切ない片想いを歌った1曲「銀色飛行船」
今回は2012年12月19日にリリースされたsupercellの6thシングル「銀色飛行船」を紹介します。
この曲は、2012年11月10日に公開されたアニメーション映画「ねらわれた学園」のオープニングテーマに起用された1曲で、物語に登場するヒロイン、ナツキの恋心を描いた内容になっています。
収録時間7分を越える、ポピュラー音楽としては長いこの曲。
それでも最後まで聴き飽きさせないのは、コンポーザーryoの手腕の光るところでしょうか。
これまでアニメや映画など、数多くのタイアップソングを手掛けてきたsupercell。
物語の内容を汲み取っての制作には、一際こだわりを感じさせます。
この楽曲も、映画の物語に真摯に向き合った上で制作されたのでしょう。
7分という時間において、一つ一つが繊細にナツキの心情を表現しているように感じられます。
『ねらわれた学園』(ねらわれたがくえん)は、眉村卓のジュブナイルSF小説。1973年刊。また、それを原作とする映画、ドラマなどの作品。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/ねらわれた学園
ミニチュアの街が思い出を彩るPV
楽曲解説
この曲は、しっとりとしたピアノと、こゑだのささやくような歌声を軸にしたバラードになっています。
歌声に幼さを感じさせるのは、女子中学生のヒロイン、ナツキをイメージしてのものでしょうか。
メロ部分の中盤からサビへと向かって、ストリングスの音色が楽曲に盛り上がりを加えていく流れは、バラードの王道を感じさせますね。
そしてサビでは、それまでの穏やかな雰囲気とは打って変わって、想いが溢れ出すような印象の物悲しいメロディが展開されます。
ただバラードというわけではなくて、この曲にはあるコンセプトが隠されていました。
「小さく演奏して、なるべく小さく歌う」ことを意識しているため、楽器の数を減らし、ボーカルの音量を最小限に留めている。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/銀色飛行船
この試みが非常に効いていて、ピアノや歌はもちろん、2番以降で入ってくるドラムやベースも、他の楽曲にはない儚げな雰囲気を醸し出すものになっています。
特にその効果が如実に表れているのは、最後のサビではないでしょうか。
それまで抑えてきたものを解き放ったかのような高揚感は、曲1番の聴かせどころのように感じます。
PVは1番までの内容になっていますので、気になる方はCDもチェックしてみてくださいね!
ナツキは何を思う?「銀色飛行船」の歌詞を紹介
大人になっても変わらないと思っていた
この道登りきれば
あなたはいつも
あくびをしながら
そこで待ってた
汐風匂う町で
あなたもあたしも
大人になってくんだって
そう思っていた
出典: 銀色飛行船/作詞:ryo 作曲:ryo
まずは1番Aメロの歌詞から見ていきましょう。
2人が育った海辺の街と、いつも2人で通った通学路。
丘を登ると、いつもそこで待っていてくれた彼の姿を思い描くこの場面。
お互い大人になっても、ずっとこの距離感でいられると思っていたナツキと、裏腹に離れていってしまった彼を感じさせます。
海鳥が鳴いていた
あの夏 あなたと二人帰った道
追いかけて 追いかけて
出典: 銀色飛行船/作詞:ryo 作曲:ryo