アジカンの世界を学びます
アジアンカンフージェネレーションの歌詞が文学的というのはファンの間では当たり前なことかもしれません。でも「文学的」この言葉に定義はあるのでしょうか?
文学といえば、芥川・太宰・川端を想像します。教科書にも出てくる人たちですね。ゴッチの歌詞を解説する前に「文学的」を少し調べたいと思います。
文学的に定義はあるの?
文学的は文学に的がつくので「文学のような」という意味になります。では文学とは何か? というと実は絶対的な定義はありません。
意味を知るヒントとしては「文学は文芸と言い換えることが出来る」があります。文字による芸術作品が文芸となるので、文学も芸術の1種と言えます。
文学のジャンルに入るものとして、小説・詩・短歌・俳句などがあります。残念ながら、歌詞は文学に含まれていません。でも文学的な歌詞は存在しているはず。
自分が国語の長文問題が苦手だったことを思い出すと不安になるのですが、ゴッチ文学的世界に踏み込んでいきたいと思います。
読み方が良くわからない! それさえも文学的?!
より多くの人に興味を持ってもらう仕掛けとして「謎のタイトル」がありますね。コレなんて読むの? というシンプルな疑問を拡散することが目的。
だからと言ってこのタイトルがそれを狙った訳ではないと思うのですが、色々に読めるので正しい読み方も再確認します。
Re:Re:は鈴虫の鳴き声ではありません?!
タイトル「Re:Re:」読み方は「アールイー・アールイー」間の:コロンは読みません。リーリーでもありません。シンプルにアルファベットを読みます。
「Re:Re:」が収録されたアルバム「ソルファ」が最初にリリースされたのは2004年10月。2004年に携帯電話(ガラケー)普及率は90%を超えました。
スマホが本格的に普及し始めたのが2010年頃なのでガラケーにおける栄光の時代。ラインやツイッターはまだ少し先の話なので、連絡手段の中心はメールです。
「Re:Re:」の文字はメールをやり取りする場合には必ず目にする文字でした。メール送信→相手がそれに返信→その返信に返信をしようとする→件名に「Re:Re:」が出ます。
今では少し出番が減った「Re:Re:」ですが、この流れを踏まえて歌詞を見ていきましょう。
君を待った
僕は待った
途切れない明日も過ぎて行って
立ち止まって振り返って
とめどない今日を嘆き合った
記憶だって 永遠になんて残らないものとおもい知って
僕はずっと掻きむしって 心の隅っこで泣いた
出典: Re:Re:/作詞:後藤正文 作曲:後藤正文・山田貴洋
待つ・立ち止まる・振り返る・嘆くと後ろ向きの言葉が並びます。自分が発信したことへの返信が戻ってきました。その内容は自分が思っていることとは違う言葉で返されたようです。
突き返された返信に言葉を返すことはありません。何も残っていない現実を知るだけでした。
最後にあるのは結(むすび)!!
君を待った
僕は待った
途切れない明日も過ぎ行って
僕は今日も掻きむしって 忘れない傷をつけているんだよ
君じゃないとさ
出典: Re:Re:/作詞:後藤正文 作曲:後藤正文・山田貴洋
転結する歌詞に隠されたメンタルは?
歌詞の最後“君じゃないとさ”に刮目しました。返信を待っている間に時間も日にちも過ぎて行きました。
心に刻んで強く留めておきたい2人で過ごした時間はもう戻ってきません。気持ちを“君じゃないとさ”と結んで歌詞は終わります。
この“君じゃないとさ”には“やっぱり僕は君じゃないとさ、ダメなんだ!”という本音が隠されています。
ギターを弾きながらこぼれ出る言葉の余韻、ストーリーの続きを知りたい終わり方が光ります。
収録アルバムの「ソルファ」は2016年11月に新しいアルバムになって再び誕生。2004年リリースの「ソルファ」を全て新しくレコーディングし直すという、贅沢設定が話題になりましたね。
新しい「Re:Re」は2016年TVアニメの「僕だけがいない街」のOPとして使われました。
送れなかった返信は12年の歳月を飛び越えて「Re:Re」をつけたまま送信されたようです。
「僕だけがいない街」は行って戻ってまた行くを繰り返す主人公とミステリーを絡めたハードなストーリー。
12年を経ての復活は「Re:Re」の意味を再確認する機会にもなりました。待つ・振り返る・立ち止まる・嘆くは、前を向くためのジャンプ台になりましたね。
好きな色はブルー系? 漢字2文字の色はナニ??
色の名前が付くタイトルは「ブルートレイン」や「ブラックアウト」があります。今回は漢字で表記された色が入っている歌詞を選びました。