一人で生きてゆけると あなたは言い放つけれど
本当は何度も何度も自分に言い聞かせた 夜があったのでしょう
出典: 心のそばに/作詞:細田守・中村佳穂・岩崎太整 作曲:岩崎太整
強がりはもはや「あなた」のお家芸です。
誰にも頼らない、1人で立って歩ける、と周りの支えが無くても大丈夫だといいます。
ですが本当の「あなた」は決して最初から強い人だったわけではなかったようです。
先述した通り、強くいなければいけなかった。
本当はできることならもっと周りに頼りたいし、甘えたかったのでしょう。
映画の主人公である「すず」は幼少期に母親を亡くしています。
受け止めたくない現実であったことに間違いありません。
このショックはそう簡単に癒えるものではないでしょう。
それでもいつまでもくよくよしていては周りに心配をかけてしまいます。
幼いながら、「元気でいなければ」とずっと自分の戦っていたのかもしれません。
しかし、やはり想いが溢れてしまう夜もあることが窺えます。
それでも「大丈夫、大丈夫」といつも自分を苦しめて追い込む事しかできなかったのでしょう。
「あなた」の強がりに「すず」の姿が重なります。
私には見せて欲しい
けどね、あなた、あなたを
どんなあなたでもみたいと
いつも考えてしまう
出典: 心のそばに/作詞:細田守・中村佳穂・岩崎太整 作曲:岩崎太整
いつも強がって、こらえきれず爆発しそうになって、それでも感情を抑え込み笑顔を見せる「あなた」。
そんな「あなた」のことをどうやら“愛しい”と思う存在がいるようです。
本当は弱いのに弱さをを見せることのできない「あなた」の頑張りを知っているのでしょう。
弱くたっていい、ありのままで居たらいいんだと優しく諭してくれるように窺えます。
どうしたら「あなた」が本当の自分をさらけ出すことができるのか考えているようです。
あなたを1人にしない
隠さなくていい
聞かせて 隠そうとするあなたの顔を
見せて 隠れてしまうあなたの心 聞かせて
出典: 心のそばに/作詞:細田守・中村佳穂・岩崎太整 作曲:岩崎太整
強がることがもはや自然で定着してしまっている「あなた」。
心の扉にはしっかりと鍵がかかっていてなかなか開けることができません。
それでもきっと、ノックし続けることできっといつか扉を開けることができると信じているようです。
突然弱さを見せろさらけ出せと言われても、できることならとっくにそうしてるでしょう。
それができないから「あなた」も苦しんでいるのです。
でも、諦めずにずっと自分のことを待ってくれている存在には本当に救われるのではないでしょうか。
ずっと寄り添う
どんなことからでもいい 最後まで聞くから
聞いて 傍にゆきたい あなたの心
出典: 心のそばに/作詞:細田守・中村佳穂・岩崎太整 作曲:岩崎太整
1行目の歌詞ほど、言われて心が救われる言葉はないように思います。
人に何かを伝えるということは意外と難しく考えてしまうもの。
「何から話そう」「長くなってしまったらどうしよう」など迷ってしまい上手く話すことが出来ません。
話すハードルが高いため、自分の気持ちを“言わなければいい”という方向に持っていってしまうのです。
そのため「小さなことでもいい」と言ってもらえるだけで話がしやすくなります。
少しずつ小さなことから話していくうちに、どんどんポロポロと本音が零れ落ちてくるでしょう。
「最後まで」という言葉も話し手に安心感を与えます。
「この人は話を聞いてくれる」と思えることがどれだけ心強いか。
「話していいんだ」と思えるだけで、すっと心も軽くなっていくでしょう。
ずっと1人で抱え込み頑張ってきた「あなた」。
ようやく「あなた」の前に、「あなた」を心から理解し寄り添おうとしてくれる存在が現れたようです。
急に変わることは難しくても、少しずつ、「あなた」の傷が癒えますように。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「1人で大丈夫」と自分自身に言い聞かせるためにずっと強がってきた「あなた」。
本当は弱く脆く、ずっと何かを求めていたのかもしれません。
弱さを見せることに抵抗がなくなったとき、きっと「あなた」の心は軽くなるでしょう。
頑なだった心を少しずつ解いてくれる存在に気付かせてくれるような楽曲になっています。