無理矢理に守り抜いてきた心はついに悲鳴をあげます。

変えられようのない現実を受け入れたとき、主人公は何を思うのでしょうか?

その笑顔は偽り

人は誰も自分を騙して
微笑み映し出すから

出典: Rain/作詞:KOMU,TATSUNE 作曲:原一博

ボロボロになった内面を隠して表面上は笑顔を浮かべる行為。

「空元気」ともいいますが、これは自分自身に嘘をつく行動とも考えられます。

必死に作った笑顔は「自分を騙して」生み出したもの。

心を削って生み出した作り物なのです。

土砂降りの中で護りたいもの

叫びだす空か今日の叫びを
塗り潰し 夜明けが来るなら
さあ その果てに行こう
叶わないことが真実ならば
風に揺れた果実を
Ah ただ護リたい 手の中

出典: Rain/作詞:KOMU,TATSUNE 作曲:原一博

空の叫び…これは土砂降りの雨のことかもしれません。

すさまじい雨音はまるで空が泣き叫んでいるかのようなのでしょう。

そして、前述したように「雨」は心の状態の比喩です。

土砂降りのように心が破裂して叫び声をあげたのだと思います。

ですが、絶望の中であっても主人公は明日へと突き進もうと歌っていますね。

願っていたことが叶わないと知り失望していた冒頭。

ですが、叶わないなら叶わないで、現実を受け入れようとしているのです。

ここで「果実」が出てきました。

これは心に実った大切な感情を表現しているのだと思います。

強い雨風は果実を傷つけ、台無しにしてしまうでしょう。

自分の心に実った果実は決してダメになってしまわないように、大切に抱きかかえて生きていく…。

そんなニュアンスだと思います。

主人公が護っているのはどんな思いなのでしょうか?

自分を騙すことで生きる

絶望に打ちひしがれていた主人公は、再度その胸に希望を宿そうとします。

でも、いくら祈っても現実は変わらないでしょう。

それを知ったうえで主人公はどのように考えていくのでしょうか?

僅かな期待を抱かせる

雲の裂け目が悪戯に
希望の意味を語りだす
過去に怯えた瞳さえ
夢を見せる この空で

出典: Rain/作詞:KOMU,TATSUNE 作曲:原一博

ここで天気に変化がありました。

晴れの兆しが見えたのです。

でもこれは必ずしも良い意味ではないようですね。

この兆しは主人公に僅かな期待を持たせます。

願いを叶えてくれるかどうかは定かでないのに、期待だけを持たせるのです。

失望して心が痛むのはそもそもの期待値が高いからでしょう。

一瞬痛みから解放されたかと思われる心は、この先どうなってしまうのでしょうか?

「正義」にすがる心理

人は誰も嘘を信じて
正義を作り出すから

出典: Rain/作詞:KOMU,TATSUNE 作曲:原一博

正義なんて存在しない。

そう心の底では思っているかの表現ですね。

正義があると信じていたい人の心理なのでしょう。

不安定な精神状態の時ほど、何かにすがることで安心したいと思うものです。

無理矢理にでも正義を生み出して心を安定させようとする人の弱さが読み取れます。

痛みを消し去って欲しい

凍りつく雨が胸の痛みを
切り離す 答えになるなら

出典: Rain/作詞:KOMU,TATSUNE 作曲:原一博

氷水に指を浸すと、段々と感覚が鈍っていきます。

もともと痛かった身体の部分が痛みを感じなくなることも。

この冷たい雨がそれと同じ役割を担ってくれるのではないか、と歌っていますね。

つまり、自分の力では痛みをどうすることもできないのでしょう。

何としても未来へと進む覚悟