市場へ行く人の波に 身体を預け
石だたみの街角を ゆらゆらとさまよう
祈りの声 ひづめの音 歌うようなざわめき
私を置きざりに 過ぎてゆく白い朝

出典: 異邦人/作詞:久保田早紀 作曲:久保田早紀

1番とどう変わったか?歌われる情景が具体的になりました。

場所を特定するキーワード「市場」「石だたみ」が登場しますし、「祈りの声」や「ひづめの音」まで聞こえてきます。

とはいえやはり砂漠のど真ん中ではなさそうです。背景で流れる映像の効果が大きかったと思われます。

最後にチラリと顔を出す「白い朝」は、改題前の元の曲名でしたよね。ここで出てきましたか!

時間旅行が 心の傷を
なぜかしら埋めてゆく 不思議な道
サヨナラだけの手紙 迷い続けて書き
あとは哀しみをもて余す 異邦人
あとは哀しみをもて余す 異邦人

出典: 異邦人/作詞:久保田早紀 作曲:久保田早紀

あらら。また元に戻っちゃった(笑)

「時間旅行」と「不思議な道」の二語のおかげで、異国情緒をどうにかこうにか保っていますが。

そもそも「異邦人」は「日本人ではない外国人」を意味しますから、シルクロードと直接の関係はないわけです。

やはりこの大ヒット曲はイメージ操作と名アレンジの産物でしょう。

久保田早紀はどう思っていたのか?

偽らざる心境を吐露

【異邦人/久保田早紀】その景色はシルクロードじゃなかった?異国的な曲になった経緯が興味深い!歌詞解説の画像

神輿に担がれるがままの予期せぬ大ヒットで、久保田早紀は面食らったようです。

本人はこの曲が発売されてから半年間はヒットしていくことに戸惑い、その後も「平坦な更地にいきなり10階建のビルが建ってしまい、その後もビルがどんどん大きくなっていった感じ。」と、当時は曲が一人歩きしていることに非常に戸惑っていたそうである。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/異邦人_-シルクロードのテーマ-

デビュー曲があまりにも鮮烈で衝撃的だったため、その後の音楽活動にも支障をきたしてしまったようです。

その後はヨーロピアン調の曲なども手がけ、シンガーソングライターとしての活動を続けたが、「異邦人の久保田早紀」のイメージはぬぐえず、デビュー時のインパクトに勝る活動はできなかった。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/久米小百合

過去のヒット作を払拭できずに作者が悩むこと自体は、どこの世界にもあることですが、「異邦人」と久保田早紀の関係はその典型例でした。

現在は久米小百合として活動

【異邦人/久保田早紀】その景色はシルクロードじゃなかった?異国的な曲になった経緯が興味深い!歌詞解説の画像

キリスト教の洗礼を受けた久保田は、音楽家の久米大作と結婚後、1984年には商業音楽の世界を退きます。

下の名前を本名の「小百合」に戻し、「久米小百合」として宗教音楽中心の活動にシフトしました。現在も時折メディア出演を受けているとのこと。

デビューして30年経ち、ラジオにゲスト出演した際に、「今ではここまで愛される曲になって、非常に嬉しい。神様のプレゼントだと思っている。」と語った。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/異邦人_-シルクロードのテーマ-

穏やかな日々を過ごしていらっしゃるようで何よりです。

おすすめのカバーをいくつか

誰からも愛される「異邦人」は、たくさんのアーティストにカバーされています。

たくさんありすぎるので厳選して、個人的にお勧めしたいカバー盤を2枚ご紹介します。

ZARDと松本孝弘の「異邦人」