BUMP OF CHICKEN
1979年生まれの千葉県佐倉市出身の4人組ロックバンドです。
ボーカル/ギター、作詞、作曲を手がけるのは藤原基央で、2ndシングル「天体観測」が大ヒットし、注目を集めました。
2015年4月22日にリリースされた『Butterflies』に収録された「コロニー」はファンタジックな映像が特に目を惹きます。
「コロニー」をYouTubeでcheck!
映像は宮崎駿やファイナルファンタジーなどのゲームから影響を受けている世界観で、謎の巨大生物が巨神兵のように歩き回っています。
宮崎駿の『風の谷のナウシカ』の巨神兵は核兵器のメタファーとして捉えることができると思います。
しかしこの映像の謎の生命体は、『進撃の巨人』などにも通じる自分たちが抵抗できない巨大な存在として描かれているようです。
こういった世界観が描かれる要因として世界に対して無力な人間個人の存在があると思います。
「コロニー」の詩の世界に迫る
どこだろう 今痛んだのは
手を当ててから解らなくなる
名前のない 涙がこぼれて
体の壁が解らなくなる
世界は蜃気楼
揺らいで消えそう
呑み込まれて連れて行かれそう
重なった 優しい温もりに
しがみついたまま震えた
出典: コロニー/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
BUMP OF CHICKEN、リアルな“今”が詰め込まれた両A面シングル「焦りや不安はなかった」 | ORICON NEWS
BUMP OF CHICKENが、4月22日に両A面シングル「Hello,world!/コロニー」を発売した。「Hello,world!」は4月より放送中のTVアニメ『血界戦線』OPテーマ、「コロニー」は4月25日公開の映画『寄生獣 完結編』として書き下ろされた楽曲。今回、新曲について聞いてみると、「コロニー」の歌詞にある衝撃の事実が判明。
インタビューの中で冗談まじりに、自分の状態のことを開墾が終わった土地のようだと表現しているように、この歌のBUMP OF CHICKENには、創作を徹底して行った後の疲労感が滲み出ているように思います。
少年の頃に自分が表現したいと思っていたことは表現しきり、夢を叶えた。
やり遂げた後に、さらに生み出すことの苦しみはきっとあるでしょう。
実際に胸の病気になり、その痛みから生命というものについて歌っています。
"名前のない涙がこぼれて体の壁がわからなくなる"という表現は、後ででてくる"心で作った街"に繋がっていると想像します。
つまり精神世界に入りこんでいるのでしょう。
内界と外界
意識というものは現実を捉えることもできますし、目を閉じて浮かぶものに目を開ければ、自分という世界の中に内なる世界が広がっていると捉えることもできます。
幼少期から物語に触れていると、実際の現実の世界とは別に、この内界が豊かに膨らんでいくこともあると思います。
この内界は個人差があり、宗教的な世界やスピリチュアルな世界とも繋がっている場所です。
内界は精神世界でもあるため、実際に現実世界に影響を及ぼすような秘密も隠されていると思います。
この歌は、内界から振りしぼって生み出された歌であるように感じます。
聴こえた命の音は
よく似ているけど違っていて
雨に変わり何度も肌を叩いた
閉じた目に 真昼の恒星
キラキラ無数に散らばった
その中のひとつとひとつ
それだけ 見つけた事 失くした事
心が作った街で起こった事
出典: コロニー/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
心の中にある世界で、でも命を感じようとしている。
心の中だから、真昼の恒星もみえます。
「天体観測」でブレイクした彼らのルーツに宇宙への思いがあったことは間違いありません。
でも、表現に表現を重ね、もっと自分の内側である内界が表現の舞台になったのだろうと思います。
こんなに今生きているのに
嘘みたい 掌で教えて
何もない あんなに抱えていた
形を守る言葉の盾
残っていない
弱くても持っていた
道切り開く意思の剣
出典: コロニー/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
"何もない あんなに抱えていた形を守る言葉の盾"という表現や、"弱くても持っていた道切り開く意思の剣"という剣と盾の表現から、子どもの頃に感じていたファンタジーの世界が見え隠れしています。
生まれた事 知らせた声
どこまでも遠く全部を抱きしめた
解らないまま 何もないまま
全てを 全てで抱きしめた
あの時みたいに出来るかな
心が作った街で起こった事
こんなに今生きている事
出典: コロニー/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
意識は根源的な、自分が生まれたことに辿り着きます。
そして生きているということを抱きしめている。
弱く、架空の世界に逃げこまなければならなかった自分たちが歌を通じて人々に伝え、生きていることの根源を歌っている。
ルーツへ向かえば向かうほど、どこかで宗教的なことへと結びついていくことは仕方がないことなのかもしれません。