一緒に暮らした日々はもう戻らない
なんだって好き嫌いしないで
おいしそうに食べるキミが baby
大好きで はりきって 作りすぎちゃう
私を笑ってくれたね
出典: Still love you/作詞:Kana Nishino 作曲:FAST LANE,LISA DESMOND
ここでも彼女は懐かしい日々を思い出しています。
先に進むより、とにかく今は、現実を受け止めなければならないのです。
そのためにも彼女は2人で過ごした日々を振り返る必要があるのでしょう。
手作りの料理の思い出から、2人は一緒に暮らしていたのかもしれないということがいえます。
そして彼女が作る手料理を、「キミ」は喜んで頬張ってくれたのです。
ここまでの思い出だけを切り取ってみると、とても仲睦まじい様子が伝わってきますね。
2人の年齢がある程度適齢期であれば、結婚してもおかしくないくらいだったのではないでしょうか。
美味しそうに食べる彼を見るのがうれしくて、つい作りすぎてしまう彼女。
なんとも微笑ましく、お互いがお互いを想っていたことが分かります。
現実を突きつけられ…
二つのマグカップ
お揃いのTシャツも
明日からはもう使えないかな I know
出典: Still love you/作詞:Kana Nishino 作曲:FAST LANE,LISA DESMOND
一緒に暮らすと当然お揃いにする食器や部屋着。
それ以外にも、歯ブラシや写真など、2人の思い出が部屋中に溢れていることでしょう。
冷静にこれらを目にすると、「分かっているけど…」という行き場のない感情が出てきます。
彼女はこれから先、幾度となく、こんな感情と葛藤していかなければなりません。
簡単には吹っ切ることのできない相手への愛。
それはいくら現実が突きつけられようとも、変わることがないのです。
その優しさが苦しい
もうこれが最後だって
Ah 分かってるのになぜ
今までよりも強く抱きしめるの?
お願い最後だけ
優しいウソをついて
まだこの手離せない
It's hard to say goodbye
Still love you
出典: Still love you/作詞:Kana Nishino 作曲:FAST LANE,LISA DESMOND
この歌詞から「キミ」のズルさを感じ取れてしまうのは、筆者だけではないはず。
もう別れると決まったのに、彼の気持ちはここにはないのに、何故抱きしめるのでしょうか。
それが優しさだとするならば、ズルすぎます。
しかし、それでも主人公は彼を責めようとはしていません。
これが最後だと分かっているのに、敢えて抱きしめてくる「キミ」。
それさえも、主人公はどこかで嬉しいと感じているのが、わずかですが伝わってきます。
それほど彼のことを愛しているのは、十分すぎるくらい伝わってきますね。
もし彼からの一方的な別れだとしたら、彼女の気持ちはわからなくもないです。
でも、自分が悲しくなるだけだから前を向いて欲しいものですね。
それからもう一つ、考えられることがあります。
それは、彼も「好きだけど別れる」という選択をしたのではないか、ということ。
その理由は次の歌詞で解説します。
「ごめんね」はもう届かないけど
好きすぎて 疑って 信じられなくて
同じようなことで またケンカして
いつも困らせたよね
Baby I'm sorry
sorry… sorry… sorry…
I still love you baby
It's so hard to say goodbye
出典: Still love you/作詞:Kana Nishino 作曲:FAST LANE,LISA DESMOND
主人公が「キミ」に伝えたいことがここでは綴られています。
「まだ愛しているよ」と同じくらいの「ごめんね」という気持ちです。
なぜ謝るのか考えてみると、“別れの原因が「キミ」だけにあったわけではない。”
ということが導き出されます。
彼女が自分で自覚しているように、彼を信じられないことで傷つけてきたのかもしれません。
そして、もし、いつも困るくらいの言動をしていたのだとしたら…。
彼の気持ちが離れてしまうのも仕方なかったのかもしれません。
そう考えると、前述で触れた、彼も別れたくて別れると決めたわけではないというのが納得できます。
そして彼女には思い当たる節があるからこそ、ズルさを「彼の優しさ」だと思えたのかもしれません。
これは当人同士にしかわからない出来事と交差する想いなのでしょう。
失って初めて気づく、「キミ」への想い
もうこれが最後だって
思ってたこの恋
今この手から そっとほどけていく
失って初めて
気づいたこの気持ち
もう二度ととどかない
It's hard to say goodbye
Still love you
出典: Still love you/作詞:Kana Nishino 作曲:FAST LANE,LISA DESMOND
2人の関係が終わってから気づいた自分の気持ち。
こんなにも「キミ」を愛していたんだという、気持ちでしょう。
一緒にいることが当たり前になっていたからこそ、気がつかなかったのです。
人によっては、空気のような存在である方がうまくいく場合もあります。
しかしやっぱり愛する人への想いというのは、日々感じ、伝えていくものなのでしょう。
失ってから気がつくことほど、後悔するものはありません。
簡単ではないですが、いつかは「さよなら」を言える時がくるのでしょうか。
この主人公を通して、読者の皆さんも、自分の愛する人への想いの伝え方を振り返ってみてください。
その存在の有難さにも、改めて気づくことができるのではないでしょうか。