「蜜の月」はこんな楽曲
「蜜の月」は、SEKAI NO OWARIのメジャー4thアルバム『Lip』に収録されています。
エレクトロニックピアノの揺れる音色と、心が弾むようなドラムフレーズ。
その中から、Fukaseの少年性を帯びた歌声が聞こえてきます。
その歌声にシンクロするように、どこか無邪気さを感じさせる歌詞。
今回は「蜜の月」の歌詞の世界観を徹底考察していきます。
その歌詞に込められた意味とは一体どのようなものなのでしょうか。
早速、1番の歌詞から見ていきましょう。
「蜜の月」1番
君への想い
大観覧車と建ち並ぶビルたち
君の後ろ姿 ずっと眺めていた
出典: 蜜の月/作詞:Fukase 作曲:Fukase
冒頭の2行からご紹介します。
ここでは、まず風景を眺める主人公の姿が描かれているようです。
2行目に登場する「君」というのは、きっと主人公にとって思い入れのある人物でしょう。
そんな人物の後ろ姿を密かに見守っているようです。
どれだけ時間が過ぎても、彼はその後ろ姿に何か特別な思いを抱いて眺め続けています。
まるで時間が止まったかのように、そこから動き出すことができないでいるのでしょう。
時の流れから取り残されて
言葉を選んでた 時間は過ぎていく
僕だけこのままで 嘘が映る水面
出典: 蜜の月/作詞:Fukase 作曲:Fukase
そんな相手に対して、どんな言葉をかけていいのか躊躇っているようです。
しかし一向にその言葉を決められずに、沈黙だけが流れている。
主人公1人だけが時の流れから取り残されている光景が目に浮かびます。
周りの人々や風景は刻々と変わっていく。
けれど、彼1人だけがその場から離れられずにいます。
「君」の心は徐々に離れていっているにも関わらず、過去に囚われたまま踏み出せない主人公。
2行目の後半「水面」という言葉から、近くにある「水面」をじっと見つめている様子が想像できます。
そしてそこには、主人公の気持ちが反射しているのかもしれません。
かけようとした言葉はどれも薄っぺらく感じられて、何も発せられないと感じているのでしょう。
「君」という存在が、主人公にとって特別な存在であることが分かる表現です。
思い出してほしい
2人で見た月の形
思い出してくれたら良い あの日に見た月のように
この声が届くように 僕は歌っている
出典: 蜜の月/作詞:Fukase 作曲:Fukase
ここでは「君」の後ろ姿を見ながら、その想いを表現する主人公がいます。
2人で一緒に見た月。
大切な人が、自分との思い出をどうにか思い出してくれることを願っているかのようです。
その後ろ姿を眺めながら、彼は歌を歌っている。
そういった手段でしか、もう自分の気持ちを伝えられないと考えたのでしょう。
あの時は並んで見ていたはずなのに、今では2人の間に消えない距離があります。
主人公は振り向いて欲しいのでしょう。
だからこそ、「君」が昔のことを思い出すような歌を歌っています。
2人で見た雪の白さ
思い出してくれたら良い あの日に降る雪のように
この歌が届くように 僕は歌っている
出典: 蜜の月/作詞:Fukase 作曲:Fukase
前述のパートで「月」となっていた部分が「雪」と表現されています。
2人で見た光景をこちらでも言葉にしているのでしょう。
共に過ごした季節の長さが感じられる表現です。
「君」が背を向けて、遠ざかっていく。
その後ろで主人公は、2人で過ごした時間を思い出して欲しいと願っています。
その想いが歌という形となって、「君」へ届くことを祈っているようです。
離れていく大切な人を、傍観するばかりだった主人公。
しかし今では、歌を歌うという手段によってそのことに抵抗しようとしています。
そのまま言葉を伝えるという手段では、気持ちを伝えきれない。
そんな彼にとって唯一の手段が歌なのでしょう。