディアムテンポのロックチューンで、歌詞を味わいながらじっくり聴ける楽曲ですよ。

○○ちゃんのMVをチェック!

あいみょん楽曲の多くはMVになっていて、YouTubeで聴くことが出来ます。

「○○ちゃん」もMVがYouTubeにアップされています。

留袖のあいみょんが、花嫁の付添人役として登場しています。

個性的なファッションが多い印象のあいみょんですが、黒の留袖とはなかなか昭和感のある渋さです。

当時、19歳です

MVの見どころは?

結婚式前の場面に始まり、何故かホストクラブ、ボウリングと花嫁が遊びまわる展開です。

花嫁はボウリング場のレーンの前で開脚したり、渋谷の路上で和傘を振り回しながら踊ったりと、やりたい放題です。

それに対して、少し不機嫌そうな表情で淡々と、しかし、鋭く歌うあいみょんとの距離感。

同時間帯にいるのに、どこか異世界にいるような、絶妙な表現ですよね?

花嫁を含めて背景が全部スローモーションなのが、あいみょんの存在を際立たせてるんです。

倍速で音楽を鳴らしながら撮った映像を、再生時に半分の速度に戻す「倍速リップ」という撮影テクニックが効いています。

1コーラス目は小説仕立て!

○○ちゃんとは誰なのか

過去のインタビューによれば、この歌は、あいみょんの実在する親友についての歌とのことです。

したがって、本稿のタイトル「○○ちゃんは◯◯を歌った曲?」の「◯◯」は「親友」ということになりますが、そんな薄口な話ではありません。

歌詞を見てみましょう。

冒頭から自分語りのスタイルで、「○○ちゃん」の恋愛観が述べられます。

私のこれまでの恋は この強がりな性格が邪魔をして
自分も傷つきさよならする そしてまたハズレを引く

出典: ○○ちゃん/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん

読んでみると、語り口調は歌詞ならではの省略があるので歌で聞いた方がすっと入るのですが、言われていることは、まるで小説

主人公の独白のスタイルを借りて、「○○ちゃん」の人となりが説明されています。

このたった二行で、過去の恋を反省しながらも、今もちゃんと恋し続けている「○○ちゃん」が見えてきます。

「そしてまたハズレを…」なので、「ハズレ」を引いたのも、その前に傷ついたのも一度ではないことがわかります。

「強がり」と言っているのも既に「強がり」の一部なんですよね。やっぱり傷ついてしまう「○○ちゃん」。

あいみょんの作品は言葉の力強さが注目されることが多いのですが、それ以上にストーリーが力強いので、その観点で読み進んでみましょう。

恋をしてきた○○ちゃん

お酒は大好きで悪酔いも少々 好きでもない男と寝たこともある
早くに覚えすぎたタバコも 何度もやめようとは思ってる もてないし

出典: ○○ちゃん/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん

ここは、前段の続きで、より詳しく「○○ちゃん」の姿が描かれます。

酒、男、タバコ

この辺りの品々で人物の不良性を嗅ぎとれるような時代ではなくなって久しいのですが、色々言いながら「もてないし」と締めています

「恋多き」と良く言いますが、恋に生きている感じがします。もてるかどうかを軸にしているんですね。

しかも、最後に言い捨てるような「もてないし」という歌い方です。

こうすれば「もてる」という肯定の表現ではないところが、ちょっとすねた感じで、なんだか可愛く思えてきます。

ここまでで、だいたいの「人となり」がわかってきた「○○ちゃん」は、突然こんなことを言い出します。

「恋」から「愛」に

こんな私もおとなになったそろそろ本当の愛を知りたいわ

出典: ○○ちゃん/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん